ユニコーンみたいなバンド

──最近の竹内電気はライブの動員もすごく増えてるし、知名度もどんどん上がってきてますが、同世代のバンドとはどこか違った魅力を持っていることがその理由のひとつだと思うんですが。自分たちではどんな風に感じてますか？

山下　ひとりひとりの個性があるっていうのはよく言われますね。全員のことをこんなに一気に覚えられるバンドはいないって。なんかね、ユニコーンみたいな感じだと。音楽性は違うんですけど、キャラの立ち具合がユニコーン的だとは言われます。大ファンなんで恐れ多いんですが。

──ああ、それわかります。サービス精神とか、バンドの立ち位置とか。

斉藤　あそこまでは突き抜けていないけど、古すぎず新しすぎず、懐かしいけどあんまり聴いたことないサウンドというか。そこのバランスの取り方は近いかもしれませんね。自分で言うのも何ですけど。

──どんな世代が聴いても楽しめて、だけど聴いたことないものが漂ってるんですよね。

斉藤　全員ガッチリといろんな音楽をコピーして自分のものにしていったわけではないから、雰囲気だけを汲み取ってアウトプットしてきた経緯があるので。その過程で出る歪みみたいなものを新しく感じたり、不思議な感じに聴こえたりするんだと思います。

──そういう部分を周りのスタッフから「これはどうなの？」みたいに言われることはありませんか？

山下　理論的におかしい部分を指摘されたりはしますけど、その程度ですね。マスタリングしたエンジニアがアルバム聴いて笑ってたりしましたけど、「なんか変な曲多いなー」って（笑）。

斉藤　まあそういうところが竹内電気のオルタナティブな魅力だと思いますけども。

──いい言葉ですね、オルタナティブって。

斉藤　便利な言葉ですよね（笑）。

不良なんて怖いじゃないですか

──他に自分たちの特徴とか、どういう部分だと思っていますか？

斉藤　全員末っ子っていうのは大きいかもしれませんね。末っ子か一人っ子ばっかりで。

山下　あー、末っ子っぽさはたしかに歌詞に出てますね。

──末っ子バンドで誰がリーダーシップ取るんですか？リーダーの竹内さん？

山下　いや、取れる人間はいないです（断言）。無法地帯ですんで、今年は全員しっかりしていければいいなと。

斉藤　みんなでお互いに思いやりを持って。

──そこからスタートですか（笑）。でも、末っ子ばかりでマッチョじゃない感じってのは竹内電気の重要なファクターかもしれませんね。

斉藤　やりたい放題が5人集まってるけど暴力的じゃないというか。

山下　ヤンキーにはならない末っ子ですね。不良っぽさゼロですから。

──不良っぽさやヤンキー文化に対する憧れみたいなものはないんですか？

斉藤　ないですないです！不良なんて怖いじゃないですか！ヤンキーマンガ読んでも常に「うわあ、こんなことされたらイヤだなあ」って脅されるほうに感情移入してますし。

竹内　僕らがなれなかったものに対する憧れはありますけどね。だって不良になって傍若無人に過ごしたほうが楽しいじゃないですか、人殴ったりして（笑）。ただ現実は腕っぷしも弱いし、そういう風にはなれなかったんですが。

──たしかに全員カツアゲするかされるかで言ったら、カツアゲされるほうですよね（笑）。じゃあ音楽的な部分で、男っぽいロックンロールへの憧れはありますか？

山下　それは多少はあるんですけど……俺らがやることなのかな、って。

斉藤　俺らがやっても「ロック風」になっちゃうと思うんですよ、カニカマボコみたいに。でもカニって食べにくいし甲羅も硬いから、コストパフォーマンスが良くて場合によってはカニよりおいしかったりするカニカマボコのほうがいいのかな、っても思いますけど。

加藤　これ何の話？（笑）

斉藤　わかんない。ヤンキー論？

山下　とにかく不良の人たち、ロックの人たちと俺たちは違うな、と。

──まあロックの人は自分たちのアルバムに「SHY!!」ってタイトルはつけませんよね（笑）。

斉藤　ですよね（笑）。