ナタリー PowerPush - たむらぱん×私立恵比寿中学
ついに実現! 放課後初対談
エビ中のみんなが歌うからこそ泣ける
──たむらぱんさんには「仮契約のシンデレラ」発売時に制作者インタビューで話を訊いていて、そのときは「エビ中には自分では歌えないことを表現してもらいたい」とおっしゃってましたよね。今回の「大人はわかってくれない」に関してはどうですか?
たむらぱん そうですね。もちろんその気持ちもすごくありましたし、あとはライブを観せてもらったりとかいろいろする中で、皆さんの勢いももちろんすごいんですけど、やっぱりその伝えるパワーっていうんですかね。それが本当にすごいなって思ったんですよ。だから次は、サウンドももちろん大事だけど、歌詞とメロディだけでも力強く届く曲を書きたいなっていうのは考えましたね。エビ中のみんなが歌うからこそ泣ける、というものにしたいなとはすごく考えました。それはきっと私が歌ってもできないことだと思うので。
──先程柏木さんがおっしゃっていたお母さんの反応もそうですけど、この曲、大人の心にかなり刺さりますよね。この歌詞を今のエビ中が歌っているというのが、さらにこの世界観にオーバードライブをかけているような感じもあって。
たむらぱん でもこの曲を作っている私も、もういい大人で(笑)。「結局私は誰に言いたいんだ?」とか「わかってくれない大人って一体どんな大人なんだ?」とか、自分が中高生だった頃の気持ちと今の気持ち、曲の中の視点と関係性を常に逆転させながら作るみたいな感じで。だから逆にこう、今のリアルな中高生にとっての「大人」ってどんなふうなんだろうって訊ねるような、私にとってはそんな曲でもありますね。
中学生と反抗期
──エビ中の3人は、何か大人への苛立ちみたいなものはありますか?
柏木 うーん、あんまり……。
瑞季 あんまりないですね。けどやっぱり、この歌を歌ってるといろいろ思ったり考えたりもします。
真山 私の場合はこの曲で逆に気付かされたっていうか。本当に。
──無理矢理先生に反抗してみたんですもんね(笑)。エビ中の皆さんは反抗期を迎えたりはしてないんですね。年齢的にはちょうどそういう時期だと思うんですけど。
真山 あ、でもなんか最近反抗期だと思う。周りの友達がちょっと反抗期だから、それに乗っかっちゃえみたいな(笑)。
瑞季 私は反抗期もっと前なんですよ。多分小6とか。なんかすごい反抗してました。お母さんに。
柏木 私、全然ない。
瑞季 あ、ひなたはなさそう。
柏木 これから来るかなあ?
真山 私と同じでいいんじゃない? 乗っかっちゃえば(笑)。
柏木 えへへ(笑)。
──たむらぱんさんは、自分が今のエビ中ぐらいの頃のことって覚えてます?
たむらぱん 覚えてますよ。私も多分反抗心とかあんまりないほうだったかな。例えば「ごはんのときはきちんと箸を並べなさい」って言われて、お父さんの箸だけちょっと散らかすとか(笑)。そういうすっごい微妙なことで発散するみたいな感じではあったかもしれないですね。表立ってこうワーッていうよりは。でもエビ中の皆さんの場合はこう、家族もあって学校生活もあって、さらにお仕事……っていうとちょっと大げさですけど、アイドルとしての顔もあるから、人と関わる環境がすごくいっぱいありますよね。それはまたちょっと特別な感じなんじゃないかなあ。そう思って「大人はわかってくれない」の歌詞では「大人に託された夢は 私たちはちゃんと感じているの」というレコード会社の人との関係性みたいな歌詞を書いたりして(笑)。自分たちを観てくれてる大人がいるというのは意識してるのかなあ、とか想像しながら書いてみたんですけど、やっぱり普通の中学生や高校生より関わる大人の数が多いですよね。
瑞季・真山・柏木 はい。
──まあ、中学生と高校……。
瑞季・真山 中学4年生です!
──はい(笑)。まあ中学生でありながら、同時に社会人1年生でもあるわけですよね。メジャーデビュー後は、社会的な壁にぶち当たるということありませんか?
瑞季・真山・柏木 社会的!?
真山 社会人としては……特にないよね? 私たちの場合は常にマネージャーさんだとかスタッフさんに支えられてるから、壁に直面する前に守られてるっていうか。
瑞季 あんまり意識したことがないです。社会人……。私たち社会人なんだね。
柏木 あははは(笑)。
しっとりした歌をエビ中が歌ったら
──メンバーを前にしたこの機会に、たむらぱんさんのほうから何か訊いておきたいことは? 今後のさらなる楽曲提供を見据えて、引き出しておきたいことなどあれば。
たむらぱん うーん。やっぱりメンバーそれぞれ歌いたい音楽とかってあったりするんですか?「こういう歌を歌いたい」とか。
真山 えー。私はわからない。
柏木 なんだろう……。
──エビ中はどちらかというと奇抜な曲が集まりがちですけど(笑)、本当はもっとかわいらしい曲が歌いたいとか、そういう欲はないですか?
真山 あー。確かにエビ中って女の子らしい曲というか、フワフワした感じの曲がないのんですよ。「バレンタイン・キッス」(国生さゆり)みたいな、恋する女の子の気持ちを歌った曲っていうのは全然なくて、私たちの曲はどっちかというと失恋ソングとかが多いので、思いっきり甘酸っぱい「青春!」って感じの歌も歌ってみたいなーと思うときはあります。
瑞季 そういうのももちろん歌ってみたいんですけど、私はただ立って歌うみたいな、ステップ踏んでちょっと手で表現するだけみたいな、しっとりした歌を歌ってみたいなって思います。
──激しく暴れ回るような曲じゃなく(笑)。
瑞季 ははは(笑)。しっとりした歌をエビ中が歌ったらどうなるのかなっていうのもまあ……、なんか想像できないっていうのはあるんですけど。
──これからワンマンライブなどで長時間のステージを披露する機会が増えることを考えると、確かにバリエーションはたくさんあったほうがいいかもしれませんよね。ずーっと走りっぱなしみたいなのもあれだから、ちょっと違うニュアンスも加えて。
柏木 でもさらに激しめな面白い歌も歌いたいです。やっぱりエビ中はほかのアイドルさんとは全然違うから、アイドルらしいアイドルソングとかは全然歌わないし。花粉症の歌(「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」)とか運動会の歌(「もっと走れっ!!」)とかもあるし、本当に誰も歌わないような面白い歌ももっと歌いたいなって思うんですよね。
ニューアルバム「wordwide」/ 2012年10月24日発売 / 日本コロムビア
CD収録曲
- new world
- おしごと
- でんわ
- ぼくの
- はだし
- ST
- ふれる
- 直球
- ヘニョリータ
- ポーズ
- 知らない
- でもない feat.Shing02
初回限定盤A DVD収録内容
- TAMURAPAN 5th ANNIVERSARY SPECIAL LIVE(※16曲約70分収録)
初回限定盤B DVD収録内容
- TAMURAPAN Music Video Collection
CD収録曲
- ebiture
- なにがなんでも(エビ中ver.)
- 大爆発NO.1
- えびぞりダイアモンド!!
- チャイム!
- どしゃぶりリグレット
- ザ・ティッシュ~とまらない青春~
- エビ中一週間
- オーマイゴースト?~わたしが悪霊になっても~
- ご存知!エビ中音頭
- もっと走れっ!!
- 売れたいエモーション!
- 永遠に中学生
- エビ中 出席番号のうた その1
- イッショウトモダチ
- また明日
- 約束
たむらぱん
作詞・作曲・アレンジはもちろん、アートワークまで手がけるマルチアーティスト・田村歩美のソロプロジェクト。2007年からMyspaceにおいて自ら楽曲プロモーションを開始し、日本初の「Myspace発メジャーデビューアーティスト」として、2008年4月に1stアルバム「ブタベスト」をリリースする。また自身の活動に加えて、松平健の「マツケンカレー」や、アイドルグループのbump.y、私立恵比寿中学などへの楽曲提供、さらにロッテ「Fit's」CM曲の歌唱など、多岐にわたる活動でその才能を発揮している。2012年10月に5thアルバム「wordwide」をリリース。
私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)
スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年8月4日の結成以降、数人の転校(脱退)と転入(加入)を繰り返し、現在は瑞季、真山りか、杏野なつ、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、鈴木裕乃、松野莉奈、柏木ひなたの9名が所属している。2010年2月14日に初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表。2011年10月には東京・Shibuya O-EASTにて初のワンマンライブを行い、大成功を収めた。「king of 学芸会」の異名を持つ個性あふれるパフォーマンスで人気を集め、2012年5月にはDefSTAR Recordsよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たした。11月21日にはインディーズ時代の楽曲をまとめたアルバム「エビ中の絶盤ベスト~おわらない青春~」と、ライブDVD / Blu-ray「私立恵比寿中学 ファーストコンサート『じゃあ・ベストテン』」を同時リリース。