「神曲キター!」って盛り上がるような派手さはない
──当初、「スタートライン」に対して茂木さんが思い描いていた楽曲イメージはどんなものだったんですか?
茂木 シンプルだけど生々しい力強さがある、みたいなイメージでした。それを最初はアップテンポで表現してもらおうと思ってたんだけど、岡さんからミディアムを提示されたことで「これだ!」と思えて。最初に思い描いていたようなアップテンポのイメージをミディアムテンポに変えることも、曲調自体も777☆SISTERSとしては初めてだけど、出だしからナナシスの世界観をちゃんと感じることができたんです。この曲って、聴いた瞬間に「神曲キター!」って盛り上がるような派手さはないんですよ。でも、いろんなライブを経たりすることで、数年後にこの曲の大事さが伝わるような気がするんですよね。
岡 そういう部分は作曲の段階で僕も意識しましたね。フラットでシンプル、それが楽曲としての1つのテーマだったというか。例えばロックに寄せすぎたりとか、派手なシンセサイザーを入れたりとかは、この曲ではまったくの無意味なんですよね。あくまでも余計な音、楽器は入れないように。
茂木 で、そのデモを聴いた瞬間、サビ終わりのワードがパッと思い浮かんで。「あ、この曲は“スタートライン”だな」と。
──歌詞はSATSUKI-UPDATEさんによるものですね。777☆SISTERSがこのタイミングで新たな“スタート”を歌うのがなかなか興味深かったんですけど。
茂木 「ハルカゼ~You were here~」のあとに何をやるべきなのかをずっと考えてたんですけど、そこでね、「あなたの背中、好きよ」って歌うのはちょっとキツいなと思ったんですよ。要するにアイドルの女の子のかわいさを出した曲が……もちろんナナシスの中ではそういうタイプの曲を何度もやってきてるし、これからもやっていくとは思うんですけど……「ハルカゼ~You were here~」のあとに来たらリスナーの方は「ぽかーん」だろうなと。そこにはなんの心のつながりも感じられないと思うから。今後のことはまだわからないですけど、今のタイミングではこれが自然な流れかなと思ったわけです。まあ、それも岡さんの曲に導いてもらった感じがありますけどね。
岡 でも3rdライブの段階で、次の777☆SISTERSのテーマは“リスタート”にしたいって言ってましたよね?
茂木 いや、“リスタート”って言葉も使ってなかったんじゃないかな。ひと区切りを付けて、もう一度やり直したいみたいな思いはあったんですけど。それをちゃんと明確に言語化させてくれたのが岡さんの曲だったんですよね。
──今回、ボーカルのレコーディングでは新たな試みがあったと伺っていますが。
岡 そうなんですよ。今までは全員に1曲丸々歌ってもらって、あとから歌い分けを考えてエディットしていたんですけど、今回は先に歌い分けを決めてもらったんです。
茂木 先に歌い分けを決めちゃうとあとで変えられないじゃないですか。だからホントはイヤだったんですけど、あまりにも岡さんが体力的にしんどいって言うから(笑)。
岡 あははは。12人もいるからレコーディングはホントに大変で(笑)。でも結果的によかったですよね?
茂木 うん。そういう録り方をしてもOKな時期に入ったんでしょうね。キャストの力量もそうだし、ナナシス世界への理解力もそうだし、岡さんや僕らとの関係もそうだし。すべてがいい具合に高まっているタイミングだと思うので。
岡 ほかの人が歌ったパートのあとに、「ここからは私よ!」っていう気持ちで入っていくと、1曲つるっと歌ったとき以上のエネルギーが出るんですよ。それぞれの個性が、それぞれのパートでパッと花咲くと言うかね。それが今回はけっこううまく感じられる仕上がりになったなとは思っていて。僕としてはいい録り方だったんじゃないかなって思うんですよね。
茂木 はい! 次回からもそうしまーす(笑)。
みんなが満身創痍のレコーディング
──ではもう1曲、「STAY☆GOLD」についても聞かせてください。こちらは作詞がカナボシ☆ツクモさん、作・編曲がKUMAROBOさんです。
茂木 これはもう瞬間的に好きだなって思える曲。ライブでも盛り上がるだろうし。
岡 曲自体のエネルギーが高いし、アレンジが王道なので誰もよそ見できない感じがありますよね。この曲のピアノも僕が弾かせてもらってるんですけど、もう爪が割れるんじゃないかってくらいの激しさで(笑)。レコーディングは、みんなが満身創痍で挑んでました。
茂木 僕はこの曲には3rdライブで感じた幸せな感じを込めたかったんですよ。しかもピアノで感じるもの。そういう部分ではこの曲にも「ハルカゼ~You were here~」からのリンクが当然残ってはいますね。ミックスでピアノをかなり大きくしてもらったんで、ロックではあるんだけど、僕の中ではピアノロックなイメージなんですよね。
岡 歌の後ろであんなにピアノ弾いたのは初めてですね(笑)。あ、こんなに弾いていいんだ、みたいな。
茂木 普通は歌を生かすような演奏にしますもんね。でも今回は、めちゃくちゃ動いちゃってくださいってお願いしました(笑)。とにかく演奏してる感じをちゃんと出したかったから。
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「STAY☆GOLD」は「スタートライン」の前段階の気持ち
- 777☆SISTERS
「スタートライン / STAY☆GOLD」 - 2017年8月30日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / VIZL-1192 -
通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37293
- CD収録曲
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- スタートライン
- STAY☆GOLD
- スタートライン-OFF VOCAL-
- STAY☆GOLD -OFF VOCAL-
- 初回限定盤DVD収録内容
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- 僕らは青空になる / 777☆SISTERS
- KILL☆ER☆TUNE☆R / 777☆SISTERS
- Cocoro Magical / 777☆SISTERS
- セブンスシスターズ「WORLD'S END」
- 2017年7月26日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / VIZL-1191 -
通常盤 [CD]
1296円 / VICL-37292
- CD収録曲
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- WORLD'S END
- PUNCH'D RANKER
- WORLD'S END -OFF VOCAL-
- PUNCH'D RANKER -OFF VOCAL-
- 初回限定盤DVD収録内容
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- t7s .LIVE -INTO THE 2ND GEAR 2.5-
- Tokyo 7th シスターズ「t7s 3rd Anniversary Live 17'→XX -CHAIN THE BLOSSOM- in Makuhari Messe」
- 2017年9月27日発売 / Victor Entertainment
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初回限定盤 [Blu-ray+フォトブック+オリジナルコースター]
10800円 / VIZL-1247 -
通常盤 [Blu-ray]
8640円 / VIXL-199
- Tokyo 7th シスターズ(トウキョウセブンスシスターズ)
- 2014年2月にサービスインしたスマートフォン向けのアイドル育成リズム&アドベンチャーゲーム。“アイドル氷河期の西暦2034年”を舞台にアイドルを育成&プロデュースしていく。ゲーム中にはメインユニット・777☆SISTERSをはじめ多くのアイドルグループやユニットが登場する。
- 茂木伸太郎(モテギシンタロウ)
- 株式会社Donutsに在籍するクリエイター。「Tokyo 7th シスターズ」の総監督兼総合音楽プロデューサーとして同作品のビジュアル、脚本、楽曲の企画や制作、ライブ制作に携わっている。
- 岡ナオキ(オカナオキ)
- 作編曲家。音楽プロデュース会社「Numéro.8」代表取締役。AKB48、さくら学院などのアイドル、神谷浩史&小野大輔、本作「Tokyo 7th シスターズ」の楽曲制作、作編曲を手がける。