TENSONG|“アーティストミマン”だった3人が実りの季節を経て放つ初のCD作品 (2/2)

唯一の共通したメッセージ「あなたなりに生きてください」

──先ほどから「今のTENSONGに足りない色」や「作品集としての統一感のなさ」などのキーワードがいくつか上がっていますが、ここに収録する6曲はどのように決定したんでしょう。

たか坊 「単曲で勝負できるもの」という軸はこれまでと変わらず、今作りたい曲をどんどん作ろうとした結果こうなりました。そんな中でも、お客さんが目の前にいることを想定して作った曲が多かったですし、加えて自分たちが歌っていて、演奏していて気持ちよくなることを基準に作った曲も含まれています。

──TENSONGは伝えたい思いがたくさんあるアーティストなんだなと以前の楽曲からも感じていたんですが、この6曲に関しては「言いたいことがこんなにあるんだ」と、その詰め込まれた言葉の数に驚いんたんです。そこも、シンプルに削ぎ落とされたものが普通になりつつある今の音楽シーンに対する「普通なんていらないよ」なのかなと。

たか坊 「言いたいことがこんなにあるんだ」と今おっしゃっていただきましたけど、どの曲においても「あなたなりに生きてください」っていうことが唯一共通したメッセージなのかなと。言いたいことはシンプルで、その思いが曲ごとに違った目線であふれてきた結果がこれなんです。

たか坊(Vo)

たか坊(Vo)

──表題曲の「普通なんていらないよ」は拓まんさんが作詞作曲を手がけていますが、この曲に込めた思いというのは?

拓まん TENSONGを結成した翌年に配信ライブをしたんですが、そのときに「関係者やゲストを呼ぼうか?」という話が挙がったんです。僕は学校に馴染めなくて友達も少ないから、呼べる人がいないんですってプロデューサーに伝えたら、「じゃあ、そういうことを歌った曲を作ってみたら?」という提案がありまして。学校でのことは自分の中では過去のこととして完結していたんですけど、自分が今置かれている立場や状況を考えたら、過去の自分と同じような状況にいる人を1人でも多く救えるんじゃないかと思い、だったら曲にしてみようと。それがスタートでした。ありのままでいることが普通なのかもしれないし、逆に偽ることもその人にとっては普通なのかもしれない。この曲を通してその“普通”を、感じたいように感じてほしくて。この曲を聴いて何か行動しろという意味ではなくて、1人でも多くの人のもとに届いてくれればそれでいいし、聴いたことによって救われる人が1人でもいたらそれでいいんです。

たか坊 最初に拓まんから歌詞とメロディを受け取ったときは、ゾクゾクするものがありましたね。「誰も書かないような歌詞を書いたな。圧倒的に好きだ」と思いました。僕はけっこう言葉を詰め詰めで言っちゃうタイプだけど、拓まんは皆まで言わないスタンスで、そういうところにも惹かれて。それが彼にとっては普通なんだけど、僕には普通じゃない。そこもいいなと思いました。

「これでいい」まで突き詰められたら3人でいる意味がある

──「普通なんていらないよ」は本作における大きな軸といえる楽曲だと感じると同時に、ラストナンバー「蝉時雨」の普遍的な王道感もすごいなと思っていて。正直、この2曲がオープニングとエンディングにあれば、あとは何をやっても許されるような気がするんですよ。

一同 (笑)。

──「作品として統一感がない」と先ほどおっしゃいましたけど、僕は冒頭「普通なんていらないよ」という楽曲でガツンと心をわしづかみにされて、そこから「青春ドリーム」や「否否」のようなライブ向きのアッパーな曲で気持ちが高揚し、「Lovely Sick」や「イマカコ」で少し気持ちが落ち着き、最後に「蝉時雨」で感動的に締めくくるという、そのグラデーションのある流れに関心したんです。

たか坊 最初にそれぞれ曲順を考えたんですけど、この3人だけじゃなくてスタッフも含めて考え方がみんなバラバラだったんですよ。でも、最後に「蝉時雨」を持ってくるところだけは共通していて。自分たちの叫びというか、僕ら自身に向けて歌っているような曲なので、そこは最後に持ってきて正解だったなと思います。

──アルフィさんの目からは、ツアーを経てソングライティングの質が変わったと感じることはありますか?

アルフィ 曲作りはもちろんですけど、一緒に制作を進める中で、トラックを作るときも歌を入れるときも指示がより細かく具体的になってきたと思います。

アルフィ(DJ)

アルフィ(DJ)

──昨年いろいろな経験を積んだことは3人にとってインプットにもつながったでしょうし、それを作品に落とし込もうとして、そういう指示につながっている?

アルフィ どうなんだろう。みんなそれを無理にインプットと捉えていない気もするし。

たか坊 インプットが多くてもアウトプットする量がそれ以上なので、結局何も変わってないんですよ(笑)。時代に迎合せず自分たちのやりたいようにやることをモットーに活動しているはずなのに、最後は「そもそもやりたいことってなんだ?」ってところにたどり着く。そこを模索しながら、それでも自分たちのやりたいようにやることが僕らの課題かなと。自問自答したときに最終的に「これでいい」というところまで突き詰められたら、3人でいる意味があるんじゃないかなと。

──拓まんさんのギターも、本作では存在感を強く放ち始めていて。特に「Lovely Sick」や「イマカコ」は大きな見せ場だと思うんです。

拓まん 「イマカコ」は特にヤバいですよね。最初のアルペジオも一見簡単そうですけど、実はめちゃくちゃ難しくて。「Lovely Sick」もかなりエグいフレーズを入れたり、エグいリズムの取り方をしているので、そのへんも注目してもらえるとうれしいですね。

拓まん(G)

拓まん(G)

──ボーカルに関しても、歌のパワフルさや説得力がツアーを経てどんどん増しているなと。その存在感は過去の楽曲とは比にならないほどでしたよ。

たか坊 ありがとうございます! でも、今回はどの曲も歌うのが難しくて。レコーディング中、頭の中に表現してみたい歌い方がいくつか浮かぶんですけど、どれが正解か自分の中で決めきれない。あと、リズムの取り方もなかなかうまくいかず、そういった新たな課題がレコーディング期間にあふれ出して、1つひとつと向き合いながら解決していった結果、自分的には一歩階段を登れたかなという感じです。

TENSONG
TENSONG

初めてのワンマンツアーに向けて

──2月10日にはCDのタイトルを冠した初のワンマンツアーもスタートします。

拓まん 考えられないですよね。47都道府県ツアーの前は「自分たちにできるのか?」と思っていたけど、今度はワンマンで11カ所も回るわけですから。Zeppワンマンのとき以上に信じられないです。

──ワンマンツアーでそれぞれ課題として設定していることは何かありますか?

たか坊 ボーカリストとして、リリースされる音源がすべてだと僕は思っているので、そこを超える歌声を追求したい。一番は「音源と変わらないね」、もしくは「それ以上だね」と言われることがボーカリストとしての使命だと思うので、そこを目指して歌にこだわっていきたいです。

たか坊(Vo)

たか坊(Vo)

アルフィ 今回のツアーから、パフォーマンスにおいてちょっと変わったことをしようと決めていて。まずはそこを成功させることが一番です。

拓まん 個人としては、まずはギターがうまくなること。そしてTENSONGとしては、ライブでしか得られない何かを届けることが大切で。47都道府県ツアーではそれがどこか簡易的に終わってしまっていたので、もっと強い思いで1つひとつの音にこだわりながら、最終的にお客さんが笑顔で帰れるようなライブを作りたいです。

──2024年は初のCDリリースや初のワンマンツアーから始まるわけですが、TENSONGとしてどんな1年にしたいですか?

たか坊 とにかく自分の意思を貫く。それに尽きます。3人それぞれやりたいことがあると思うので、それを全部合体させて、実現させようと貫くことがTENSONGのあるべき姿なんじゃないかなと思います。

アルフィ そのやりたいことを、1つひとつ丁寧にやることも大事だなと思いますし。あとは、もっと自信をつけたいです。

拓まん 貫くこと、イコールありのままでいることだと思うんですね。それこそが普通でいることだと思いますし、周りから何を言われてもブレずに普通でいることが今年の目標です。

TENSONG

TENSONG

公演情報

TENSONG 1stワンマンツアー「普通なんていらないよ」2024

  • 2024年2月10日(土)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2024年2月17日(土)愛知県 CLUB UPSET
  • 2024年3月2日(土)香川県 sound space RIZIN'
  • 2024年3月3日(日)岡山県 IMAGE
  • 2024年3月23日(土)福岡県 Queblick
  • 2024年3月24日(日)大分県 T.O.P.S Bitts HALL
  • 2024年4月6日(土)長野県 ALECX
  • 2024年4月13日(土)宮城県 darwin
  • 2024年4月27日(土)北海道 cube garden

and more(※計11公演予定)


TENSONG「普通なんていらないよ」発売記念インストアイベント

  • 2024年2月11日(日・祝)兵庫県 タワーレコード神戸店 ミント神戸2Fデッキ
  • 2024年2月16日(金)愛知県 タワーレコード名古屋近鉄パッセ店 店内(※特典会のみ)
  • 2024年3月1日(金)香川県 タワーレコード高松丸亀町店 エントランス(※特典会のみ)
  • 2024年3月4日(月)岡山県 タワーレコードアリオ倉敷店 1F屋外イベント広場
  • 2024年3月22日(金)福岡県 タワーレコード福岡パルコ店
  • 2024年3月30日(土)大阪府 タワーレコード梅田NU茶屋町店
  • 2024年4月7日(日)長野県 タワーレコード上田店 イオンスタイル上田2Fイベントスペース
  • 2024年4月12日(金)宮城県 タワーレコード仙台パルコ店
  • 2024年4月26日(金)北海道 タワーレコード札幌パルコ店
  • 2024年5月11日(土)東京都 タワーレコード錦糸町パルコ店

プロフィール

TENSONG(テンソング)

たか坊(Vo)、拓まん(G)、アルフィ(DJ)の3人により2020年4月に結成。TikTokへのカバー曲の投稿を始め、同年9月には初のオリジナル楽曲「たいして綺麗でもない僕らの世界」を配信リリース。以降コンスタントにオリジナル楽曲を発表し、結成から2年でSNSでの総フォロワー数は100万人を超え、SNSの総再生回数は1億回再生を突破した。2023年には全国47都道府県を回る対バンツアー「~JUST FOR FUN 2023~」を完遂。同年8月に神奈川・KT Zepp Yokohamaで初のワンマンライブ「アーティストミマン」を行った。2024年1月、初のCD作品「普通なんていらないよ」をタワーレコード限定でリリース。2月より全国11会場を回る初のワンマンツアー「TENSONG 1stワンマンツアー『普通なんていらないよ』2024」を行う。