ナタリー PowerPush - 竹内電気
「ダサかっこよさ」満点の2ndアルバムついに完成!愛知が生んだ不思議5人組の素顔に迫る
竹内電気らしさは「ダサかっこよさ」
──自分たちで「竹内電気らしさ」ってどういう部分だと考えてますか?
斉藤 たぶん全員、ダサかっこいいのかダサいのかみたいな、微妙なラインが好きなんだと思います。聴いてる音楽は全員バラバラでもそこだけは共通してるというか。
竹内 ちょっと半笑いぐらいでやれる音が自分たちに合っているかなって。半笑いで「ちょ、このフレーズやばくね?」みたいな雰囲気で(笑)。
──そのぐらいのラインをキープできるコツは何でしょうか。「ダサい」にも「カッコいい」にもいかないライン。
竹内 人が聴いたら本当はダサいのかもしれません(笑)。よくわかんないんですけど。
斉藤 俺らから言ったらこのあたりが最先端のカッコよさなんですよ。自分たちの中では確固たるバランスがあるんですけど、具体的には説明しづらいですね。ただ、そういう説明しづらさみたいなのが竹内電気の面白さだとも思っているんで。
──それはありますね。最初にライブ観たときも「なんだろうこのバンド、曲はすごくカッコいいんだけど、でも……」みたいな第一印象があって。
竹内 違和感みたいなものが(笑)。そういう違和感は出したいと思ってますね。シカトされるのが一番イヤなので、僕らのサウンドで何かしら引っかかってもらいたいです。
──たとえばバンドの活動の上で、誰かが「これはさすがにダサすぎない?やめない?」みたいに言い出すことはないんですか。
斉藤 ないです(即答)。
──(笑)。
斉藤 たとえば「生きてる意味が」とか「僕が今ここにいる理由」とか、そういう歌詞を持ってきたら「ちょっと無理っす」ってなると思うんですけど。リスナーとして聴く分にはいいんですけど、それは自分たち発信でやることじゃないよな、ってのはありますね。
──竹内電気的にはダサいこと?
斉藤 ダサいっていうか、「なし」ですね。今後はわからないけど今のところはそうです。
山下 自分たちが立派な人間になるところから始めないとダメですね。ああいうのって自分に自信がある人がやるものじゃないですか。自分に自信があるから落ち度や弱点を認めて歌詞に書けるんだと思うけど、僕は落ち度がありすぎてまだ無理です(笑)。
自分のことを書くのがとにかく恥ずかしい
──竹内電気の歌詞と言えば、一歩踏み出せない男の子の物語というイメージが強かったんですが……。
竹内 童貞っぽい(笑)。
──そこまで言ってませんけども(笑)。ただ、「SHY!!」では一歩は踏み出せていないんだけど、半歩ぐらいは踏み出している雰囲気を感じます。
斉藤 そうですね、以前よりは前向きですね。自分たちの環境が以前とは変わってきて、音楽に専念できるようになったことが現れてるのかもしれません。
竹内 僕も前回はいろいろと考えながら歌詞を書いていたのが、今回はすごくスラスラ書けた気がします。やっぱりバンドの状態がそういう前向きモードなんでしょうね。
──前向きではあっても、やっぱり演奏してるメンバーや聴いてるファンの周囲からかけ離れた世界には行かない歌詞ですよね。
斉藤 あまり歌詞に突飛なことは求めないんですよ、たとえばドラクエ的な世界観とか。ある程度物語をつむいでいくように、主人公やストーリーを考えて書いているんですけど、行き過ぎた物語ではなくて身近にある物語になりますね。主人公と自分が半々ぐらいに反映された歌詞になってると思います。
竹内 僕は他の2人よりも現実的というか、あまり感情を入れない歌詞になります。自分がボーカル取ってないせいもあって、淡々とした歌詞が多めですね。自分の感情を入れるぐらいだったら歌ったほうがいいんじゃないかと。
──自分の感情はギターに込めているってことですか。
竹内 カッコよく言うとそうなりますね(笑)。
──じゃあメインボーカルの山下さんは、自分の書く歌詞についてどう考えてますか?
山下 僕は自分のことを書くのがとにかく恥ずかしいんですよ。自分と全然違う人格を引っ張り出して書いてますね。聴いてる人から自分のことを隠したいし、「この人はこういう人なんだ」って歌詞から想像されるのも恥ずかしいです。本人の人間性が出てる歌詞とか、僕には書けないですよ。
──ボーカリストってわりと「俺が!俺が!」みたいな人が多いですけど、意外ですね。
山下 僕はわりと引き気味で、周りが目立ってほしいってタイプです。キーボードボーカルっていうポジションのせいもあるかもしれません。ライブでもそんなに動きがないし、目立つポジションじゃないし。
──じゃあ竹内電気らしい世界観に合わせて歌詞を書くのがちょうどいい感じですか。
山下 そうですね。合わせよう合わせようと頑張ってるわけではないんですけど、自然とそうなってますね。
CD収録曲
- boys be
- milk tea
- sing a song
- cool
- happy end
- rough sketch
- semisuite
- It's too late
- speed king
- thrill
- graffiti
- memories
竹内電気 (たけうちでんき)
竹内サティフォ(G)、山下桂史(Vo,Syn)、斉藤伸也(Vo,G)、加藤広基(B)、苅谷達也(Dr)から成る5人組バンド。バンド名はメンバーの竹内の実家が経営する会社名に由来している。高校時代の幼なじみ同士で結成され、2005年に本格的なライブ活動をスタート。バンド名からエレクトロニカサウンドを連想しがちだが、実際には80年代の邦楽をベースに、ときにAORまでも匂わせる「超ド級ポップ」。2008年3月に満を持して1stフルアルバム「OK!!」をリリースし、ライブやイベント出演を通しファンが急増している。