ナタリー PowerPush - 私立恵比寿中学

ヒャダイン&たむらぱんが語るエビ中の魅力+PV監督アンケート(「仮契約のシンデレラ」家泉英明 / 「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」フカツマサカズ)

私立恵比寿中学が5月5日、シングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たした。デビューに先駆け3月4日に実施された調印式以降は、“仮契約”のまま「私立恵比寿中学 スプリングデフスターツアー2012 ~こりゃあ春からエビがいい!~」を行ってきた彼女たち。関東近郊での最終公演となった5月6日のラゾーナ川崎では、ツアーでのがんばりが認められ、晴れて「本契約」となった。

ナタリーでは彼女たちの持つ魅力に多方面から迫るべく、エビ中の“音楽主任”を務めるヒャダインこと前山田健一と、「仮契約のシンデレラ」サブカル盤(通常盤)のカップリング曲「結果オーライ」を提供したたむらぱんにインタビューを敢行。さらに、デビューシングルのビデオクリップを手がけた映像監督、家泉英明&フカツマサカズのメールインタビューと、エビ中メンバーによるコメントムービーも併せて掲載している。

文 / 臼杵成晃

前山田健一インタビュー

取材 / 岡島紳士 インタビュー撮影 / 臼杵成晃

エビ中音楽主任のお仕事

──エビ中と関わり始めたのはいつからですか?

元々ももいろクローバーと仕事をしていたのでエビ中の存在は知っていたんですが、強く関わり出したのは2010年5月くらいかな。「前山田さん、今度『えびぞりダイアモンド』って曲作って」って言われたんです。「じゃあ歌詞には『あいむそーりーえびぞーりー』って入れて、2番だけは『ひげそーりー』にしようか」みたいな話までして。で、実際に曲を作って聴いてもらったら好評で、ホントに歌入れすることになったっていう。それで「えびぞりダイアモンド!!」はエビ中初のオリジナル曲として、その年の「TOKYO IDOL FESTIVAL」で初売りされました。

──音楽主任に任命されたのはいつですか?

インタビュー風景

そのときくらいからですね。元々はエビ中ってレッスンの発表の場として機能していたものなんです。でもなんか「えびぞり~」をやったら評判が良くて、今に至るっていう。

──音楽主任の仕事ってどういうものなんですか?

エビ中のことをよく知っていて、一番多く曲を書いている、ということですね。ほかの曲には一切ノータッチですから。あと、レコーディングを通して歌唱指導はいつもしていますね。どういうふうに歌えばいいか、個性を出せばいいか、発声の仕方とか、もうホントに先生のように教えます。

エビ中メンバーの個性

──「えびぞりダイアモンド!!」で最初にレコーディングした際の、メンバーの印象を教えてください。

個人差がすごいあるなって思いましたね。あと幼いなと。けど一生懸命なのは伝わりました。みんなやる気があって。初期メンには戸惑ってる部分がありましたけどね。例えば「どしゃぶりリグレット」のワンフレーズ「リグレーット!!」にニュアンスを付けるような、ちょっとふざけたことをするのを恥ずかしがったり。星名美怜は「ハイわかりました」って言ってすんなりやるんですけど、瑞季とか真山りかは最初は照れてましたね。もう今は吹っ切ってやってますけど。美怜も最初はあまり歌がうまくなかったんですよ。でも「えびぞり~」のときにめちゃくちゃ練習して、うまくなってレコーディングにやってきたんです。一番キラキラしてたし、ひたむきな感じがしたので、「あいむそーりーえびぞーりー」のフレーズは美怜しかいない、と思いパートを与えました。

──最初からポテンシャルが高かったメンバーは?

廣田あいかがズバ抜けてましたね。まず地声の幼さと歌唱力の高さのギャップがすごかった。それから安本彩花と、あとからグループに入る柏木ひなた。この(当時)中1トリオは初めからポテンシャルが高かったです。美怜と真山は完全に努力型です。ももクロでいえば有安杏果タイプ。努力して努力して、実力をつけていきました。美怜は自分が歌いたい、歌うことを期待されてるだろうというパートを予測して、重点的に練習してくるんです。例えば「もっと走れっ!!」では「臆病風さえも 秋の空に溶ける もう 怖くないから」というパートがあって。正直言うと「あそこは美怜だな」って作ってるときから頭の中にあったんですよ。録り終わったあと「採用したよ。良かったね」って言ったら「私このパートやりたかったんですー」って。恐ろしい嗅覚ですよね。

──「個性」という面ではどうでしたか?

人間だから個性はゼロではないんですよ。でもみんな、その秘めたる個性をコントロールできていない感じで。自分をどうやって目立たせるか、ということを、僕から常に投げかけてましたね。「CDを聴いたときに『あー○○の声だ』ってわかるように自分らしさを出すにはどうしたらいいと思う?」って。

──具体的なディレクションとして、どのように指示しましたか?

インタビュー風景

基本的に個人に任せましたね。でも例えば真山だったら「アニメ声ができるんだったらアニメ声がんばれ」とかは言いました。ただ、あいか、ひなた、美怜に関しては言うことがなくて。すっごい練習して仕上げてくるんで。鈴木裕乃はまだ自分で個性をコントロールできてはいないかな。でも「放課後ゲタ箱ロッケンロールMX」に関しては、どうしてもパートが欲しかったみたいで。「でもなんでーなんでーゲタ箱に靴がないー」というフレーズも棒な歌い方になってたので「『な』と『ば』に力を入れてやってみよう。表情が出てくるよ」って言ったら、すぐ掴み取ったみたいで。その後の「蹴っ飛ばすぜ!」は何も言わなくてもできてたので、「放課後~」で裕乃がちょっとだけ覚醒したんじゃないかな、と思います。彩花はほんとににレアな人材で。彼女の良さは、等身大過ぎるほどに等身大な女の子なところですね。「360度どこから見てもアイドル」の美怜とは真逆の存在。全く芸能界ズレしてないっていう。それが顕著に表れてるのは「もっと走れっ!!」の「白組放送委員の安本彩花です。白組一歩リードです。白組がんばれ」の台詞です。すごくピュアな子で、レコーディングのときに「歌えない」って泣いちゃうくらいなんです。でも歌がめっちゃくちゃうまくて。「放課後~」の最初の絶叫もあいかと2人で担当しています。

──ほかのメンバーに関してはどうですか?

なっちゃん(杏野なつ)はまだ声変わりが終わってなくて、声が裏返るのがちょっとかわいそうかな。でも歌えるレンジで歌ったら、かわいらしい声をしているんです。正統派アイドルの歌声ですね。彼女はムードメーカーなところもあって、楽屋では1、2を争うくらいうるさかったり。瑞季はマイペースでいつものほほーんとして、ボケーッとしてる感じです。エビ中の中では一番声がかわいいんですよ。乙女声でお嬢様声で。喋り声が抱き締めたくなるくらいかわいいんです。「放課後~」では「品行方正で正しく生きてきた」っていうパートを伸びやかに歌ってます。りななん(松野莉奈)は、例えばドの音をファから始めると、そのままファがドと思い込んでしまうっていうくらいだったんです。でも周りとの競争で意識がかなり変わりました。最近は高い声も出るようになったし、音程も合うようになって。エビ中では“低音キャラ”で、「放課後~」では低音のラップ部分を全部任せました。ももクロ時代の早見あかりみたいなキャラにできたらカッコいいんですけどね。

メジャーデビューシングル「仮契約のシンデレラ」 / 2012年5月5日発売 / DefSTAR Records

初回生産限定エー盤 / 1200円(税込) / DFCL-1885 / Amazon.co.jp

収録曲
  1. 仮契約のシンデレラ
  2. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  3. 揚げろ!エビフライ
  4. 仮契約のシンデレラ (Less Vocal)
  5. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX (Less Vocal)
  6. 揚げろ!エビフライ (Less Vocal)

※トレーディングカード9種のうち1種ランダム封入

初回生産限定ビー盤 / 1200円(税込) / DFCL-1886 / Amazon.co.jp

収録曲
  1. 仮契約のシンデレラ
  2. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  3. 歌え!踊れ!エビーダダ!
  4. 仮契約のシンデレラ (Less Vocal)
  5. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX (Less Vocal)
  6. 歌え!踊れ!エビーダダ! (Less Vocal)

※トレーディングカード9種のうち1種ランダム封入

サブカル盤(通常盤) / 1200円(税込) / DFCL-1887 / Amazon.co.jp

収録曲
  1. 仮契約のシンデレラ
  2. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX
  3. 結果オーライ
  4. 仮契約のシンデレラ (Less Vocal)
  5. 放課後ゲタ箱ロッケンロールMX (Less Vocal)
  6. 結果オーライ (Less Vocal)

※初回プレス仕様あり

私立恵比寿中学(しりつえびすちゅうがく)

アーティスト写真

スターダストプロモーション芸能3部に所属するアイドルグループ。2009年8月4日の結成以降、数人の転校(脱退)と転入(加入)を繰り返し、現在は瑞季、真山りか、杏野なつ、安本彩花、廣田あいか、星名美怜、鈴木裕乃、松野莉奈、柏木ひなたの9名が所属している。2010年2月14日に初のシングル「朝のチャイムがなりました!」を発表。2011年4月には事務所の先輩であるももいろクローバー(現・ももいろクローバーZ)の中野サンプラザ公演にゲスト出演し、前山田健一プロデュース曲「チャイム!」「ザ・ティッシュ~とまらない青春~」を披露した。2011年10月5日には6枚目のシングル「もっと走れっ!!」をリリース。同月8日には東京・Shibuya O-EASTにて初のワンマンライブを行い、大成功に収めた。「King of 学芸会」の異名を持つ個性あふれるパフォーマンスで人気を集め、2012年5月5日にはDefSTAR Recordsよりシングル「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たした。