音楽ナタリー PowerPush - THE FOREVER YOUNG
クニタケヒロキ×RYOSUKE 5人6脚で作り上げた号泣アルバム
号泣しながら歌ってるんです
クニタケ そういえば「NOW AND FOREVER」と「YOUR WRIST SCAR~キミのいつかの希望を~」は俺、レコーディングで号泣しながら歌ってるんです。語りの部分がある曲なんですけど、レコーディングブースの電気をRYOSUKEさんに消されて。そしたらパッて歌詞を書いた当時の気持ちになったんですよ。
RYOSUKE 彼らは人間らしさとか、みっともないところをさらけ出しても成り立つ人たちだと思うから、そういう内面を出してほしかったのに、曲の主人公に全然なれてなくて。だから電気消してそのときの気持ちになって録ってみ、って。ピッチが合ってるとかよりその曲に入り込んでないことのほうが気になって。「NOW AND FOREVER」なんてドモってて滑舌悪い。でも実際にクニは普段からドモってるし滑舌悪いし、デブだしみっともないけど(笑)、何事にもまっすぐなやつだから。できあがった曲を聴いたらクニっぽいなーと思ったよ。
──先ほど、日本語や歌モノに寄せ過ぎてしまったということを話していましたが、日本語、歌モノというのは今回のテーマだったんでしょうか?
クニタケ 漠然と“聴かせる曲”ということを念頭に置いてました。編曲した曲はシャウトも多いけど、新しく作った曲はほぼシャウトしてない。思いを伝えたいっていうのが強くなったんですよね。
──思いを伝えたいっていうのが強くなったっていうのは何がきっかけですか?
クニタケ 「WORLD END」って、ライブの最後にやることが多かったんですよ。曲の前に、ギターがポロンポロンっていい感じのアルペジオを弾いたりして、MCを長々としてから曲に入る感じで。そのMCのときに、泣かそうとか感動させようと思ったことは一度もないですけど、自分が高揚して、思わず誰かのことを語ったりとか、お客さんへの思いを熱く語っちゃうんです。そしたらお客さんが泣いてくれてて。本当にありがとうって思ったし、この空間素晴らしいなって思って。そのときに気持ちを伝えるって大事だし、ライブや音源でもっと気持ちを発信していきたいなってえらい思ったんですよね。
──伝えたいのはどういう思いですか?
クニタケ 身近なことです。例えば、好きだけどなかなか告白する勇気が出ないやつに「お前の思っとること、俺も思ってたときあるよ」とか、「俺もバイトキツイなー嫌だなー」って思っとるよってこととか。俺は発信するだけなんですけど、聴いた人と僕の思いが何かリンクしてくれたらいいなと思ってます。もちろん伝わらない人もいると思うんですけど、同じ気持ちになってる人には伝わると思ってますので。
ネガティブモードだけを出すのは違う
──THE FOREVER YOUNGはいつも絶望をテーマに歌っていますが、今作はその中でも「光」を多めに感じました。
クニタケ 「NOW AND FOREVER」と「YOUTH」はこれからのことを歌ってるんで、そう感じられるのかもしれないですね。絶望は相変わらずいっぱいあるんですけど、希望みたいなのがちょっと出てきたのがこの2曲ですかね。
──なぜ希望が出てきたんですか?
クニタケ 今まで過去についてばっかり歌っていて、現行の人に歌ってる曲ってなかったんですよね。
RYOSUKE 現行の人に歌ってなかったのって、恥ずかしさがあったんじゃないかな。基本俺は歌詞については何も言わないんだけど、クニの選ぶ言葉が絶望に次ぐ絶望だったから、曲として一筋の光がないと嫌だなっていうことは言ったよね。
クニタケ 「君の魔法」は初め、女の子を殺して独り占めしたいくらいの歌詞を書いてて……。
RYOSUKE そのまま終わると気持ち悪いだけで、人に伝えるべき言葉じゃない気がして。伝わりやすい日本語で、誰かに伝えたい内容を歌ってるのに。本当に思ってることは違くない?って言って。クニは確かにネガティブだし、不安になることは多いかもしれないけど、楽しませることが好きなやつなのにさ。自分の中のネガティブモードだけを曲として出してるっていうのが違うんじゃないのって。
クニタケ 確かに、聴く人にリンクさせるには、投げつけるだけじゃダメだったんですよね。
やりたくないのはバイトだけ
──今作にはゲストプレイヤーとしてATATAのTatsuhito Ikeyaさんがギタリストで参加していますね。
クニタケ これはもう憧れです。池谷さんが昔やっていたHOLSTEIN(STEP UP RECORDSに所属していた)が好きで。ATATAと対バンしたことをきっかけに池谷さんにかわいがってもらって、お願いした感じです。
RYOSUKE アルバムの中で一番HOLSTEINを彷彿させるのが「TO LIGHT」 だったから、この曲で弾いてもらえば?って言って。しかしあいつ鬼の一発録りだったよね。「あの頃思い出してスゲー楽しかったわ!」って言ってた。で、録ったはいいけど、リョウタ(ヒラヤマリョウタ / G)弾けなくね?って(笑)。
クニタケ 今、猛練習してますよ(笑)。
──RYOSUKEさんから見たTHE FOREVER YOUNGのいいところってどこですか?
RYOSUKE THE FOREVER YOUNGに限らずなんだけど、俺は人がそのまま出てるバンドが好きなの。汗かいてナンボの百姓みたいな。バシッと決めてカッコいいっていうより、バシって決めたはずが転げちゃう。けど転げててもカッコいい人。THE FOREVER YOUNGって見てくれでいったらイケイケではないかもしれないけど、そんなの卓越して、汚いところがカッコいいって思う瞬間があるんだよね。
クニタケ うれしいっす。メモりました(笑)。
──では最後にTHE FOREVER YOUNGの今後の目標を教えてください。
クニタケ 「思いを伝える」っていうバンドとしてのスタンスは変えず、そのアプローチの仕方をいろいろ試してみたいですね。メンバーそれぞれ経験値も踏まないといけないと思ってます。人間的にもうちょっと大きくなってステージに立ちたいです。フェスにも出たいし。やりたくないことはないですね、バイトくらい(笑)。ナタリー見てる人、1回でいいからTHE FOREVER YOUNG聴いてください!
- ニューアルバム「THE FOREVER YOUNG」2014年11月12日発売 / 2484円 / STEP UP RECORDS / SURCD-015 / Amazon.co.jp
- 「THE FOREVER YOUNG」
収録曲
- NOW AND FOREVER
- YOUTH
- WORLD END
- YOUR WRIST SCAR~キミのいつかの希望を~
- 最後の夜
- HELLO GOODBYE
- 悪夢街のアリス
- 普通って何だよ
- ANSWER
- TO LIGHT
- 君の魔法
THE FOREVER YOUNG(フォーエバーヤング)
クニタケヒロキ(Vo, B)、ヒラヤマリョウタ(G)、ヒラタタクヤ(G)、オガワリョウタ(Dr)の4人が2007年に福岡県久留米市で結成したバンド。2014年3月まで「KARIBUxNOxKAIZOKU」というバンド名で活動しており、TASTY RECORDSからアルバムを2枚発表した。同年4月にSTEP UP RECORDSの所属となり、同時に「THE FOREVER YOUNG」に改名。レーベル主催のツアーやオムニバスアルバム「...OUT OF THIS WORLD 5」への参加を経て、11月にアルバム「THE FOREVER YOUNG」をリリース。パワフルで激情的な演奏と、クニタケのポエトリーを取り入れた熱いボーカルで観客の心をつかんでいる。
RYOSUKE(リョウスケ)
FUCK YOU HEROES、HARDCORE FANCLUB、ABSOLUTIONの一員として活躍するベーシスト。一方でSTEP UP RECORDSの代表としてTHE CHERRY COKE$、HOLSTEIN、COUNTRY YARDなど多くのバンドを輩出してきた。レーベル主催のツアー「...OUT OF THIS WORLD tour」の開催やオムニバスアルバム「...OUT OF THIS WORLD」シリーズのリリースなど精力的な活動を続け、多くのバンドマンやライブキッズからの信頼を集めている。