ナタリー PowerPush - supercell
常に進化を続けるサウンド コンポーザー・ryoインタビュー
こゑだのかわいさも披露!
──シングル3曲目の「カレ」という作品は、タイアップとか3rdアルバムを特に意識された曲というわけではないんでしょうか?
違いますね。毎回、3曲目はコンセプトなしでやろうと思っていて。
──ああ、なるほど。たしかに前回のシングルで3曲目だった「大貧民」もそういう感じでしたよね。
前回はすごいムチャクチャやる曲だったんで、今回くらいはさすがにちょっと、こゑだちゃんのかわいい面を見せてあげたいなと思って作りました。コンセプトがなんだかんだっていう難しい曲になってくると、こゑだちゃん自身が難しく見られるらしいんですよね。でも、仮にも15歳の女の子なんだから、かわいくて女の子らしいモテそうな曲にしました(笑)。
──今まではアーティスティックな面がちょっと前に出がちだったってことですかね。
だからそれはちょっと抑えるという感じですね。まあ、本人も「かわいい、こゑだを見せます!」とか言って、楽しくがんばって歌って帰ってくれました(笑)。ただまあ、「かわいい」って言ってもいろいろあるじゃないですか。今まで自分が得意としてた曲って、ちょっとお嬢様的なかわいさがあるものなんですけど、この曲はどっちかというと、インターナショナルスクールに通ってる感じですよね(笑)。要するにCrystal Kayさんとかそういう感じっていったらいいのかな、ああいうほうに向かいつつ、ちょっと背伸びしてる感じのかわいさにアプローチしようと思って。そう考えながら作っていくうちに歌詞も英語になったんですよね。
──しかし今回はEGOISTと特に比べて聴いちゃうせいかもしれないですけど、supercellのほうは「カレ」みたいに明るさというか、ポジティブさを感じる曲が多いなと思いました。それはやっぱり意図してるんでしょうか?
多分こゑだちゃんの声質のせいだと思うんですよね。声質ってそもそもいろいろあって、例えば前に歌ってもらっていたnagiさんとかは「エンディング声」という感じっていうか、どんな曲を歌ってもエンディングっぽくなる。終末感が漂うっていうか、高尚に聞こえるんですよね。超かわいい曲でも、なんかそう聴こえる。女神が歌ってくれてる感。それが、こゑだちゃんが歌うと何をやっても楽天的というか、ちょっと抜けて聴こえるんですよね。chellyちゃんはまた違った感じで、どう歌ってもディーヴァっぽいというか、ちょっと震える感じになって、そこに繊細さを見い出せるという。だから歌う人によって、結構曲の印象が変わってくるんじゃないかと思います。
──なるほど。曲の印象は必ずしも楽曲側でコントロールしているわけじゃないということですね。
まあ、いろいろやってきてわかったのは、そこはコントロールしようとしてもできないなっていうことですね(笑)。
フットワーク軽く生み出される、新しいsupercell
──あと、前回のシングルから実写でビデオクリップが作られるようになりましたよね。これも2次元のイメージの強かったsupercellからすると驚きだったのですが。
単純に、たまには違うことしたいっていうことが多いんですよね。やっぱり音楽のビデオクリップでは、歌ってる人がバーンとリアルで出てきた上で、後ろで楽器を弾いているっていうのがカッコいいですよね。そういうのをやろうとセキ★リュウジさんに依頼しました。
──セキ監督は前回の「My Dearest」も監督されている方ですよね。
前回もすごく良かったので、もうチームの一員としてやってほしいくらいの勢いでお願いしたんですよ(笑)。セキさんは、すごく喋りやすいし、普通にダメ出ししてくれるので面白いですね。撮影のときに「その歩き方、ペンギンみたいだよ」って言われて「すみません、変えます」とか答えたりして(笑)。すごく面白かったです。
──何気ない感じでryoさんも出演しているんですよね。これも心境の変化があって?
今までのやり方に自分自身で飽きたっていうのがあって、とりあえず出とこ、みたいな感じで(笑)。出れば何か変わりそうだなと思って。
──supercellの活動は、全体的にそういうフットワークの軽さみたいなのがありますよね。
そうですね。思い立ったら即実行。もし失敗したなら、潔く「すいません」って謝ればいいから(笑)。
──なるほど。それがsupercellの何にもとらわれない自由さと力強さの原動力になっているのかもしれませんね。確かにこうやって映像の中でryoさんが楽器を持っているのは、新鮮な面白さがあります。
今までそれをやってなかった分だけ、今期はそれでいけるなっていう思いがありますね。セキさんと組んでやっていければ、多分面白いと思うんですけどね。
初回限定盤A・通常盤A CD収録曲
- 告白
- 僕らのあしあと
- カレ
- 告白(TV Edit)
- 告白 -Instrumental-
- カレ -Instrumental-
- 告白(TV Edit) -Instrumental-
初回限定盤B・通常盤B CD収録曲
- 僕らのあしあと
- 告白
- カレ
- 僕らのあしあと(TV Edit)
- 僕らのあしあと -Instrumental-
- カレ -Instrumental-
- 僕らのあしあと(TV Edit) -Instrumental-
supercell(すーぱーせる)
コンポーザーのryoと複数のイラストレーター、デザイナーによって構成されたユニット。VOCALOID「初音ミク」が歌唱するオリジナル曲をニコニコ動画にアップしたことから人気に火がつき、ニコニコ動画での楽曲の総再生回数は2000万回以上を記録する。その人気はインターネットを通じて爆発的に広がり、2009年3月に待望のメジャーデビューを果たす。1stアルバム「supercell」のセールスは10万枚を超え、翌年の「第24回日本ゴールドディスク大賞」にて「ザ・ベスト5ニュー・アーティスト」を受賞した。続く1stシングル「君の知らない物語」からはゲストボーカルにnagiを迎える。「君の知らない物語」はアニメ「化物語」の主題歌に起用され、こちらも大ヒットした。2011年3月には2年ぶりとなる2ndアルバム「Today Is A Beautiful Day」をリリースし、オリコンウィークリーチャートで3位を獲得。その後、新ボーカリストを募集するオーディションを敢行し、2000人を超える応募者の中から福岡県出身の15歳、こゑだを選出。同年11月に彼女がボーカルを務めたシングル「My Dearest」を発売し、2012年3月7日に両A面シングル「告白 / 僕らのあしあと」をリリースする。