ナタリー PowerPush - ティーナ・カリーナ

関西弁の話題曲「あんた」で注目 気鋭女性シンガーソングライターの素顔に迫る

歌は心を削ってるなって

──ティーナさんの歌には、人の心を動かす強いパワーが備わっていると思います。「あんた」を含むデビューミニアルバム「ティーナ・カリーナ」を聴いても、何度かそういう凄味を感じました。

インタビュー写真

ありがとうございます。自分の声に関しては、最初はクセがないというか、普通の声やなって思ってたんですよ。いい意味でも悪い意味でも。それが嫌でハスキーな声に憧れたり、声に特徴がある歌手に憧れたりしてたんですけど、一方で「スッと入ってくる声やね」って言ってもらうことも多くて。「気付いたら入ってた」とか「自信をもらった」と言ってもらえるのもすごくうれしいです。

──曲調によるのかもしれないですが、これは全身全霊の力を注いでるなっていう曲もありました。

歌うときは基本めちゃくちゃ消耗しますね。心を削ってるなって思います。

──ライブも一曲入魂って感じ?

そうですね、本当に1曲1曲を大事に。まだそんなに曲数を歌うライブはしてないんですけど、ライブはお客さんの顔が見られるのが好きで。終わった後にしゃべる機会とかもあるし、そういう触れ合いが好きですね。

──さっきの名前の話にも少し戻るんですが、まず“ティーナ・カリーナ”と聞いてどういう人なんだろう?って気になって、ちょっと近寄りがたいのかなって思いつつ曲を聴くと親近感が湧いて、さらに本人と触れ合うともっと親しみが持てるっていう。それも狙いなのかはわかりませんが(笑)、私は今その3つ目のステップです。

あはははは(笑)。なんていうんだろう……私が好きなアーティストさんとかも、会ったことがなくてもその人自体が好きやったりするんですよ。CARPENTERSのカレンも絶対いい人やろうし(笑)。何が言いたいかというと、私はそういう人柄とかも歌の大事な部分なのかなと思ってて。その人が好き、だから曲も好き。そういうアーティストを目指してるというか、なれればいいなって思ってます。

歌で人とのつながりを大事にしていけたら

──話が前後しますが、「ティーナ・カリーナ」の収録曲は特に女子への共感度が高そうな、バラエティに富んだ楽曲が多いですね。

作った時期には新しいものが多いんですけど、結構いろんな曲が入ったなと思います。歌詞は基本、自分の思ったこと素直に書いてて。あ、でも「帰り道」とかはファンタジーですね。甘酸っぱい高校生の恋愛をイメージして作ってみました。

──「始まりの朝に」は、タイトルどおりそのまま朝に聴いてほしい1曲ですしね。

そうですね。通学や通勤電車の中とか1日の始まりに聴いて、前向きになれる曲があればいいなって。

──「むすんで ひらいて」はいかがですか? この楽曲だけかなりテイストが異なるように感じました。

この曲は東日本大震災の1カ月後に作った曲なんですけど、元々絶対にピアノと歌だけのシンプルな形で入れたいっていう気持ちがあって。当時の大阪も震災直後はすごく落ち込んでて、阪神大震災を経験した自分らだから大変さもわかるし、何かできないだろうかってみんなすごく考えてた時期でした。だから、それを仙台でレコーディングさせてもらえるっていうのは意味があることやなって思いましたね。

──最後に、25歳で夢への切符をつかみ、26歳で本格的なアーティスト人生を歩み始めようとしているティーナさん。20代後半は音楽にどっぷり浸かる毎日になりそうですが、今の率直な心境は?

やっぱり、強く思うことっていうのはホンマに形になるんやなって。今回のデビューでそれをすごく実感したので、より明確なビジョンを持ちつつ、素直に人の心に寄り添えるような歌をどんどん歌っていきたいですね。歌は私にとって、聴いて喜んでくれたらうれしいし、何か反応をもらうのが好きっていう側面が強いんです。だから、いわば新しい人と出会うためのコミュニケーションツールというか、いろんな人と出会う手段のひとつみたいな感じ。お互い、生身の人間じゃないですか? だから、ライブで新しい人と出会ったり、曲を聴いてくれた人とTwitterでやりとりしたり。そういう人とのつながりを大事にできたらいいなって思いますね。

ニューシングル「あんた」/ 2012年10月17日発売 / 500円 / EPICレコードジャパン / ESCL-3990

CD収録曲
  1. あんた
  2. あんた(Instrumental)

ミニアルバム「ティーナ・カリーナ」/ 2012年9月12日発売 / 1500円 / EPICレコードジャパン / ESCL-3957

CD収録曲
  1. 輝いて
  2. 帰り道
  3. あんた
  4. みつけて
  5. 始まりの朝に
  6. Power of Love
  7. むすんで ひらいて
ティーナ・カリーナ

大阪府池田市出身の女性シンガーソングライター。大学時代より音楽活動を始め、卒業後は大阪市の阪急百貨店で販売員をしながら楽曲制作やライブ活動を行う。2011年春、プロデビューを目指して約50社にデモテープを送付。その中の1社、エドワード・エンターテインメントとの契約が決定し、活動拠点を同社の所在地である仙台に移す。2012年4月にはデビュー前にもかかわらず、POLAのテレビCMソングに彼女の楽曲「輝いて」が抜擢され、話題を呼んだ。2012年9月、ミニアルバム「ティーナ・カリーナ」でメジャーデビュー。この中の収録曲「あんた」は女性の気持ちを関西弁で歌ったラブソングとして大きな注目を集め、10月17日に急遽シングルカットされた。