音楽ナタリー PowerPush - THE FOREVER YOUNG

クニタケヒロキ×RYOSUKE 5人6脚で作り上げた号泣アルバム

初期衝動を忘れないようにと付けた名前

RYOSUKE

RYOSUKE 改名してもらった理由なんだけど、KARIBUxNOxKAIZOKUっていうバンド名が嫌いとかではもちろんなかったんだけど、大きくなったときに大人の事情が絡んでくる名前だっていうのが1つ。あとは、もちろんその名前を愛してる人たちもいるから、漠然とダセえから変えろって意味ではなくて、バンド名を変えることでギアを上げるというか。「そのバンド名ってどういう意味でやってんの?」って聞いたら、たまたま見かけたラブホテルの名前だって言うから、だったら決意表明としても変えるべきだと思って。意識的に改革させたかったし。インタビューとかで「なんでこのバンド名にしたんですか?」って聞かれたときに、あのときこういう気持ちでって言えるバンド名にしたかったんだよね。

──では「なんでこのバンド名にしたんですか?」と今聞かれたらなんと答えますか?

クニタケ 初期衝動を忘れないようにと。改名前の自分たちは夢を諦めてた感じだったんですけど、また夢をつかんでやるって気持ちになった、そのときの気持ちを思い返せるような名前にしました。

RYOSUKE くじけそうになったり、うまくいかないなって思ったときには、彼女や家族を説得したあのときの気持ちや情熱を忘れないで、思い出していこうぜって。

5人で作り上げたアルバム

──今作「THE FOREVER YOUNG」の話を聞かせてください。アルバムにはKARIBUxNOxKAIZOKU時代のアルバムにも収録されている「WORLD END」「HELLO GOODBYE」、カリブの楽曲をリメイクした「YOUR WRIST SCAR~キミのいつかの希望を~」「最後の夜」も収録されています。アルバム自体の制作はいつから始めたんですか?

クニタケ 4月にやったSTEP UP RECORDS主催のツアー帰ってきてからですね。RYOSUKEさんにも久留米のスタジオに一緒に入ってもらったりして、6月後半から5人で仕上げていった感じです。

RYOSUKE 「WORLD END」はそのときもメインの曲みたいになってたんだけど、いつかは超えなきゃいけないし、それがかすむような曲をどんどん作ってほしかった。今度のアルバムはそういうことを意識しながら進めていきたいと思ったからそういう頭で新曲作ってねって言って。で、少しして「新曲どんな感じ?」って聞いたらほとんどなかったんだよね。

左からクニタケヒロキ、RYOSUKE。

クニタケ 迷宮入りしてましたね……。

RYOSUKE 形になってる曲も、プリプロ録ってもらって聴いてみたらなんか全部いい子ちゃんになってて。もう少しヘイトな部分出す曲あってもいいよ、初期衝動に任せた「うわーぎゃー」みたいな曲作ってよ、って言ってできたのが「悪夢街のアリス」で。

クニタケ 2曲目の「YOUTH」は、ツービートの曲がなかったんでわかりやすい曲作ろうって言って。

RYOSUKE 難しく考え始めちゃってたから「メロコア好きじゃん、俺ら」って言って作ったんだよね。「NOW AND FOREVER」は、前奏だけは昔からライブの1曲目としてやってて、それをどう曲に変換していこうかっていう感じだった。

クニタケ この曲は最後まで正解が見えなかったですね。

RYOSUKE この曲、今は語りになってる部分を最初はメロディに乗せて歌ってたんだよね。この曲だけじゃないんだけど、日本語にしよう、歌モノにしようっていう気持ちに寄せ過ぎちゃってる感じがあった。パンキッシュな気持ちが一瞬なくなっちゃったんだよね。カリブやってた頃を飛び越して、小学生の頃カラオケで歌ってたようなところまでグッと戻っちゃってた。でもそこまで戻る必要ないぜって言って。もっと雑というか「これ最高!」みたいなノリでいいと思ったし、バンドをやり始めてから憧れたものをもっと簡単に消化させていけば?って話をした気がする。「NOW AND FOREVER」に関しても、語ってるほうがお前っぽくね?って言って。

お前、簡単なギターしか弾けなくね?

クニタケ あと「君の魔法」が化けたっすね。この曲、謎だったんですよ。何曲目かなとか。

RYOSUKE 凸でも凹でもなくて。初めはダンサブルで、欧陽菲菲感すらあったよね(笑)。

──KARIBUxNOxKAIZOKUの頃からは想像できない曲調ですよね。

RYOSUKE 甘酸っぱいよね。でも銀杏BOYZとかに憧れた気持ちを消化してこんな柔らかい感じになるっていうのは、こいつらっぽいなと思ったね。って俺、アルバム全体を通していろいろ言っちゃったけど大丈夫だったかな……?

クニタケ RYOSUKEさんに手伝ってもらって、録り直した音源聴いてみたら、本当にしっくりきました。

RYOSUKE まあ俺は「もっと単純に」とか「お前らっぽく」とか言って導いただけだけどね。バンドってなんか難しくしたがるじゃん。カッコよくしようとしてアンサンブルを難解にしてみたり。でも憧れでやってる人ってバレるから。背伸びして「俺たちやれてます感」出してるバンドを見てるとカッコ悪!って思うから。ヒラタ (タクヤ / G)の難しいギターとか、クニのすごい高いボーカルラインとかさ、ライブでできるの?って気がして。メンバーから「え、こんな簡単でいいんすか」って言われたけど、「お前、簡単なギターしか弾けなくね?」みたいな(笑)。

ニューアルバム「THE FOREVER YOUNG」2014年11月12日発売 / 2484円 / STEP UP RECORDS / SURCD-015 / Amazon.co.jp
「THE FOREVER YOUNG」
収録曲
  1. NOW AND FOREVER
  2. YOUTH
  3. WORLD END
  4. YOUR WRIST SCAR~キミのいつかの希望を~
  5. 最後の夜
  6. HELLO GOODBYE
  7. 悪夢街のアリス
  8. 普通って何だよ
  9. ANSWER
  10. TO LIGHT
  11. 君の魔法
THE FOREVER YOUNG(フォーエバーヤング)

クニタケヒロキ(Vo, B)、ヒラヤマリョウタ(G)、ヒラタタクヤ(G)、オガワリョウタ(Dr)の4人が2007年に福岡県久留米市で結成したバンド。2014年3月まで「KARIBUxNOxKAIZOKU」というバンド名で活動しており、TASTY RECORDSからアルバムを2枚発表した。同年4月にSTEP UP RECORDSの所属となり、同時に「THE FOREVER YOUNG」に改名。レーベル主催のツアーやオムニバスアルバム「...OUT OF THIS WORLD 5」への参加を経て、11月にアルバム「THE FOREVER YOUNG」をリリース。パワフルで激情的な演奏と、クニタケのポエトリーを取り入れた熱いボーカルで観客の心をつかんでいる。

RYOSUKE(リョウスケ)

FUCK YOU HEROES、HARDCORE FANCLUB、ABSOLUTIONの一員として活躍するベーシスト。一方でSTEP UP RECORDSの代表としてTHE CHERRY COKE$、HOLSTEIN、COUNTRY YARDなど多くのバンドを輩出してきた。レーベル主催のツアー「...OUT OF THIS WORLD tour」の開催やオムニバスアルバム「...OUT OF THIS WORLD」シリーズのリリースなど精力的な活動を続け、多くのバンドマンやライブキッズからの信頼を集めている。