田原俊彦|トシちゃんが赤裸々に語るデビュー40周年を迎えた今

「好きになってしまいそうだよ」は深いところに刺さった

──デビュー40年という節目で、80年代後半の田原さんを支えた松井五郎さん都志見隆さんコンビの楽曲「好きになってしまいそうだよ」がリリースされます。この周年のタイミングでどんな曲が出てくるのかを楽しみしていたんですが、聴いてみるとすごく沁みるラブソングでした。

案外地味なね(笑)。

──例えば、すごく派手にダンスする曲だったりとか、得意なパターンがいくつかあると思うのですが、その中でも心に沁みる大人のラブソングを選んだのはなぜですか?

シングルの候補曲として松井五郎さんと都志見隆さんに「好きになってしまいそうだよ」とカップリングになった「Kissしちゃおう」を作ってもらったんです。もう1曲のカップリング「ラストソングは歌わない」も候補で、網倉一也さんが作ってくれたんですけど、すごくいい曲ですよね。3曲聴いて最初にやっぱり耳につくのは「Kissしちゃおう」。サウンドがね、僕らしくて派手だったから。でも「好きになってしまいそうだよ」というタイトル……松井五郎さんの歌詞がね、えげつないほどよかったんです。特に2コーラス目の「運命はそう選べないもの 願いと違う道に誘い込みたがる」なんか、最高ですよ。去年のシングル「Escort to my world」がド派手だったこともあって、落ち着いた曲もいいのかもと思ったんです。40周年に「Kissしちゃおう」は違うかなと(笑)。「好きになってしまいそうだよ」は歌詞もそうなんですけど、オケで聴いたときに音の響きとかも、心の深いところに刺さったんですよね。周りのスタッフの見解もみんな一致して「これでいこう」ということになりました。

──いつもリクエストはどのように出しているんですか?

「今回はダンサブルなやつでいきたい」とか「今回はバラード風なやつと対極の」とかそういう発注をかけたらすぐに理想の曲が上がってくるんです。もうすごく僕の好みをわかってるんですよね、あのご両人は。

──多く細かく注文する必要もなく、みたいな。

田原俊彦

そうそう。「あ、トシだな」というのがちゃんと上がってくる。たぶん2人の中でも、僕は特別な存在なんですよ。僕にとっても特別だから10周年、20周年、30周年ってアニバーサリーイヤーの曲は必ずあの2人に書いてもらっていますし。松井五郎さんの歌詞はね、「今、トシはこうだな」じゃないけど、もろに俺をついてくるんですよ。気持ち悪いぐらいに。お二人は現状の僕のパフォーマンスのクオリティもわかってますしね。「だいぶ歌えるようになったなー」とか「だいぶハアハアしてるなー」とか(笑)。

──パフォーマンスすることを踏まえて作ってくださってるんですね。

そうそう。

──これは相当沁みる曲ですし、ファンの人が聴いてもいろいろ考えてグッときちゃう部分があると思います。長年田原さんの音楽を聴いてる人にはより響くんじゃないかと。

でもねえ、みんないろいろ言うんですよ。「なんで40周年にこんな大人しい曲なの」とか「やっぱり踊ってほしかった」とか。そんなのは……俺が決める!(笑)

──でもそこを楽しみたい人のためにも、カップリングがありますからね。

そうそう。それに今後またファンキーな曲やジャジーな曲、ロックな曲も歌うかもしれないし。そこは焦らずに、次回のお楽しみにしておいてください。僕の中にもいろいろ挑戦したいという思いもありますし。

「氣志團万博」はもちろんぶっ飛ばします

──「好きになってしまいそうだよ」はいわゆる40周年というアニバーサリーイヤーの幕開けを告げる曲ですよね。周年ということで、今後またいろいろ動きがあるのかなと思うのですが……。

特別な動きは何もないですね。音楽以外でドラマや映画もあるかもしれないけど、僕の中ではやっぱりコンサートが一番大事。

──40周年だから何か特別なことをするわけではなく、むしろ今までやってきた通りにライブなど音楽活動をキッチリやっていくという。

そうですね。そのペースは変わらない、変えたくないっていうのももちろんあるし。

──今年は「氣志團万博」への出演が控えていますよね。「房総ロックンロール最高びんびん物語」と完全に田原さんに寄せたサブタイトルも付いていますが。

ねえ。大丈夫かね?

──「氣志團万博」は山下達郎さんや布袋寅泰さんのようにいわゆる“レジェンド枠”のアーティストが出演するんです。来場者はみんなすべてのアクトを満喫する気で来ているので、レジェンド枠の田原さんのステージは大盛り上がりになるはずです。綾小路翔さんが歌詞を提供した「Mr.BIG」の披露も期待されていると思います。

田原俊彦

「Mr.BIG」はやらないかもしれないけど(笑)。もうとびきりのヒットメドレーをやってやろうと思っています。もちろんぶっ飛ばしますよ。

──それは本当に楽しみでしょうがないですね。

内心ちょっと怖いですけどね。あと「ケータリングがめちゃうまい」とか「グッズが売れる」とかオイシイことばっかり言われてるんだけど、まずは台風が来ないかが心配だよ(笑)。

──(笑)。ここから先で、今までやってこなかったことでやりたいことは何かありますか?

氣志團のフェスもそうだけど、違うフィールドのイベントに出るのはアリかなと思っています。でも基本はやっぱり自分のステージを全力でやることが僕の使命。もちろん新しい曲も聴いてほしいけど、これまでの曲も披露していきたいですね。昔からのファンの方が、子供が成人したり手が離れたりして、時間が取れるようになってライブに来てくれていますから。しばらく観てなかった人が帰ってきたときに「あー、トシちゃん変わらずやっているな」と思ってもらいたい。新しいチャレンジよりも、自分のペースで、ヒット曲を出せることを目指して毎年がんばっていきたいです。

──40年間ブレずに活動を続けて、求めるキャラクターでいてくれるので田原さんのファンはきっと幸せですよね。「ゴッドタン」というバラエティ番組で劇団ひとりさんが“トシムリン”という田原さんをモチーフにしたキャラクターを演じていたことがあったんですが、ご存知ですか?

あれ似てないよな(笑)。でもやってくれてるだけでうれしいわ。

──田原さんのキャラクターが確立しているからこそ、成立するキャラクターですよね。

コロッケもそうだけど、マネしてもらえるのはいいよね。田原俊彦というブランド力をもっと上げていけたらいいなと思っていますよ。若い世代にも認識してもらって、ちゃんと聴いてもらえる楽曲を提供できるようにしていきたいですね。

──それこそ「氣志團万博」は新しいファンにアピールするいい機会になりそうですよね。実際にステージを観たら「あ、こんなにヤバいんだ」とみんな実感すると思います。

いやー、怖いわ。ギャラはしっかりもらうけどな(笑)。

田原俊彦

※記事初出時、リード文に誤りがありました。訂正してお詫びいたします。


2019年7月17日更新