音楽ナタリー Power Push - 天才バンド

やついいちろうと迫る「Sundayカミデとは何者なのか?」

Sundayカミデ

打ち上げも2時間のショーとして成立させたい

やつい 「Love sofa」の打ち上げもめちゃくちゃ面白いですよね。打ち上げの面白さで日本の1、2を争うんじゃないですか? 基本的に打ち上げなんてみんな好き勝手に飲むものじゃないですか。でも、「Love sofa」は全然違って。

Sunday 「Love sofa」は打ち上げになると出演者がみんなそわそわしだすんですよ。特に若手の人たちは。僕がみんなにいろんなことを振って、フリースタイルラップやダンスをやってもらって、打ち上げも2時間のショーとして成立させたいと思っていて。で、みんなゲロゲロに疲れて終わって、ほとんどお酒も飲んでないんですよ(笑)。

左から天才バンド、やついいちろう。

やつい 参加してる分には楽しいんですけど、自分も1つのピースになるとキツい(笑)。Sundayさんはホントに突然振ってくるから。ライブ中もいきなり「フリースタイルでラップしてください」って言ってくるので。そんなこと振られても、こっちはできないじゃないですか。

Sunday ワンダフルボーイズのライブで、本職のラッパーの人が出てきて最後にフリースタイルラップをやって、最後の最後に「やついさんです! ドーン!」って振るみたいな(笑)。

やつい できないですよ! でも、それもSundayさんのお客さんに楽しんでもらいたいという思いからきてることだし、こっちもおもんないことはできないし、とにかく必死に言い訳をして切り抜けるんですけど。

Sunday ちゃんと全部笑いに変えて切り抜けるからさすがですよね。

やつい 根比べですよね。「Sundayさん、早くあきらめてくれないかな」みたいな(笑)。

──奇妙さんやテシマさんも打ち上げのときにムチャぶりされるんですか?

奇妙 僕は歳が1つ上なんで大丈夫なんです。

Sunday そこは一応、体育会系なので(笑)。

テシマ 僕は振られますね。お酒方面で(笑)。

客が盛り上がってなくても、3人がやり尽くして帰るのが天才バンド

やつい しかし今日、全然天才バンドの話をしてないですね。

一同 (笑)。

──では、最後に天才バンドの話をして締めましょう。やついさんは天才バンドの作品を聴いてどのような印象を受けましたか?

やつい 3人はお互い別名義の活動もあるから、最初はある意味でパーティバンド的な、スペシャルなときにだけやるバンドというイメージだったんです。でも、アルバムを聴いて、ライブも観ると、すごく調和してるんですよね。それでいて、ワンダフルボーイズとも奇妙さんのソロともトラベルとも違う。どちらかと言うと、アニメーションズのライブを観たときの感覚に近いですね。

──かなりロックなバンドですよね。

やつい そう、ものすごくロック。Sundayさんと奇妙さんのとがった部分が天才バンドでは強く前に出ているなって。

奇妙 自分ではあんまり考えたことないんですけどね。

Sunday 確かに天才バンドはどんどんそのモードが強くなってますね。

奇妙 でも、昨日ひさしぶりにスタジオに入ったけど全然うまくいかなかったですね(笑)。

Sunday そうそう、今まで結成してから1回しかスタジオに入ったことがなかったんですけど、昨日2回目のスタジオに入って。

奇妙 たまには練習せなあかんってなって。

Sunday 昨日はスタジオでちょっとセッションして「曲ができたらいいな」と思って入ったんですけど、何も生まれず(笑)。それも天才バンドらしくていいかなと。

──今作でも最近のライブでもSundayさんは鍵盤だけではなくベースも弾いてますけど、それもあってさらにバンドのダイナミックさが増してる気がします。

Sunday そう、ベースは10代の頃ずっと弾いていて。ビーチバレーをやる前に組んでいたミクスチャーバンドでベースを弾いていた感覚を思い出してスラップしてます。まさか天才バンドでベースを弾くとは思ってなかったんですけどね。奇妙くんがベースをプレゼントしてくれたんですよ。それがうれしくて、弾いてみようと思って。

奇妙 Sundayさんにひさしぶりにベースを弾いてもらいたいなと思って。

Sunday それくらい天才バンドは自由なんですよね。やっぱりバンドにはそれぞれ違った運命やモードがあると思うんですよね。

やつい それは「笑い」でもあって。あるネタが浮かんでもこのコンビでは違うなと思って採用しなかったりする。そういうふうに溜まっていくモードってあるんですよね。

Sunday わかります。たとえばワンダフルボーイズでライブをするときは最後にめっちゃ盛り上がって、コール&レスポンスがあって「はい、OK!」というゴールがあるんです。トラベルもそれに近いゴールがある。でも、天才バンドはコール&レスポンスもなく、お客さんがワーッって盛り上がってなくても、僕ら3人が演奏をやり尽くしてゴールを迎えるんですよ。前にそれについてライブの帰りにタクシーで話したよね。

テシマ 話しましたね(笑)。

Sunday 「お客さん全然盛り上がってなかったけど、あれでいいんかな? 天才バンドはいいんやろうな」って。それくらいバンドによって使命が変わるんですよね。天才はメンバー3人が演奏をやり尽くして帰るのが似合う。ワンダフルボーイズのギターの子がそんな感じでライブをやってたら「何してんねん!」ってめっちゃ怒りますけどね(笑)。人によって変わりますよね。同じことを言っても面白い人と面白くない人がいるし。

やつい 最初はなんだかわからないけどだんだん形になってきて、使命が生まれて、また新しい曲ができたりするんでしょうね。でも、天才バンドはまだどこに転ぶかわからない面白さがあると思うんですよね。だからこそ、なんでもできる感じがする。それってバンドが一番面白い時期だと思うんですよ。あと、Sundayさん個人に期待したいのは、どんなに忙しくてもケツのないSundayさんでいてほしいですね。「朝まで大丈夫ですよ」っていう余裕のある人でいてほしい。それさえキープしてもらえれば、あとは何も言うことないですね。何度も言うけど、歳をとればとるほど評価される人だと思います。

Sunday ありがとうございます。そうします(笑)。

やつい 僕もSundayさんにはすでに相当影響を受けてるので。Sundayカミデ軍団がこれからどのように成り上がっていくか楽しみにしてます。

天才バンド ニューアルバム「アリスとテレス」 / 2015年11月4日発売 / 2916円 / unBORDE / WPCL-12256
「アリスとテレス」
収録曲
  1. ロックジェネレーション
  2. Joy to the world!
  3. 好きだよ
  4. firefly
  5. ビューティフルグッバイ
  6. ダラダラ
  7. 琴平電鉄~君だけのライフ~
  8. ロックライダー
  9. THIS IS LOVE
<スタジオジャムセッション>
  1. FUNK YOU FUNK
  2. BLACK TAHITI GIRL
  3. CAT FOOD BLUES
  4. レッドホットチリ島
  5. SHIBUYA STRUT
  6. ONIGIRI
天才バンド ワンマンライブ
ヤクザも政治家もエリツィンもレーガンも毛沢東もキング牧師もロッケンロール!ツアー2015
  • 2015年11月19日(木)
    東京都 渋谷CLUB QUATTRO
  • 2015年11月27日(金)
    愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2015年12月4日(金)
    宮城県 仙台MACANA
  • 2015年12月12日(土)
    大阪府 梅田CLUB QUATTRO
天才バンド(テンサイバンド)
天才バンド

奇妙礼太郎トラベルスイング楽団の奇妙礼太郎(Vo, G)とテシマコージ(Dr)、ワンダフルボーイズのSundayカミデ(Cho, Piano)からなる3人組ロックバンド。「Sundayカミデが作った曲だけでアルバムを作る」という奇妙の提案をきっかけに2013年に始動し、「君が誰かの彼女になりくさっても」などのワンダフルボーイズのカバーを中心にした1stアルバム「アインとシュタイン」を2014年4月にリリースした。その後、精力的なライブ活動を続けてファンを獲得。2015年11月に2ndアルバム「アリスとテレス」で、ワーナーミュージック・ジャパン内レーベルのunBORDEよりメジャーデビューした。

やついいちろう
やついいちろう

お笑いコンビ・エレキコミックのボケ担当。芸人としての活動の一方で、DJとしても活躍しており「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」「COUNTDOWN JAPAN」といったロックフェスに出演し、人気を博している。自身でもお笑いと音楽を融合させたフェス「YATSUI FESTIVAL!」を主催するほか、フェスと同時期に毎年ミックスCDも発表している。