“ソ”が“リ”に見えた居酒屋の「ゲソ天」
──「ゲソ天」は、打ち上げした居酒屋でSundayさんが「ゲソ天」を「ゲリ天」って読み間違えたエピソードから広がっていって。
Sunday こないだもどこかで「“リース焼きそば”ってなんなん?」って人に聞いたら、それ“ソース焼きそば”やったんですよね……僕、“ソ”が読めないみたいで。
奇妙 リース焼きそばってコピー機じゃあるまいし(笑)。
Sunday 「何がリース焼きそばやねん!」って言ったら、「いや、Sundayさん、ソース焼きそばです」って言われて。「うわあ、これやったことあるわ! 『ゲソ天』のやつやんけ!」ってなって(笑)。どうしても“ソ”が頭に入ってこないんですよね。
奇妙 Sundayさんは昔、入院したときに死にかけてますから。その影響じゃないですかね(笑)。
Sunday たぶん後遺症。死にかけたときに“ソ”だけ天国に置いてきて、それと引き換えに生命を助けてもらったんやと思います(笑)。
──続く「キス キス キス」は本当にグッドメロディですね。
Sunday あれは奇妙さんにしかできないですね。僕はそこに乗っかって、メロディを付け加えていくのがめっちゃ好きなんですよ。「そろそろ入っていいですか?」って目で合図しながら縄跳びに入るみたいな感じで(笑)。
奇妙 学校の放課後、友達と遊んでる感じはある(笑)。
──「キス キス キス」はちゃんとスタジオ音源として完成させてもいいんじゃないですか?
Sunday そこが難しいところなんですよ。その場でしかない空気の中で生まれた曲をスタジオでレコーディングして、また違う曲になってしまう寂しさとよさがあって。「『キス キス キス』をレコーディングしましょう」ってなったらやりたいけど、あのときの「キス キス キス」ではなくなるし。
奇妙 僕は即興でできた部分にメロディとか歌詞を考えて付け加える必要性を感じないんです。即興曲はその場でやったこと以降に興味が沸かない。誰かが新しく作ってくれたらいいんですけど。そういう感覚がずっとあって。
──サビだけでいいみたいな。平歌のバースをSundayさんに作ってもらえばいいんじゃないですか?
Sunday 奇妙くんが高速道路だけ乗るみたいな(笑)。「下道は僕が運転しましょうか? はい、次のインターから奇妙くん!」って。そういうやり方もありやとは思う。だけど奇妙くんはスパッとサビを作れちゃうから、そこからAメロを作るのはテンション的に難しいと思う。
──例えばラップだったら、現場で生まれたフリースタイルがすごくよくても、レコーディングしたら生々しさが薄まってしまうみたいなこともあるでしょうし。
Sunday まあそうなんですよね。
「ロミオとジュリエット」は奇妙礼太郎の思い付き
──「ロミオとジュリエット」という曲とアルバムタイトルが生まれた理由は、ラストに収録されている「ロッケンロールベイベー」の寸劇でわかりました(笑)。
Sunday あれも奇妙くんの思い付きでツアー初日の名古屋公演でやり始めたんです(笑)。ファイナルの東京公演ではあの「ロミオとジュリエット」のやり取りがないとライブが完結できない感じがあって。
奇妙 「あなたはどうしてロミオなの?」みたいな、日常で言う機会があまりない決めゼリフみたいなのが好きなんですよね(笑)。「水戸黄門」の「この紋所が目に入らぬかー!」とか言ってみたくないですか?
──わかりますよ(笑)。フレーズとして気持ちいいし。
奇妙 このアルバムを聴いてくれる人が「あなたはどうしてロミオなの?」って家で言いたくなったら面白いなと思って。
Sunday それは確かに「なるほど!」って思うな。
奇妙 でもSundayさんだってこれまで生きてきた中で決めゼリフを言ってきたでしょ?
Sunday 「ケンカは外でやりなさい!」とかかな(笑)。奇妙くんが即興で出す決めゼリフは、もっと振り切れてるんですよね。
奇妙 何も考えてないからですよ(笑)。
──そこにパンクだったりロックンロールの根源に近いものを感じます。
Sunday そうそう。衝動がしっかり伝わるから、そこがすごい。
──そして、ライブ音源を反映してスタジオで録ったアルバムタイトル曲「ロミオとジュリエット」が実に素晴らしかったです。
Sunday もう本当に最高。奇妙くんが3日くらいで作ってましたけど。僕はね、「ロミオとジュリエット」のコード進行を教えてほしいですよ。レコーディングでベースを入れたんですけど、まだコード進行は知らないので(笑)。
スタジオ録音では曲が伝わるようなアレンジを
──スタジオレコーディングはどうでしたか? ライブ音源をアルバム後半に収録すること自体がスタジオレコーディングをするにあたって、1つのトピックにもなったと思うんですけど。
Sunday スタジオレコーディングでは何回か録り直した曲もあったし、いろいろ試行錯誤しましたね。「DANCE MUSIC FOR ME!!~Acoustic ver.~」だと、奇妙くんから「Sundayさん、ここエレキベースが入ってますけど、ウッドベースを入れてみませんか?」という提案を受けて、実際に入れてみたらそれがよかったりして。アレンジも相当変えていったよね? 実際に採用されたテイクは5バージョン目くらいのやつで。前日まではピアノをバーン!って弾いたテイクを録っていたけど、翌日スタジオに行ったらアコースティックなドラムが入ってるバージョンができていて。そこに僕がピアノやベースを入れていくというぜいたくな遊びをしました。
奇妙 「DANCE MUSIC FOR ME!!~Acoustic ver.~」は、最初はスタジオでもライブでやってるようなテンションで録ってみようと思ったんですけど、やっぱりライブとスタジオ録音って話が違ってくるなあと思って。ライブでしか出せないがむしゃらさというのがある。スタジオで録ってると、演奏の辻褄が合わへんなと思ったんですよね。でも、そういうのって聴いてる人には関係ない話やと思うんですよ。だから思いっきりアレンジをシンプルにして、曲自体がちゃんと伝わるようにしようと。アレンジに悩んですごく疲れましたけどね(笑)。
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ワンダフルボーイズの音源を奇妙は聴いていなかった
- 天才バンド「ロミオとジュリエット」
- 2017年6月21日発売 / unBORDE
-
[CD+DVD]
5292円 / WPZL-31327~8
- CD収録曲
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-Track from Studio Recordings-
- DANCE MUSIC FOR ME!!~Acoustic ver.~
- BIG JOY
- 僕らのLove song
- 寿限無
- ロミオとジュリエット
-Track from Tour Recordings-
- firefly(恵比寿)
- Joy to the world!(恵比寿)
- 冷やしてる(名古屋)
- 足なおった(名古屋)
- ゲソ天(恵比寿)
- キス キス キス(恵比寿)
- 天王寺ガール(恵比寿)
- LOVESTORY(恵比寿)
- SHIBUYA STRUT(名古屋)
- ロッケンロールベイベー(恵比寿)
- DVD収録内容
-
2017年2月東京・恵比寿LIQUIDROOM「諸君!ロックの秘密文書をこのクソみたいな世界から奪取せよ!ツアー2017」ファイナル公演
- DANCE MUSIC FOR ME!!
- SHIBUYA STRUT
- firefly
- 天王寺ガール
- ロックジェネレーション
- LOVESTORY
- BIG JOY
- Joy to the world!
- ダラダラ
- ロッケンロールベイベー
- ワンダフルボーイズ「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」
- 2017年6月21日発売 / WaikikiRecord
-
[CD]
2484円 / RDCA-1047
- 収録曲
-
- ロックジェネレーション!!!
- One music piano
- One music all right!!!
- 僕らParty in the sun
- 南青山CLUB fay
- STORY IN THE HOUSE!!!
- 惑星メイビー
- birthday(Skit feat.AZ.CATALPA)
- ダーリンno cry!!!
- ニーハオ in the house!!!
- Are you underground?
- FUNKYMICのラップ予言(Skit feat. FUNKYMIC)
- 夜のベイビーSpecial(feat. 田中幸輝from空きっ腹に酒 / FUNKYMIC)
- ダラダラ
- thank you for listening
- And Love
ライブ情報
- 天才バンド ワンマンツアー 2017「ロミオとジュリエット」
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- 2017年6月22日(木)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2017年6月23日(金)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2017年6月28日(水)福岡県 THE Voodoo Lounge
- 2017年6月30日(金)広島県 CAVE-BE
- 2017年7月1日(土)大阪府 Shangri-La
- 2017年7月2日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2017年7月7日(金)東京都 東京キネマ倶楽部
- Love sofa tokyo
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- 2017年7月9日(日)東京都 代官山UNIT
- <出演者>
ワンダフルボーイズ / DJやついいちろう / Enjoy Music Club / マッカーサーアコンチ / CHAI
- 2017年7月9日(日)東京都 SALOON
- <出演者>
奇妙礼太郎 / 清水アツシ / かみぬまゆうたろう / ジャパニーズCLUB / ナギラアツシのワンダフルワールド / DJ Kouhei'king'Nozaki / DJ アチャコプリーズ
- 天才バンド(テンサイバンド)
- 奇妙礼太郎(Vo, G)、テシマコージ(Dr)、ワンダフルボーイズのSundayカミデ(Cho, Piano, B)からなる3人組ロックバンド。「Sundayカミデが作った曲だけでアルバムを作る」という奇妙の提案をきっかけに2013年に始動し、「君が誰かの彼女になりくさっても」などのワンダフルボーイズのカバーを中心にした1stアルバム「アインとシュタイン」を2014年4月にリリースした。ユーモラスな掛け合いの中から即興曲を披露するなど独自のスタイルでライブを展開し、各地でファンを獲得する。2015年11月に2ndアルバム「アリスとテレス」で、unBORDEよりメジャーデビュー。2016年2月に東名阪ツアーを開催し、全公演でライブ録音および番場秀一監督によるライブ撮影を取り入れた。6月にこのツアーのライブ音源と、最終公演のライブ映像を含むアルバム「ロミオとジュリエット」をリリース。同月より今作のリリースツアーを開催し、7月7日に東京・東京キネマ倶楽部でファイナルを迎える。
- ワンダフルボーイズ
- レゲエやヒップホップ、ソウルなどの影響を感じさせる音楽と、実際に起きた出来事のみを歌詞にするスタイルからなる「マジであった事POPミュージック!」をコンセプトとしたバンド。天才バンドによるカバーで注目を集めた「君が誰かの彼女になりくさっても」を作詞作曲したSundayカミデ(Vo)を中心に、サポートメンバーを含め7人編成で活動している。2017年6月にニューアルバム「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」をリリース。7月9日には東京・UNIT、SALOONの2会場で行われる、クラブイベントとライブハウスイベントを融合させたSundayカミデの主催企画「Love sofa tokyo」に出演する。