泥臭い部分で感情を揺さぶりたい

──今後ライブでもっと進化させたい部分ってありますか？

ライブが終わった瞬間にぶっ倒れるような激しいステージをいつかしたいなとは思いますね。もちろん「残り何曲あるから」ってペース配分を考えてライブをすることはいいことだし、冷静であるからこそ情熱的なライブができるというのは経験的にわかるんですけど。いつかそういうのを通り越して、ライブ終わった瞬間にぶっ倒れて出しきったっていうライブが自然にできるようにはなりたいなって思います。もしくは最後の最後で全部出しきるっていう1曲があってもいいな。

──なるほど。ミトさんがテスラを聴いて解釈したライブ感にもつながりますね。

曲によってはサビで速くなるし、急に遅くなったり弱くなったりもする。ライブ感もそうだし、人間味、泥臭い部分で感情を揺さぶっていきたいなって思います。

──作曲のクレジットがバンド名義になってますけど、これってセッションから作るってことですか。

ピアノのリフは飯野と一緒に考えるんですけど、メロディと歌詞のもとは全部僕に任せてもらってます。でも「まだいいメロディがあるはず」と言いながら、すべて全員がジャッジしてくれる。最終的には4人の知恵をフルに絞って、それぞれが納得するメロディに落ち着いて、これで出しましょうってなっていきますね。

パワーアップしないと意味がない

──曲を作る中で、同世代のバンドを意識することはありますか？

自分たちの中で、やっていないことにチャレンジしていこうっていう意識はあります。それが必然的にほかのバンドと違うことになるでしょうし、そういうふうにしたほうがいいものができるんじゃないかな。

──新曲に流行を取り入れようとは思わなかった？

わかりやすいメロディを繰り返してみたり、四つ打ちをもっと入れてみたりと、いろいろトライはしたんです。でも結果的に4人が納得したのは自分たちと向き合って出たものだった。今回の新曲は全部そうで、人と違うことをしたいっていうのは潜在的にあるんですけど、最近は何をしたって4人の体から素直に音を出せば自然と人とは違うサウンドになるんじゃないかなって。

──なるほど。

あと東京に来て衝撃を受けたことがあったんですよね。鹿児島だと曲にあわせて腕を頭の上で前後に振ってるお客さんってあんまり見ないんですけど、東京だとみんなそんな感じで腕振っててびっくりした。僕らの音楽って拳を突き上げるような感じだから、さっき言った東京で見たようなノリにあわせた楽曲を意識して作ろうとしたんだけど、やっぱりテスラは泣かない。にこのノリは必要ないな、これは俺らがやらなくてもいいなって結論になったんです。

──テスラにとっては拳を突き上げる音楽のほうがしっくりくるってことですね。

はい。そんな経験からも学んで、自分たちともっと向き合いながら作るようになりましたし。「アンダーソン」とかのサビで叫ぶところでお客さんの拳が上がると「そう！ それです！」って気持ちになります（笑）。

──これからリリースツアーを東名阪でやって、夏のイベント出演を経て、秋からはロングツアーが始まりますね。

はい。ツアーでやる曲も僕たちもどんどん育っていくと思いますので、今から楽しみです。どんどんパワーアップしないと意味がないし。ロングツアーでは札幌からずーっと回ってラストは鹿児島でやるので、地元のファンにも成長した姿を見せたいです。