J-POPっていいな、くもりの日もいいな
──サウンドメイクにおいては趣味の延長で、好きなものが反映されたということですが、歌詞に関してはいかがですか?
僕、槇原敬之さんの「LOVE LETTER」という曲がすごく好きで、家族で出かけるときは車でこの曲をよく聴くんですけど、ただ曲を流しているだけでも、言葉の1つひとつから曲の情景が浮かんでくるんですよ。こういう、聴いただけでドラマのワンシーンが浮かんでくるような曲、僕の作品にはなかったなと思って。あるとき、出かけた帰りの車の中で「よし、家に着いたらこういう曲を作ろう」と思ってできたのが「恋花火」なんです。
──歌詞にも、完全に趣味や好きなものが反映されているんですね。
そうなんです。「恋花火」が完成して「やっぱりJ-POPっていいな」と思いました。で、その次の日の天気がくもりで、「くもりの日もいいな」という思いを曲にしたのが「曇りでもいい」です(笑)。
──ある意味、慶太さんの日常が刻まれていると。
そうそう、この作品は完全に僕の日常そのもの。サウンドダイアリーですよね。
──慶太さんの楽曲は英詞の比率が高いですが、「恋花火」「曇りでもいい」はJ-POPを意識したということもあり、日本語が中心ですね。
情景を思い浮かべやすくしたかったので。かと思えば、1曲目の「PLEASE」はほぼ英詞で、ただただイケイケの曲ですし。我ながらやりたい放題ですよね(笑)。
──「Endless Days」なんて完全英詞ですし。
これは「完全英詞の曲を書きたい」というシンプルな理由からスタートした曲です。「Endless Days」というテーマで自分の中でいろいろ連想していって、言葉を連ねた結果がこの歌詞になっています。「GREAT GAME」という曲は、単に僕がゲームが好きなことが発端で、そこに自分の人生観を掛け合わせて書いてみたいと思って作りました。テーマはそれぞれ異なるものの、根本にあるのは僕の日々の過ごし方であって、そういう部分がいろいろと反映されている気がします。
──それもあって、今作は過去のソロ作品よりもプライベート感が強いのかなと。
それ、いろんな人から言われたんですよ。変な話、どの曲も1日2日で完成させたものばかりなので、粗さもあったりするんですけど、逆にそれが味になっている感覚もあって。そこがプライベート感につながっているのかもしれません。
──そんな作品を、40歳の節目に届けられるのもまたぜいたくなことですね。
そうですね。長く音楽活動を続けていると、ファンの方から「ソロ作品をもっと出してください」と言われることも多くて。恩返しじゃないですけど、40歳のタイミングでみんなにプレゼントできるものはないかな?と思ったときに「そういえば、いっぱい曲があったな」と。
引退よぎった体調不良を乗り越えて
──「RE:ONE」というタイトルを付けた理由は?
実は、ちょっと前に体調を長く崩していた時期があって。その中でも、もちろんw-inds.としての活動は継続していたんですけど、体調不良によって気持ちが前向きになれず苦しい状況でした。そのときは自分の体に限界を感じていたから、「この状態が続くんだったら、もう自分のベストは出せないし、いずれ音楽活動をやめなきゃいけないな」みたいなことまで考えたんですけど、なんとか乗り越えて。それ以降はすごく吹っ切れて、どんどん楽しくなってきましたし、前向きに音楽を作れるようにもなった。体調がいいとすべてのスキルも上がってきて、「今すごく調子いいかも」っていう感覚になれたんですよ。で、自分の中で再スタートみたいな感覚だったので、今回のアルバムは「もう1回最初から始め直す」という意味を込めて「RE:ONE」と名付けました。
──再スタートの1枚が、プライベート感満載というのもいいですね。
けっこうさらけ出してますよね(笑)。こんなに開示できるようになったのは、自分としては成長かもしれない。そもそも1日2日で作った曲をリリースする勇気も以前はなかったですしね。今も恥ずかしさは多少ありますけど、この作品を出すことで一歩前に進めるような気もしていて。僕、過去のインタビューで「ボツにして出さない曲、いっぱいあります」みたいなことを言っていたんですけど、ファンの人から「もったいない。だったら聴かせろ!」とクレームがたくさん届いたんですよ(笑)。当時の僕は「いやいや、それは無理!」と思っていたけど、ようやくみんなの気持ちに寄り添えるくらいメンタルが安定してきたのかな。
──過去のw-inds.やソロもそうでしたが、慶太さんプロデュースの作品は徹底的にブラッシュアップして、完璧なプロダクトとして届けますという姿勢が貫かれていたと思います。でも、今回は確実に変化球ですよね。
やっぱりそうですよね。
──「winderlust」の直後だからこそ、より強くそう感じるのかなと。ある意味、「RE:ONE」と「winderlust」は対極にある2枚だと思います。
うんうん。きっと「恋花火」と「曇りでもいい」を聴いたらみんなびっくりしちゃうんじゃないかな。このアルバムが完成したとき、周りの友達に「J-POPのアルバムを作ったんだ」と言ったらみんな驚いてましたけど、実際に聴かせるとすごく気に入ってくれて。なので、ファンの方たちのリアクションも今から楽しみです。
──僕も、本作の中で特に「曇りでもいい」はお気に入りで。少ない音数で構築されるトラックのインパクトに加え、慶太さんの歌がすごく気持ちいいんです。
しゃべっているような歌ですよね。僕的にも新しい挑戦でしたけど、すごくハマったなと思っています。
──あと、「Midnight Bloom」のボーカルもすごくセクシーですよね。
いいですよね……自分で言うのもなんですけど(笑)。僕自身どの曲も同じくらい好きだから、特に今回は順番を付けるのが難しくて。
──日記のような作品だからこそ……。
そう。その日の体調だったり感情だったりで、好きな曲も日々変わってくるかもしれない。作り手としては、こういう作品を制作してリリースできることが自分にとっての安定剤にもなっていて。正直、心に余裕がなければこういう内容にもならなかったでしょうし、そもそも毎月1曲作ろうなんて考えもしなかったんじゃないかな。
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等身大の自分と、ちょっとだけ筋肉アピール


