TFG|2.5次元俳優と“恋の旅”へ、豪華アーティスト参加の2ndアルバム

2.5次元舞台で活躍する俳優の赤澤遼太郎、前川優希、佐藤信長、坂垣怜次、堀田怜央、桜庭大翔からなるボーイズグループ・TFGが、2月17日に2ndアルバム「vacaTion」をリリースした。

昨年8月にメンバーの健人が卒業し、6人編成となったTFG。新体制後初となるアルバム「vacaTion」には古林潤也、笠原康博、大黒摩季、徳永暁人(doa)、和田唱(TRICERATOPS)、橋口洋平(wacci)、岩間俊樹(SANABAGUN.)、大林亮三(SANABAGUN.)、五十嵐凪月、山崎あおい、鶴﨑輝一といった多彩なアーティストが参加した、“恋の旅に出かけよう!”がテーマの全7曲を収録。音楽ナタリーではインタビュー初登場のTFGがグループの歩みを振り返りながら、「vacaTion」の収録曲を順に解説していく。

取材・文 / 真貝聡 撮影 / 中原幸

ド緊張の桜庭

──ナタリーのインタビュー初登場ということで、最初にTFGがどんなアーティストか探っていきます。まずはグループ結成のいきさつについて教えてください。

佐藤信長 スタッフさんから結成の話を持ちかけられたんですよ。それが2019年3月2日でした。

前川優希 もうちょっと前じゃない?

佐藤 いやいや、俺が出演してた舞台「レイルウェイ」の千秋楽の日に聞いたから、はっきり覚えてる。その1カ月後にグループの結成が発表されたんだよ。

──皆さんはすでに俳優として活動されてましたよね。グループを組んで音楽活動を始めることを最初はどう思いました?

赤澤遼太郎 舞台で同じ作品に参加していたメンバーもいたんですけど、全然絡んだことはなかったので、どうなるか楽しみでした。特にらば(桜庭大翔)くんなんて、まったく接点なかったもんね。

桜庭大翔 俺は事務所に入りたてだったからね。最初はすごいビクビクしてた(笑)。

佐藤 初めて会った日なんて、背筋をピンと伸ばして挨拶してくれてた。あの頃はどういう気持ちだったの?

桜庭 今までのインタビューは「活動できることを楽しみにしてました!」とポジティブなことを話してたけど……本当は緊張で押し潰されそうだった。

佐藤 アハハハ、先輩に囲まれているような感じ?

桜庭 うん。俺は事務所に入ってめちゃくちゃ日が浅かったんだけど、この中で芸歴の順番で言えばあなた(佐藤)が一番近かったじゃん。でも、すでに3年くらい俳優業をやっていたでしょ? 芸歴の近い人でも3年も差があるから、緊張がヤバかった。

赤澤 誰が一番怖かった?

桜庭 最初のイメージでいうと、(坂垣)怜次が怖いと思ってた(笑)。

坂垣怜次 えー! 嘘でしょ!?

桜庭 帰り道が一緒だったんですけど、同い年なのにずっと敬語を使ってましたもん(笑)。

赤澤 今となっては「怜次!」って呼び捨てで、2人でラーメン屋へ行くほど仲よくなったよね。

TFG

か、香りですか?

──「業界初!“五感”をコンセプトとした新感覚アーティストグループ」というキャッチコピーを聞いたときはどう思いました?

前川 ぶっちゃけ、戸惑いましたね。“新感覚”と謳っているだけあって、類を見ないコンセプトじゃないですか。「メンバーそれぞれに担当の香りがあって……」と聞かされたときに「か、香りですか?」と思わず聞き返しましたもん。

──コンセプトについてもう少し具体的に伺ってもいいですか?

佐藤 ざっくり説明すると、ファンの皆さんの視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚の五感すべてを刺激する、“感覚”をコンセプトとしたグループです。触れることのできる香り──“Touchable FraGrance”から3文字をとってTFGというグループ名になったんです。ファンと五感を共有しようという狙いで、各メンバーのフレグランスを販売したり、実際に自分たちの担当フレーバーの香水をつけてステージに立ったり。コンセプトになぞらえていろいろとやってます。

──メンバーが集まりコンセプトも決まって、本格的に動き出すわけですけど、振り返ると2019年はどんな年でしたか?

赤澤 激動の年でしたね。各々、舞台の稽古やら本番があるので、その合間にTFGのリハーサルをやって。結成して間もない頃は、みんな体力的にも大変だったと思います。

佐藤 実際にヘトヘトになってました。それが今では、練習が終わっても「じゃ! お疲れっす!」って元気よく解散する。これが普通になってきたよね。

赤澤 つらいのは自分だけじゃなくて、みんなも同じ。全員が大変な状況だからこそ結束力が強くなったよね。

──TFGとしての初仕事は覚えてます?

佐藤 結成発表から1カ月後に開催したファンミーティング「TFG おひろめFan Party」です。それまで役者1本で活動してたから、僕らがライブを行ったところで人が集まるのかと不安でした。ステージに出るまでめちゃくちゃ緊張していたんですけど、ペンライトがワーッと上がっていたのを見て、不安や緊張が解消されましたね。

──役者として天王洲 銀河劇場、ステラボールをはじめ、大きなステージを経験していますよね? それでも緊張するものですか。

堀田怜央 舞台の感覚とはまったく違うよね。お芝居は役になりきってステージに出るけど、アーティストは素の自分として立つじゃないですか。表情も発声も何もかもが自分なので、僕としては舞台に上がるよりも、アーティストとして出演するほうが緊張しましたね。

前川 初ライブは会場がWWW Xだったから、螺旋階段のところでスタンバイしてたんです。本番直前にみんなで拳を突き合わせて、気合いを入れてからステージに出たのはいい思い出ですね。

アーティストらしくなった

──グループの成長につながったと思う出来事はありますか?

前川 僕はデビューした年の冬かな。それまではオリジナルが2曲くらいしかなくて、ほかのアーティストさんの曲をカバーさせていただいてたんです。だけど12月に2ndシングル「神さま お願い」をリリースしたタイミングで持ち曲が増えて、ライブの仕様も変わってきた。さらに、東京以外でもリリイベをさせてもらえるようになりまして、ここからTFGがさらにステップアップしていくのを感じましたね。

──しかも2020年になると、テレビやラジオ出演も増えて。

赤澤 去年10月にテレビ東京の「プレミアMelodix!」で「シンセイカツ」を歌わせていただいたんですけど、自分でもびっくりするくらい緊張して! だって僕らの前にDA PUMPさん、AKB48さん、FANTASTICS from EXILE TRIBEさんが出てたんですよ。楽屋のモニターでスタジオの様子を観ていたんですけど「見たことある方々が歌ってるよ!」と思って。いざ収録を迎えても、ガチガチに緊張しちゃってました。どんなアーティストさんと並んでも動じないように、もっとがんばらないといけないと痛感しましたね。

──そういうお茶の間レベルのアーティストと共演すると、自分たちがメジャーのフィールドで戦っていることを自覚させられますよね。

前川 そうですね。最近になってようやく「TFGはアーティストっぽくなったな」と感じるようになりました。あの……これは今だから言いますけど、デビューした頃はまとまりがなくて本当にひどかったんですよ。大丈夫か!?と思ってた。だけど今はダンスリハもスムーズにできるようになったし、取材の場でも各々の役割を意識して、時にはサポートをするようにもなってきた。これがグループだし、アーティストなんだって実感しましたね。

桜庭 ただ、去年はコロナでライブができなかったので、もどかしかったです。

──無観客の配信ライブが中心になりましたね。

前川 配信でいえば、健人の卒業公演「TFG Special Live 2020 - celebraTion-」は印象的でした。7人でやってきたことが今の大きな土台になっているし、グループにとって大きなターニングポイントでしたね。