Superfly|花を咲かせた10年、ここから始まる新たなSuperfly

Superflyが6月6日に23枚目のシングル「Bloom」をリリースする。

2008年2月にリリースされたシングル「愛をこめて花束を」の10年後のストーリーを描いたという表題曲は、オーケストラアレンジによるドラマチックなサウンドスケープが柔らかな印象を与えてくれる1曲。また2曲目には、現在TBS系で放送中のドラマ「あなたには帰る家がある」の主題歌として書き下ろされた妖艶なジャズナンバー「Fall」も収められ、新生Superflyを強く実感させるシングルに仕上がった。

昨年11月に開催された全編オーケストラアレンジによる公演「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」のライブ音源を収めたDISC 2も同梱される本作で本格的な再始動を遂げるSuperfly。デビューから11年を経た今のリアルな思い、そしてここからの未来に抱く希望を越智志帆にじっくりと聞いた。

取材・文 / もりひでゆき

ピュアな状態でステージに立てたオーケストラライブ

──今回のシングルのDISC 2に収録されている、昨年11月に開催されたライブ「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」のことから聞かせてください。ご自身にとって約1年8カ月ぶりとなるワンマンライブ、いかがでしたか?(参照:ステージに復帰したSuperfly、オーケストラ演奏と花に彩られ10周年ライブ

本当にひさびさのライブ、ひさしぶりに人前に立つ機会だったので、始まるまではけっこうドキドキしていましたね。「ホントにできるのかな?」みたいな(笑)。ただ、ゆっくり準備を積み重ねていたこともあって、いざライブが始まってみると自分の家で歌っているかのようにとてもリラックスできて、すごく力を抜いて歌えたんです。そういう意味では再スタートにふさわしいライブになったかなって。

──オーケストラを従え、全曲がオーケストラアレンジで披露されていましたよね。

オーケストラ編成のライブをするのが初めてだったので、難しさ、大変さがきっとあるんだろうなと思っていたんですよ。でも実際はものすごく楽しめました。自分の声とオーケストラは相性がいいんだなって思えましたし、生のオーケストラならではのダイナミズムを感じながら歌うことは純粋にすごく気持ちよかったんですよね。

──オーケストラとの共演が歌唱に影響を与えていた部分もあったんじゃないですか? いつにも増してふくよかなボーカルが響いていた印象があります。

「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル公演の様子。(撮影:石井亜希)

そうそう。いつものバンドスタイルとはもう全然違うと言うか。音自体の厚みも繊細さもまったく違うので、より幅広い声量を使うことができるんですよ。しゃべり声くらいヒソヒソと歌うこともできるし、逆にガッと声を張ればちゃんとそれについてきてもくれるし。だから「普段のライブではなかなか使えないような柔らかい声をどこに差し込んでみようか」みたいなことを考えてニヤニヤしてしまうときもありましたね(笑)。

──歌うことを心底楽しんでいる雰囲気でしたもんね。

うん。すごく楽しかったし、ライブが終わったあと、ものすごくスッキリした気持ちになりました。そしてその感覚がすごく健康的だなと思いました。しばらく歌っていない期間があったけど、自分にとって歌うことは欠かすことのできない大切な生活の一部なんだなと実感しましたね。

──それはある意味、シンガーとしての原点の再確認でもあったのでは?

「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル公演の様子。(撮影:石井亜希)

ああ、そうかもしれないですね。1周回って原点に戻ってこれた感じがします。まずは自分が楽しいと思うこと、そしてそれを私の音楽を聴いてくれる人とちゃんとした形で共有できることが大切なんだと改めて気付きました。この10年を振り返ると、完璧を目指すことばかりを考えて、わりと自分のことを置き去りにしていた時期もあったんですよ。“楽しい”という感覚がよくわからなくなってしまっていたと言うか。自分がそういう状態で歌っていると、お客さんも手放しで楽しめないですからね。だからここからはその感覚が欠けないようにしなきゃいけないなって。ピュアな状態でステージに立てたあのオーケストラライブはそんなことを気付かせてくれたんだと思います。

──今は本当に、健康的に音楽と向き合えている状態なんですね。

うん、健康的。自分自身に「ちゃんと楽しんでる?」って問いかけられているから。もちろんね、その問いに対して「最高!」って答える日もあれば、「まあまあかな」っていう日もあるんですけど(笑)。でも楽しむことを根底で忘れないでいれば大丈夫なのかなって。

“癒やし”にはいろんな種類がある

──あの日のライブではご自身のさまざまな思いを吐露するドキュメンタリー映像も流されていましたが、その中で「私は歌で癒したいんだ」とおっしゃっていたのもすごく印象に残ったんですよ。

うんうん、言ってましたね。歌で癒したいっていう願いは、それこそ歌い始めた当初からあるものなんです。私が歌うことで喜んでほしい、笑顔になってほしい、さまざまな思いを発散させてほしいという気持ちが強いんですよね。作詞や作曲に関しても、自分のために書くというよりは、誰かに向けた手紙や贈り物のような感覚ですし。ただ、“癒し”って言うと一般的にヒーリングミュージックのようなイメージがあるから、今まではなかなか自分が歌うことについての言葉として使うことができなかったんですよね。

──Superflyの歌には“パワフル”という形容詞がつくことが多いので、“癒し”という言葉を使うと変な誤解を生んでしまいそうですもんね。

「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアル公演の様子。(撮影:石井亜希)

私の中ではね、ロックな曲を力強く歌うことでみんなの胸の中にあるモヤモヤが発散されるのであれば、それも“癒し”ということになるんですよ。私にとっての“癒し”にはいろんな種類があるから。でもそれはなかなか伝わりづらいところもあるんですよね。デビュー以来、そういうパワフルさみたいな部分が大きく評価されてしまったので、「いや、私はもうちょっとバラードとかも歌いたいんだけどな」って思ったりして(笑)。

──なるほど。違ったタイプの“癒し”も歌で表現したいのに、と。

そうそう。それなのに「なんか常に大きい声で歌ってるぞ、私は」みたいな(笑)。もうちょっと力の抜いた曲も歌いたいとずっと思っていたけど、なかなかそっちが伸びなかった印象が自分の中にはあったんですよね。でも、あのオーケストラライブでは私のそういう思いをいい形で表現することができた気がしていて。そういう意味でもちょっと気持ちがスッキリしたんです。

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今、私は満開です!

Superfly「Bloom」
2018年6月6日発売 / WARNER MUSIC JAPAN
Superfly「Bloom」初回限定盤(DVD)

初回限定盤(DVD) [2CD+DVD]
4320円 / WPZL-31444~6

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Superfly「Bloom」初回限定盤(Blu-ray)

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Superfly「Bloom」通常盤

通常盤 [2CD]
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DISC 1(CD)収録曲
  1. Bloom
  2. Fall
  3. ユニゾン
  4. Force -Orchestra Ver.-
DISC 2(CD)収録曲

Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom" オーケストラ・アレンジ盤

  • Prelude
  • 愛をこめて花束を
  • やさしい気持ちで
  • 春のまぼろし
  • 愛に抱かれて
  • 輝く月のように
  • You & Me
  • あぁ
  • Wildflower
  • Good-bye
  • Beautiful
  • Force
  • Alright!!
  • “FIRE” Medley(タマシイレボリューション / 恋する瞳は美しい / Bi-Li-Li Emotion / Free Planet)
  • 愛をからだに吹き込んで
  • Bloom
DISC 3(BD/DVD)収録内容

Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"

  • Prelude
  • 愛をこめて花束を
  • やさしい気持ちで
  • 春のまぼろし
  • 愛に抱かれて
  • 輝く月のように
  • You & Me
  • あぁ
  • Wildflower
  • Good-bye
  • Beautiful
  • Force
  • Alright!!
  • “FIRE” Medley(タマシイレボリューション / 恋する瞳は美しい / Bi-Li-Li Emotion / Free Planet)
  • 愛をからだに吹き込んで
  • Bloom
  • 愛をこめて花束を
Superfly(スーパーフライ)
Superfly
2004年に結成。越智志帆のパワフルかつソウルフルな歌声、60年代、70年代の洋楽を思わせるブルージーなサウンドが注目を集め、2007年4月にシングル「ハロー・ハロー」でデビュー。2008年に発表した1stアルバム「Superfly」、2ndアルバム「Box Emotions」がともにチャートで1位を記録し、2009年12月には初の日本武道館ライブを成功に収めた。その後も多くのヒット曲を連発し、2011年には3rdアルバム 「Mind Travel」でアルバム4作連続1位を達成。初のアリーナツアーも大成功に収める。2015年5月に2年8カ月ぶりのオリジナルアルバム「WHITE」をリリースし、7月からは33都市39公演のホールツアーを開催。2016年1月からは7都市全11公演のアリーナツアーを実施した。デビュー10周年を迎えた2017年4月にファン投票で選曲したベストアルバム「Superfly 10th Anniversary Greatest Hits "LOVE, PEACE & FIRE"」を発表。11月には東京・東京オペラシティコンサートホール:タケミツメモリアルにてライブ「Superfly 10th Anniversary Premium LIVE "Bloom"」を行い、年末には2015年以来2年ぶり2度目となる「NHK紅白歌合戦」に出演した。6月6日に23枚目のシングル「Bloom」をリリースする。