ナタリー PowerPush - SUNDAYS

「普通の人間」の普通のようで普通じゃない横顔

「やっと気付いたか、宮田」

──「SUNDAYSはパンク、ロックンロール由来のバンドにする」っていうアイデアを聞いた冬実さんの反応は?

冬実 「やっと気付いたか、宮田」と(笑)。

──遅せえよ、と(笑)。

冬実 私、7つ上にお兄ちゃんがいるんですけど、ある日一緒にテレビを観てたら、THE HIGH-LOWSが流れてきて。そのとき生まれて初めて音楽というものに衝撃を受けたので、お兄ちゃんに「この人たちは誰?」って聞いたら「THE HIGH-LOWSっていって、もともとTHE BLUE HEARTSってバンドをやってたんだよ」って教えてくれたんです。それでTHE HIGH-LOWSやTHE BLUE HEARTSを聴きつつ、メンバーが影響を受けた音楽にも興味を持つようになり……。そんな矢先に仲のよかった友達が川越のライブハウスに連れて行ってくれたもんだから、そのままロックとパンクの洗礼を受けてしまったんですよね(笑)。

──そうやってSUNDAYSを結成してから7周年を迎える今年、メジャーデビューが決まりました。この7年間って長かったですか?

冬実(Vo)(撮影:朝岡英輔)

宮田 長かったですね。僕は3年でイケると思ってたので。

冬実 ふふふふふ(笑)。

宮田 一応バンドのリーダーとしては結成当初から目標があって。今となってはCDセールスがバンドの力量を測るバロメーターだとは言いづらい部分もあるんですけど、それでもヒットチャートの1位っていうのは1つの指標だと思うんですよ。それは僕が根っからのインディーズロックの人間ではないから、というか、むしろJ-POPで育ってきたタイプだからなのかもしれないけど。

冬実 むしろ90年代の音楽を超愛してるんで。

宮田 avexっ子なので。

冬実 Do Asっ子ですから(笑)。

宮田 中学時代、Do As Infinityが好きでギターを始めたんです。だからヒットチャートに対しても抵抗はないし、その1位にSUNDAYSみたいなロックンロールバンドがいることってスゲーカッコいいんじゃないかと思っていて。もちろんウケを狙って書いているわけじゃないんだけど、実際SUNDAYSの曲って当時から普遍性が高いと思ってましたし。僕の詞にせよ、ふーちゃんの詞にせよ、誰でも絶対に共感できる、「みんなこう思ってるんだろうな」っていうメッセージだし、それこそがみんなが待ち望んでいる音楽なんじゃないかっていう自信もありました。だから3年くらいでデビューっていう目論見もあったんですよね。

冬実 今思うとこの7年間のいろんなことって全部必要なことだったんだけど、でも確かにもうちょっとスマートにやれた気はしますね。

宮田 ただ、そのしんどさってまったく思い出せなかったりするし、まだ思い返す時期でもないのかなっていう気もしてるんですよね。僕たちはようやく始まったばかりなんだから。

外はカリカリ、中はモチモチ

──今回リリースする「普通の人間」ってそういう心境が反映されたミニアルバムなのかなって思ってるんですよ。というのも去年1月のミニアルバム「終わらない旅」の中のSUNDAYSってスゲー怒ってましたよね。

冬実 そうかもしれない(笑)。

──1曲目の「SHAKE SHAKE」では「なぜか満たされていないわ」ってガナっていたし、タイトルトラックの「終わらない旅」は敵らしき他者と決別して旅立つ歌だし、ポップな「Bigになりたい」ですら「なんにも不安がないような幸せな国に行きたいな」と言っている。つまり当時は不安があった、と。

冬実宮田 あはははは(笑)。

──でも「普通の人間」ってどの曲も基本的にネガティブワードが出てこないし、言葉も音も明るいし歯切れがいい。かなり前向きですよね。

宮田 前作はインディーズではあったんですけど、僕らが初めて全国流通でリリースする作品だったので。意図的に怒りをテーマにしたわけではないんですけど、外に打って出ることに対してはなんらかの意識が働いてたんでしょうね。それは「終わらない旅」っていうタイトルにも象徴されている気がするんですけど、始まるときの緊張感みたいなものがあったというか。だからアタックの強い曲が多かったのかなとは思ってます。たぶん「終わらない旅」はSUNDAYSのガワの部分、外側のカリカリした部分なんですよ。で、今回の「普通の人間」は中のモチモチしたところ(笑)。そういう「わりといいパン」みたいな組み合わせの2枚なんですよね「終わらない旅」と「普通の人間」って。カリカリした部分も香ばしいんだけど、中はモチモチしててもっと美味しいよ、って。

冬実 それ面白い(笑)。

宮田 で「普通の人間」には今のバンドの状況、全国流通でCDをリリースするのが2度目で、メジャーデビューが決まって「これから始まるんだ」ってなってる気持ちが反映されて、モチモチした詞や曲が並んだっていう面も確かにあるとは思うんです。でもそれ以上に、単純に取っとくことをしなかった結果、モチモチしたアルバムになったって感じなんですよね。

美味しいところを全部吐き出したかった

──「取っとくことをしなかった」?

SUNDAYS(撮影:朝岡英輔)

宮田 基本的にライブでやっていた曲が中心のミニアルバムなんですけど、今回はメジャー1stでもあるわけだから、オレたちの自信のある曲、勝負曲はもう全部入れようって話になったんです。「そんなになんでもかんでも出しちゃったら、もう曲のストックなくなるよ!」ってくらい、SUNDAYSの美味しいところを全部を吐き出したかった。SUNDAYSってひと口にロックンロールバンドって言っても、本当にいろんな面があるバンドなので。7曲でそのすべてをカバーすることで聴いてくれる人たちに僕らのことを知ってほしかったし、しかも全部美味しく聴いてほしかったんですよね。

──この選曲について冬実さんは?

宮田 ノーリアクションだったんじゃない? 「そんなことよりこのアプリがさあ」みたいな感じで(笑)。

冬実 そんなにアプリの話ばっかりしてねえよ!(笑) でも私自身は「やりたいことだけやる」みたいな極端な方向、それこそロックでパンクな方向に振り切ってしまいがちなタイプなので。だからステージ上では自己主張しますけど、頭を使う場面では全部宮田くんにお任せ(笑)。選曲に限らず、いろんな局面で「宮ちゃんがバランスをとったり熟考したりして決めたなら、それでいきましょう」ってスタンスでいるんですよね。もちろん感覚的にピンときたことは伝えますけど、基本的には宮田くんの決断を信じてますから。

メジャーデビューミニアルバム「普通の人間」 / 2014年5月7日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] 2500円 / DFCL-2057~8
通常盤 [CD] 2000円 / DFCL-2059
CD収録曲
  1. アッと言わせたい
  2. 宮田誠のブルース
  3. あたしは人間
  4. まるいとんがり
  5. 秘めてる
  6. ドジ
  7. バンドマンの友達が言うには
初回限定盤DVD収録内容
  • バンドマンの友達が言うには
  • Bigになりたい
SUNDAYS(サンデイズ)

女性ボーカル冬実と、宮田誠(G)、三上雅行(B)、渡辺和己(Dr)の男性3人からなる4ピースバンド。2007年9月の結成以来、首都圏と関西圏のライブハウスシーンを中心に活動し、2013年1月にはミニアルバム「終わらない旅」(タワーレコード限定)をインディーズよりリリースする。そのリードトラックの「Bigになりたい」はインディーズながらフジテレビ系「めちゃ×2イケてるっ!」のエンディングテーマに採用された。そして2014年メジャーデビュー。5月7日、メジャー1stミニアルバム「普通の人間」を発表する。