THIS IS JAPAN|自分たちを見つめ直した先で鳴らす自由なオルタナサウンド

THIS IS JAPANがニューシングル「ボダレス」をリリースした。

昨年2月に配信シングル「Not Youth But You」でKi/oon MusicよりメジャーデビューしたTHIS IS JAPAN。このたびCDリリースされる新作「ボダレス」の表題曲は、アニメ「SDガンダムワールド ヒーローズ」第2クールの新オープニングテーマで、性急かつ攻撃的なオルタナサウンドとキャッチーなサビが1つになったアッパーチューンとなっている。「ボダレス」の発売を記念して音楽ナタリーはTHIS IS JAPANにインタビュー。今作の制作の話を中心に、メジャーデビュー以降のバンドのモードなどについてメンバー全員に話を聞いた。

取材・文 / 森朋之撮影 / 緒車寿一

自分たちが何をしたいのか

──THIS IS JAPANは昨年2月にメジャーデビューしましたが、この1年半を振り返ってみてどうですか?

杉森ジャック(Vo, G) メジャーデビューして、すぐコロナ禍になったんですよね。それで予定していたツアーのファイナルがやれなくなって、その後もほとんどライブができてないんですよ。

かわむら(Dr) 7月と10月に配信ライブをやって、愛はズボーンの企画とATFIELDの企画ライブに出て、12月に自分たちの企画ライブをやって。去年のスケジュールはそれがすべてですね。

杉森 こんなにライブをやらなかったのは初めてだよね。

かわむら うん。結成当初は月に4本くらいやってたから。

koyabin(G, Vo) 毎週だ(笑)。

杉森 週2回とか、1日2回やったことも……。

かわむら あったね。お客さんは5人くらいだったけど(笑)。

──ライブバンドがライブできないと、当然調子が狂いますよね。

杉森ジャック(Vo, G)

杉森 振り返ってみると、かなりダメージを食らったみたいです。最初は「意外と大丈夫だな」と思ってたんだけど、だんだん情緒不安定になってきて(笑)。

かわむら たぶん杉森以外はそんなにダメージを受けてないんですよ。

koyabin 僕もそんなに心境の変化はなかったですね。杉森さんはライブが一番好きなタイプなんですけど、僕はどちらかというと曲作りやレコーディングが好きなので。

水元太郎(B) 僕はライブ派だけどね。

かわむら あ、ごめん。わかってあげられなくて(笑)。

水元 (笑)。杉森さんほどじゃないですけど、ライブがないとつまらないですね。でも、曲のことやバンドのことを考える時間ができたのはラッキーだったかも。その時間がなかったら、超スピードで物事が進んでいって、取り残されていたかもしれないので。

かわむら そもそも我々は、あまり物事を考えずにバンドをやってきたんですよ。もともと友達だし、バンドをやってれば楽しいっていう。極論、「いろんなことがうまくいかなくても、バンドをやれてたらいい」というところがあって。ただ、メジャーデビュー後は「このままでいいのか?」と話すことが増えたんですよ。コロナ禍で自分たちが何をしたいのか見つめ直す時間が増えたのは、確かによかったかも。「楽しければいい」っていう意識では、お客さんは減っちゃうだろうし。

──今後の活動方針について、結論は出たんですか?

かわむら 出てないですね。

水元koyabin ハハハハハ。

杉森 ただ、バンドを楽しくやるためにがんばったり、努力するのは嫌いではないので。自分なりに考えたり、いろいろ調べたりもするんですけど、だんだん本当の気持ちがわからなくなってくるんですよ。大事なのは、ふとしたときにポーンと出てくる感情を直視することかなと。

THIS IS JAPANにとってのオルタナ

──音楽的な部分についても、改めて考えたりしたんですか?

かわむら どのバンドもそうだと思いますけど、根底には「自分たちがやりたいことをやる」という気持ちがあるんですよ。音楽好きが集まってバンドを始めたわけだし、とにかく好きなことをやりたいというのがベースにあって。「どの好きな音楽をやるのが一番楽しいか」というところで悩んでるんだと思います。贅沢ですけどね。

杉森 そこまで器用じゃないし、自分が通ってきたものじゃないと表現できないので。

──軸になってるのは、オルタナと称される音楽ですか?

杉森 そうですね。最初は「好きなようにやってみよう」という感じだったんですけど、「オルタナっぽいのが好きなんだな」と気付いて。

かわむら 例えばPixiesみたいに、サウンドがカッコよくて間口が広い音楽が好きなんでしょうね。ポップスとしての自由度があるというか。自由すぎて、どうしたらいいかわからなくなることもあるけど。

──オルタナって極論、なんでもいいってことですからね。

かわむら そうなんですよ。あと、メンバーの趣味趣向も少しずつ変わってくるし。koyabinなんて、大学で初めて会ったときは「Sonic YouthとNUMBER GIRL以外は聴かない」みたいなオルタナキッズだったのに、今や見る影もないですから。

koyabin(G, Vo)

koyabin (笑)。

かわむら ただ、彼の心の中にはオルタナが好きな気持ちが今でも残ってると信じてますけどね。

koyabin オルタナも聴かなくはないけどね(笑)。まあ、できることとできないこと、得意・不得意がある中で、この4人でやるとオルタナっぽくなるということかなって……。

かわむら オルタナに気を遣ってる?

koyabin (笑)。あと、ディスジャパの本体は杉森さんなので。

かわむら バンドの魂は杉森だね。

杉森 俺は聴いてるものもそんなに変わってないからね(笑)。自分が好きなバンドがいくつかあって、そこにちょっとずつ新しい仲間が増えてる感じなので。とにかくギターの音が好きなんですよ。ギターが鳴ってないと不安になるので、自ずと聴く音楽も限定されるというか。

──なるほど。水元さんはどうですか?

水元 (かわむらに向かって)どう思います? ……あ、僕が何を聴いてるか知らないですよね。

かわむら よく知らない(笑)。

koyabin 水元もかなりオルタナだよね?

水元 一貫してるとは思いますね。最近はドリームポップを聴くことが多くて、ちょっと前はポストパンクがいいなと思ってた時期があって。狭い範囲でちょっとずつ移り変わってる感じです。

──1990年代のオルタナの再評価も、ここ数年で少しずつ高まっていて。オルタナ好きの20代のバンドも増えている印象があります。

かわむら 確かにギターがガシャーン!と鳴ってるバンドが増えてきてますよね。オルタナはちょっと前までは完全にイケてない音楽扱いだったんだけど、変わってきてるかも。時速36kmもそうだよね。

杉森 うん。若いバンドマンとBIG MUFF(1990年代のオルタナ系バンドに愛用された歪み系エフェクター)のことを話したりすることもありますね。またメインストリームの中にも戻ってくるといいですね、そういう音楽が。

キャッチーなサビにしたかった

──では、ニューシングル「ボダレス」についてお聞きします。表題曲「ボダレス」はアニメ「SDガンダムワールド ヒーローズ」の新オープニングテーマです。

かわむら すごいですよね。ガンダムはもちろん好きだし、特に俺と杉森は子供の頃に「SDガンダム」が身近にあった世代なんですよ。カードやゲームもそうだし、「SDガンダム」の文房具もあって。そんな作品に関われるなんて、すごすぎてよくわからないです(笑)。

──「ボダレス」の作曲は杉森さんですが、やはり「SDガンダム」の世界観を意識して制作したんでしょうか?

杉森 もちろん意識しました。ガンダムのオープニングの映像って、スピード感があってカッコいいじゃないですか。「そこに自分たちの曲が乗ったら、どんな感じになるんだろう」って想像しながら作るのが楽しくて。

水元 Aメロとサビの雰囲気が全然違っていて、笑っちゃいましたね(笑)。面白い曲だと思ったし、いいんじゃないかなと。

杉森 俺が「SDガンダム」を観てたのは10歳の頃なんですけど、それくらいの子がアニメを観て、主題歌のサビがよくわからない感じだとイヤだろうなと。テンションがグッと上がる、キャッチーなサビにしたかったんですよね。

koyabin 杉森さんはめっちゃいい意味で、少年の心を持ってるなと思うんですよ。ひたすら何かを追いかける感じとか、まさにそうで。「ボダレス」にはそれがすごく出てると思います。

かわむら そうだね。感情が素直に出てる。