Sundayカミデが在籍する天才バンドのアルバム「ロミオとジュリエット」とワンダフルボーイズのアルバム「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」が2作同時リリースされた。「ロミオとジュリエット」は2017年2月に開催された東名阪ワンマンツアー「諸君!ロックの秘密文書をこのクソみたいな世界から奪取せよ!ツアー2017」で録音されたライブ音源10曲と、ツアー後のスタジオレコーディングで生まれた新曲を含む5曲を収録。さらに東京・LIQUIDROOMで行われた同ツアーのファイナル公演を番場秀一監督が撮影・編集したライブDVDも付属する。一方、ワンダフルボーイズの「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」にはSundayカミデの実話を描いた楽曲を中心に全16曲が収録される。
音楽ナタリーでは2作品のリリースを記念して、Sundayカミデと奇妙礼太郎にインタビューを実施。天才バンドのライブバンドとしての真髄を紐解きつつ、ワンダフルボーイズの新作についても語ってもらった。
取材・文 / 三宅正一(ONBU) 撮影 / 中野修也
ライブは過去に戻って録音しに行けない
──「ロミオとジュリエット」はアルバムとして特殊なパッケージではあるけど、天才バンドだとしっくりくる内容になっています。前作「アリスとテレス」も前半はスタンダードなレコーディングで録った曲、後半は一発録りのセッションで作った曲を収めた二部構成でしたし。
奇妙礼太郎 やっぱり天才バンドって変なんですよね。集まって曲を作ったり、週に何回かスタジオに入ったりすることもなく。もはやバンドなのかもわからない感じがあって(笑)。このアルバムもただこうなっただけと言うか。
Sundayカミデ そうやね(笑)。ただ、天才バンドは音源とライブの感じが全然違うので。ライブはいい日もあれば悪い日もあるんですけど、それも含めて全部記録していたいと思っていて、今までのライブは全部録ってあるんですよ。
奇妙 ライブって振り返っていい感じだったなと思っても、過去に戻って録音しに行けないので。メンバーの誰かが死んだらけっこうなお金に変わるんじゃないですかね(笑)。
Sunday そうねえ(笑)。まあ2月のツアーも全3公演をしっかり録ってもらってよかったなと。ハプニングも起きたし。
奇妙 Sundayさんが足をケガして(笑)。
Sunday ステージから落っこちてね(笑)。
──ライブ音源を聴くとSundayさんが靭帯をケガしたことはなんとなく伝わってくるんですけど、そのシーンの映像を観ないと詳細はわからないという。
Sunday ライブDVDを観てもらえたら臨場感が伝わりますよ。我ながら「よくぞステージから落ちてくれた! ありがとう」って思いました(笑)。ステージから落ちた瞬間の映像を、番場(秀一)監督がしっかり背後から押さえていたので、監督に落とされたんじゃないかなという疑念もあるんですけど(笑)。
奇妙 怖っ!(笑)
ライブのリズムを整えるのはMCと即興曲
──MCで靭帯を負傷したこともネタにしながら即興で曲を披露したときのライブ音源が、「冷やしてる」「足なおった」というタイトルになって今作に収録されています。
Sunday こういう奇跡って天才バンドでしか起こらないんですよ。僕の場合は特にそう。天才バンドではいつも自分が想像してる少し上のところでチャレンジしてライブができるからこそ、奇跡が起こるんだと思うな。即興で作る曲に関しては、まず音を鳴らしてみてから始まっていくんです。
奇妙 ステージから落ちたあと、Sundayさんはお客さんが「足、大丈夫かな?」って心配しながらライブを観るのが申し訳ないと感じてはったから「足治ったー!」って叫んだんやと思うんですよね。そのフレーズがそのまま曲になっていくという(笑)。
──「足なおった」は奇妙さんがギターで弾くエリック・サティの「ジムノペディ」のフレーズから始まっています。
奇妙 あれは「ギター・マガジン」にスコアが載っていて、ちょうど練習してたから弾きたかっただけなんですよね(笑)。
──突然弾くフレーズはいつもそういう感じですか。
奇妙 はい、そうです。天才バンドでライブをしていて、僕が楽しいと思うのはそういうことができるところ。ああやって自由にしゃべったり、ギターを弾いたり、歌ったりすることで「今日、あんまり3人の息が合わへんな」って思っても、それがまったく気にならなくなる。
Sunday そうね。そうそう。
奇妙 なんかね、息が合ってないとお客さんにも伝わるんですけど、自由な即興とかMCにはそういう雰囲気をリセットする力があるなあと思って。
Sunday MCのときに曲ができたりするのは、事前にまったく予定してないことなので、そこには息が合うも合わないもなくて。「こうあるべきだ」というラインがあって、そこでズレてしまったら息が合う、合わないという概念が生まれるんですけど。
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“ソ”が“リ”に見えた居酒屋の「ゲソ天」
- 天才バンド「ロミオとジュリエット」
- 2017年6月21日発売 / unBORDE
-
[CD+DVD]
5292円 / WPZL-31327~8
- CD収録曲
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-Track from Studio Recordings-
- DANCE MUSIC FOR ME!!~Acoustic ver.~
- BIG JOY
- 僕らのLove song
- 寿限無
- ロミオとジュリエット
-Track from Tour Recordings-
- firefly(恵比寿)
- Joy to the world!(恵比寿)
- 冷やしてる(名古屋)
- 足なおった(名古屋)
- ゲソ天(恵比寿)
- キス キス キス(恵比寿)
- 天王寺ガール(恵比寿)
- LOVESTORY(恵比寿)
- SHIBUYA STRUT(名古屋)
- ロッケンロールベイベー(恵比寿)
- DVD収録内容
-
2017年2月東京・恵比寿LIQUIDROOM「諸君!ロックの秘密文書をこのクソみたいな世界から奪取せよ!ツアー2017」ファイナル公演
- DANCE MUSIC FOR ME!!
- SHIBUYA STRUT
- firefly
- 天王寺ガール
- ロックジェネレーション
- LOVESTORY
- BIG JOY
- Joy to the world!
- ダラダラ
- ロッケンロールベイベー
- ワンダフルボーイズ「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」
- 2017年6月21日発売 / WaikikiRecord
-
[CD]
2484円 / RDCA-1047
- 収録曲
-
- ロックジェネレーション!!!
- One music piano
- One music all right!!!
- 僕らParty in the sun
- 南青山CLUB fay
- STORY IN THE HOUSE!!!
- 惑星メイビー
- birthday(Skit feat.AZ.CATALPA)
- ダーリンno cry!!!
- ニーハオ in the house!!!
- Are you underground?
- FUNKYMICのラップ予言(Skit feat. FUNKYMIC)
- 夜のベイビーSpecial(feat. 田中幸輝from空きっ腹に酒 / FUNKYMIC)
- ダラダラ
- thank you for listening
- And Love
ライブ情報
- 天才バンド ワンマンツアー 2017「ロミオとジュリエット」
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- 2017年6月22日(木)北海道 札幌KRAPS HALL
- 2017年6月23日(金)宮城県 SENDAI CLUB JUNK BOX
- 2017年6月28日(水)福岡県 THE Voodoo Lounge
- 2017年6月30日(金)広島県 CAVE-BE
- 2017年7月1日(土)大阪府 Shangri-La
- 2017年7月2日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2017年7月7日(金)東京都 東京キネマ倶楽部
- Love sofa tokyo
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- 2017年7月9日(日)東京都 代官山UNIT
- <出演者>
ワンダフルボーイズ / DJやついいちろう / Enjoy Music Club / マッカーサーアコンチ / CHAI
- 2017年7月9日(日)東京都 SALOON
- <出演者>
奇妙礼太郎 / 清水アツシ / かみぬまゆうたろう / ジャパニーズCLUB / ナギラアツシのワンダフルワールド / DJ Kouhei'king'Nozaki / DJ アチャコプリーズ
- 天才バンド(テンサイバンド)
- 奇妙礼太郎(Vo, G)、テシマコージ(Dr)、ワンダフルボーイズのSundayカミデ(Cho, Piano, B)からなる3人組ロックバンド。「Sundayカミデが作った曲だけでアルバムを作る」という奇妙の提案をきっかけに2013年に始動し、「君が誰かの彼女になりくさっても」などのワンダフルボーイズのカバーを中心にした1stアルバム「アインとシュタイン」を2014年4月にリリースした。ユーモラスな掛け合いの中から即興曲を披露するなど独自のスタイルでライブを展開し、各地でファンを獲得する。2015年11月に2ndアルバム「アリスとテレス」で、unBORDEよりメジャーデビュー。2016年2月に東名阪ツアーを開催し、全公演でライブ録音および番場秀一監督によるライブ撮影を取り入れた。6月にこのツアーのライブ音源と、最終公演のライブ映像を含むアルバム「ロミオとジュリエット」をリリース。同月より今作のリリースツアーを開催し、7月7日に東京・東京キネマ倶楽部でファイナルを迎える。
- ワンダフルボーイズ
- レゲエやヒップホップ、ソウルなどの影響を感じさせる音楽と、実際に起きた出来事のみを歌詞にするスタイルからなる「マジであった事POPミュージック!」をコンセプトとしたバンド。天才バンドによるカバーで注目を集めた「君が誰かの彼女になりくさっても」を作詞作曲したSundayカミデ(Vo)を中心に、サポートメンバーを含め7人編成で活動している。2017年6月にニューアルバム「ロックロックロックジェネレーションSUPERVERSION!!!」をリリース。7月9日には東京・UNIT、SALOONの2会場で行われる、クラブイベントとライブハウスイベントを融合させたSundayカミデの主催企画「Love sofa tokyo」に出演する。