どうにかしてスタジオに笑顔を取り戻したい
──青春感を前面に出しつつ、新しいアプローチも増えていて。中でも「イージーエンターテイメント」は音の印象が独特でした。
ミヤシタ この曲は、それこそバンド内の雰囲気が重たかった時期に「どうにかしてスタジオに笑顔を取り戻したい」と思って持っていったんです。
一同 あはははは!(笑)
ミヤシタ で、僕がいいなと思ったメロディに超適当な歌詞を付けて聴かせたら。
ササキ すごくよかったんです!
永田 歌詞は全部変えたけどね(笑)。
ササキ 「イージーエンターテイメント」ができたときはめちゃくちゃテンション上がったね。いい突破口になったと思う。
ミヤシタ サビが終わってあのリフにいくイメージも最初からあったよね。
──1番のサビのあとに来る、絶妙にレトロなやつですよね?
永田 そうそう! もう少しやっちゃうとダサいEDMみたいになる、いい感じにスレスレのライン(笑)。
ミヤシタ 自分が思う「泣いて踊れる音楽」ってこういう要素があったり、飛び跳ねられるリズムや賑やかなコーラスがあったりするんです。
永田 実際、このデモは大きかったよ。俺の頭の中にずっと残ってたもん。初めてピアノを使った曲だし、いろいろ新しいことをやってる。
コウタロウ うん。リズムも質感を出すのが難しいね。この曲だけドラムの種類が増えてるんですよ。丸1カ月くらいライブがないタイミングに作ってたので、ライブで演奏することをイメージしてなくて(笑)。でも、逆にそれで自由度の高いアレンジができたからよかったと思います。そう考えると、やっぱり悩んだ時期も悪くないんじゃないかな。実は「Wake Up!」のドラムだってほぼ叩いてなくて、ずっとループさせてるだけなんです。
──「Wake Up!」「Flower」のフォーキーさもいいアクセントになってます。
永田 このへんは僕の引き出しと言うか。幼少期にフォークをたくさん聴いて育ったから、アコギの音が大好きで。フルアルバムが出せるならアコギを使った曲を入れたいなと思って、「Wake Up!」を作るときにもそんな気持ちがありました。「Flower」はけっこう前に原型ができてて、今回いい感じに仕上げられたかな。
──全体的に使ってる楽器の数も増えましたよね。
永田 そうですね。「Flower」の鍵盤ハーモニカにしても、ライブでやるときのことを考えてなかったな(笑)。だけど、やっぱりその曲が望む形にしたいので。「POOL」でもパーカッションをがっつり入れたり。今回はストリングスやシンセも使ってますしね。
ササキ 意図して入れた感じじゃないものが多いんですよ。曲がある程度できたあとに、自然に加わっていったから。「POOL」のガヤは僕が提案しました(笑)。
永田 「寄り道」に雑踏の雰囲気を足したのは、僕がアンビエントとかが好きだからですね。コウちゃんも寝るとき、そういうの聴いてるんだよね?
コウタロウ アンビエントと言うか、環境音……かな。
ミヤシタ 環境音?
コウタロウ YouTubeとかに上がってる「音フェチ動画」みたいなのが好きでさ。スライムをピチャピチャさせるようなのあるじゃん。
一同 わはははは!(笑)
ササキ なんでそれを最初に挙げるわけ!?
ミヤシタ 変なヤツ!
永田 マニアックだなー。
コウタロウ 気持ちいいんだよ!
頭でっかちになってるのはダメ
──「イージーエンターテイメント」「Wake Up!」「Flower」あたりの曲は、いい意味での軽さをアルバムの中で生んでると思います。
ササキ そう。作詞においても軽さみたいなのは大事で、焦ってるとまったくいいものが書けない。みんなには言ってなかったけど、本当にしんどい日は普通に友達と飲みに行ったりしてました。それで何かが抜けたときに「あ、こういうことが書きたいな」ってなるんです。「ファンファーレ」の歌詞のように、悩んだこと自体が歌になる場合もある。
永田 しかし、悩んだ話ばっかりだな、俺ら(笑)。
──苦労した分、完成したアルバムは会心の出来になりましたね。
ササキ はい。「書かなきゃ書かなきゃ」じゃなくて、フッと軽い気持ちになって、ゆっくり歩いて、自分のやりたいことを素直に見つめたときに、作詞が進み始めました。そこで頭に浮かんだのが、さっき言った“青春”で。歌詞が書けるようになってくると精神的に余裕も生まれるので、もっと想像を膨らませて「煙」みたいな世界観の曲に取り組めるんですよ。架空の物語を作って、「僕がこの人物だったらどんな感情になるんだろうな」とか考えながら。
ミヤシタ ダメなときって、歌詞の視野が狭かったと思うよ。気分転換と言うか、自分の中のものを循環させることは確かに大事だね。俺は飲みに行ったのとか、知ってたけど(笑)。
永田 みんな気付いてるって!
ササキ 暗黙で認めてくれてるんだ(笑)。
コウタロウ みんな聞いてこないけど、俺も歌詞で悩むことあるんだよ?
ミヤシタ 悩んだの?
コウタロウ 「寄り道」の歌詞がぜんぜん書けなくてね。メンバーに言ってないけど、気分転換に遊びに行ったよ。
永田 おい。それは知らなかったぞ!
──遊びに行っちゃダメなんですか?(笑)
ミヤシタ そのときはムード的に後ろめたさがあったんですよー。
ササキ みんな苦しい中で、それでもなんとかスタジオに集まってる感じだったもん。だから、遊びたくもなるよね。
コウタロウ そうでしょ? 1泊くらいはしてもいいよねえ。
ササキ えっ、泊まりで遊びに行ったの!?
コウタロウ へへへ(笑)。環境を変えるとね、やっぱりいいよ! 頭でっかちになってるのはダメなのがわかりました。
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悩んだ分だけ得るものはあった
- The Floor「ターミナル」
- 2018年2月7日発売 / Victor Entertainment
-
初回限定盤 [CD+DVD]
3500円 / VIZL-1307 -
通常盤 [CD]
2500円 / VICL-64925
- CD収録曲
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- 18
- ドラマ
- イージーエンターテイメント
- 煙
- POOL
- Wake Up!
- Flower
- レイニー
- 寄り道
- ファンファーレ
- 初回限定盤DVD収録内容
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1stワンマンライブ「天井知らずワンマンツアー」@下北沢SHELTER 2017.07.07
- 灯台
- Wannabe
- Toward Word World
- アザーサイド
- SING!!
- Cheers With You
- ウィークエンド
- DRIVE
- 君とマフラー
- さよなら、また明日ね
- ハイ&ロー
- はたらく兵隊さん
- パノラマ
- Teens
- ラブソング
- リップサービス
- ノンフィクション
- 内緒話
- 夢がさめたら
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「18」Music Video
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- The Floor Presents「In Train Tour」
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- 2018年3月9日(金)北海道 Sound Lab mole
- 2018年3月20日(火)大阪府 Music Club JANUS
- 2018年3月23日(金)東京都 WWW
- The Floor(フロア)
- 2012年10月に結成された北海道札幌市在住のギターロックバンド。メンバーはササキハヤト(Vo, G)、永田涼司(G, Cho)、ミヤシタヨウジ(B, Cho)、コウタロウ(Dr, Cho)の4人。札幌を中心にライブ活動を展開し、2016年5月に初の全国流通作品となるミニアルバム「ライトアップ」を発表する。同年8月に一般公募枠「RISING☆STAR」の1組に選出されロックフェス「RISING SUN ROCK FESTIVAL 2016 in EZO」に初出演する。12月に4曲入りCD「Re Kids」を、2017年6月に2ndミニアルバム「ウェザー」を発表。2018年2月にビクターエンタテインメントよりメジャー1stアルバム「ターミナル」をリリースする。