「INTENTION」を歌うときが一番緊張して、吐きそうでした(笑)
──ベストアルバムは、全30曲が“Joyful”“Nature”と名付けられた2枚のディスクに振り分けられていますね。
はい。“Joyful Disc”にはライブ仕様として作った楽曲やライブで育った楽曲が入っています。一方の“Nature Disc”には、僕の観念的なものが歌詞になっていたりとか、メッセージ性の強い曲をまとめた感じです。選曲はだいぶ悩みましたけどね。もっと入れたい曲はあったけど、「もう容量がいっぱいになっちゃったよ」みたいな(笑)。
──あらためて再録された曲も多いですよね。「シロイカラス」と「あすなろ」は共に“Anniversary Edition”としてリアレンジされています。
どちらもアニメのタイアップ曲なので普通はリアレンジしないだろうと思いきや、そこをあえてやってしまうのが面白いかなと(笑)。特に「あすなろ」はライブで何度も歌っていく中で、当初とは違った空気感が生まれてきたところがあったんですよ。なのでタイアップの作品から離れようという意味ではないんですけど、そこを踏まえたうえで一度、より自分に引き寄せた曲にしたいなというわがままを試させていただいた感じですね。「シロイカラス」も同じような意味合いでちょっと角度を変えたアレンジをさせてもらいました。
──「ミトコンドリア」「SHIPS」「月とストーブ」は“Live Arrange Version”での収録ですね。
「ミトコンドリア」と「SHIPS」はライブでやるときに原曲よりもキーを上げているんですよ。より明るいサウンドになって、よりみんなの気持ちが上がるように。今回はそれを音源としても残しておこうと思ったんですよね。ただキーを上げるだけじゃ面白くないから、ちょっとリアレンジを加えたりもしつつ。「SHIPS」の間奏で自然発生的にみんながやってくれているかけ声を入れたりもしているので、よりライブをイメージできる仕上がりになったと思います。「月とストーブ」に関しては、ライブではいつも最後の大サビまではピアノ1本でやっているので、それを音源化しました。ピアノの宇田(隆志)さんと一緒に一発で録ったので、まさにライブそのままの雰囲気になっていると思いますよ。
──初期の楽曲「INTENTION」「シンプルな未来」、そして「and Becoming」は“New Vocal”として歌い直しされています。
「INTENTION」を歌うときが一番緊張して、吐きそうでした(笑)。当時の自分を超えようみたいな気持ちはあまりなかったんですけど、レコーディングしてみると自分の中でアプローチの変化に気付くところもあったりして。それを改めて音源として残しておくことに対しての緊張感があったし、ちょっとした恥ずかしさもありましたね。まあでも最初に歌ったときとは比べ物にならないくらい大きな、具体的なイメージを持って歌うことができましたし、これをまたライブで歌い継いでいくんだなと強く思うこともできました。ここからまた次の一歩を踏み出せる喜びも歌に乗せられたと思います。
子供にあたるくらい大事な楽曲たち
──そして新曲としてタイトル曲「Go my rail」と「この世界の好きなところ」も収録されています。ここには最新の鈴村さんの思いが詰まっていますね。
はい。過去を大事にしつつも、そこにすがることなく僕の大好きな“未来”に向かうための新たな決意表明として「Go my rail」を作りました。「10周年めでたいぜ! ありがとう!」という曲を作ることもできたんですけど、その停滞感みたいなものに納得がいかなかったと言うか。「まだまだ未来は続いていきますので、これからもひとつよろしくお願いします」という思いを音楽で示したかったんですよね。この曲は絶対にライブで爆ぜるので、楽しみにしていてください。
──「この世界の好きなところ」はどのようなイメージで作ったんですか?
これは“総括”ですね。「Go my rail」で未来に対しての思いは書いたから、「この世界の好きなところ」ではこの10年間でやってきたことが何なのかをちゃんと書いておこうと。聴き手の方が視点を変えるきっかけになったらいいなと思って僕は音楽をやってきたので、その思いを改めて集約させました。ここには僕が思う“世界の好きなところ”を書いたので、皆さんも自分なりの“世界の好きなところ”を探してほしいなと思います。あと、この曲にはこっそり過去の楽曲をオマージュした言葉を入れたりもしています。あえてここで答えは言いませんので、皆さん探してみてください(笑)。
──本作のリリース後、6月2、3日には河口湖ステラシアターで「満天LIVE 2018」の開催が決定していますね。
ステラシアターは美しい富士山が見える本当に気持ちのいい場所なんですよ。あそこで歌えるというだけで、もう楽しみで仕方ないですね。「満天LIVE」は今回で3度目なんですけど、またあそこにみんなで集えるのがうれしいです。地元の温泉とコラボしたり、多角的に楽しめるイベントにしていくつもりなので、旅行気分で遊びに来ていただけたらなと思います。
──今年の10月でアーティストデビュー丸10年となるわけですが、11年目からの“未来”に対してビジョンはありますか?
何をするんでしょうね(笑)。デビュー当初は「とにかく音源を出して聴いてもらわないと」みたいな気持ちが先立っていたところがあったんですけど、10年経ち、年齢的にも40歳を超えたことで、少しどっしりした気持ちで「ええもん作りましょう」みたいな感じになってるんですよ。年齢を重ねたからこそ作れるものもまだまだあるなという気もしているので、焦らずのんびりやっていこうかなと。もちろんこのあとスピーディに制作をする可能性もありますけど、自分らしいペースでもっともっと楽しいことができそうだなと今は思っています。
──10年経ったからこそ手に入れることができた、いい意味での余裕なのかもしれないですね。
はい。今回ベストを作るにあたって実感しましたけど、僕にとって子供にあたるくらい大事な楽曲たちがこれだけたくさんあるわけですから。なんて心強いんだろうと思いますよね。だからこそ心に余裕を持って、これからもがんばっていけるだろうなって。
※特集公開時、プロフィールに誤りがありました。訂正してお詫びします。
- 鈴村健一「鈴村健一 10th Anniversary Best Album "Going my rail"」
 - 2018年5月9日発売 / バンダイナムコアーツ
 - 
					
					
[CD+DVD]
4860円
LACA-9575~6 
- CD収録曲
 - 
						
Joyful Disc
- in my space
 - The whole world
 - ミトコンドリア -Live Arrange Version-
 - ポジティヴマンタロウ
 - NAKED MAN
 - おもちゃ箱
 - シンプルな未来(New Vocal)
 - CHAPPY
 - HIDE-AND-SEEK
 - All right
 - シロイカラス -Anniversary Edition-
 - あいうえおんがく
 - SHIPS -Live Arrange Version-
 - ハナサカ
 - Go my rail
 
 - 
							
Nature Disc
- INTENTION(New Vocal)
 - brand new
 - あすなろ -Anniversary Edition-
 - ALL GREEN
 - messenger
 - CHRONICLE
 - Landscaper
 - そりゃそうです
 - スケッチ
 - Butterfly
 - 月とストーブ -Live Arrange Version-
 - ロスト
 - 太陽のうた
 - and Becoming(New Vocal)
 - この世界の好きなところ
 
 - 初回限定盤DVD収録内容
 - 
							
- Go my rail (Music Video)
 - 鈴村健一 Live Tour 2017「NAKED MAN」(Life is like it / あすなろ / 夕暮れタイムトラベル / CHAPPY / NAKED MAN / home sweet home)
 
 
- 鈴村健一「鈴村健一 10th Anniversary Live "lo-op"」
 - 2018年5月9日発売 / バンダイナムコアーツ
 - 
					
					
[Blu-ray]
9504円
LABX-8266~7 - 
					
					
[DVD]
7344円
LABM-7249 
- DISC1
 - 
						
鈴村健一 10th Anniversary Live "lo-op" 2017.10.8 (sun) パシフィコ横浜 国立大ホール
- INTENTION
 - The whole world
 - ALL GREEN
 - ハナサカ
 - home sweet home
 - 月のうた
 - Butterfly
 - CHRONICLE
 - ロスト
 - 月とストーブ
 - スケッチ
 - おもちゃ箱
 - CHAPPY
 - シロイカラス
 - HIDE-AND-SEEK
 - All right
 - in my space
 - あいうえおんがく
 - 太陽のうた
 - ポジティヴNAKED MANタロウ
 - ミトコンドリア
 - SHIPS
 - ひとつ
 - and Becoming
 
 - DISC2(Blu-rayのみ)
 - 
							
- 鈴村健一 10th Anniversary Live "lo-op" ライブドキュメンタリー
 
 
ツアー情報
- 鈴村健一 満天LIVE 2018 "Going my rail"
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- 2018年6月2日(土)山梨県 河口湖ステラシアター
 - 2018年6月3日(日)山梨県 河口湖ステラシアター
 
 
- 鈴村健一(スズムラケンイチ)
 
- 1994年にアニメ「マクロス7」で声優デビュー。2008年10月に自身名義で1stシングル「INTENTION」をリリースし、音楽活動をスタートさせた。2009年10月 初のフルアルバム「Becoming」発表し、翌年1月に本作を携えてワンマンツアー「鈴村健一 1st Live Tour 2010 "Becoming"」を行う。2011年3月に2ndアルバム「CHRONICLE to the future」を発売。2011年4月に東名阪ワンマンツアー「CHRONICLE to the future」を、震災を受けて節電アコースティック編成で決行する。2012年に音楽活動開始5周年を記念して、5月にシングル「messenger」、8月にミニアルバム「互」を立て続けにリリース。同年9月より全国ツアー「5th Anniversary Live Tour 『INTENTION 2012』」を開催した。2014年5月に約3年ぶりフルアルバム「VESSEL」を発表。2015年5月に山梨・河口湖ステラシアターにて初の野外ワンマンライブ「満天LIVE 2015」を行った。2016年11月より初のアジアツアー「brand new world」で香港、台湾、中国へ。2017年に10周年記念ライブ「鈴村健一 10th Anniversary Live "lo-op"」を神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールで行った。2018年5月に「鈴村健一 10th Anniversary Best Album "Going my rail"」を発表。2018年6月に3回目の河口湖ステラシアターでのライブ「満天LIVE 2018 "Going my rail"」を行う。
 
2018年5月9日更新








