ナタリー PowerPush - SUNDAYS

「普通の人間」の普通のようで普通じゃない横顔

SUNDAYSがメジャー1stミニアルバム「普通の人間」をリリースした。

2007年秋の結成以来、紅一点・冬実のパンキッシュなボーカルと、ロックンロールやオリジナルパンク由来のストレートなバンドサウンドを武器に精力的にライブ活動を繰り広げてきた彼ら。2013年には「Bigになりたい」がインディーズながらフジテレビ系「めちゃ×2イケてるっ!」のエンディングテーマに採用されるなど、現在ではライブハウスシーン外でも話題を集める存在となっている。

ナタリー初登場となる今回のインタビューでは冬実と、リーダー宮田誠(G)を直撃。アルバムの聴きどころに迫るとともに、キャリアと横顔を振り返ってもらった。

取材・文 / 成松哲

埼玉・川越の2000年代中盤のバンド事情

──3月のTSUTAYA O-WESTでのライブ(参照:SUNDAYSメジャーデビュー直前ワンマン、熱狂のうちに幕)を拝見して「ここまで威勢のいいビートパンクバンドというかロックバンドを観るのってひさしぶり」っていう気がしたんですよ。

冬実(Vo)宮田誠(G) ははは(笑)。

──で「どんな人たちなんだろう?」って気になって。まずはキャリアを追わせてください。結成のきっかけって?

宮田 高校時代、ふーちゃん(冬実)が埼玉の川越で友達とバンドを組んでいて。僕も僕で埼玉の高校で軽音部に所属してて、そこでドラムの渡辺(和己)なんかと出会うんですね。で、当時の川越には地元のバンドキッズが集まるちっちゃいライブハウスというか、スタジオみたいなところがあって、そこでふーちゃんと出会ったって感じですね。

冬実 いわゆるたまり場なんですけど、ホント不思議な空間で。川越でバンドをやってる高校生なんかが毎週土日とかに手作りのイベントをやってたんですよ。

──確かに不思議というか、面白い状況ですよね。若い子たちが音楽を演奏する“場”を手作りしてる感じって。

SUNDAYS(撮影:朝岡英輔)

宮田 僕らが高校生のときっていわゆる青春パンクのブームやメロコアブームがあって。たぶん先輩とかの代になるんだと思うんですけど、その人たちの中に例えば太陽族であったりとか……。

冬実 ピンクリボン軍とか。

宮田 あとHIGHWAY61であったりとか、当時インディーズで活躍していたバンドと仲のいい先輩がいて。その人がイベントをやってたんです。

冬実 ホントにバンドを始めたばっかりみたいな高校生のバンドと、そのインディーズのバンドがまぜこぜに出てくるイベントを。だからみんな「次のライブのゲストはこの人たちだ」ってものすごく楽しみにしながら集まる感じになっていて。ホントに手作り感覚で楽しかったんですよね。出演者全員で場所代を割り勘してフリーライブにして。みんなで買ってきたペットボトルをドリンク代わりに配ったりして。高校生やハタチかそこらの人がそういうことをやってたんです。

宮田 で、その頃ふーちゃんはGOING STEADYのコピーに始まり……。

冬実 SHAKALABBITSとかThe Offspiringとかをコピーするバンドをやってました。

宮田 僕らはHAWAIIAN6とかHi-STANDARDとか、あとオリジナルもチョイチョイやって。

冬実 メタルをね(笑)。

宮田 なぜか(笑)。しかも僕、当時はベーシストだったんですよ。友達にめちゃくちゃ速弾きができるギタリストがいたから。でもずっとギターが弾きたいなって思ってたら、ふーちゃんのバンドからギタリストがいなくなって、僕が「よろしいですか?」って入れてもらい。それがSUNDAYSの前身バンドなんですけど、2年くらい活動してハタチのときに解散しちゃって、ふーちゃんと僕の2人で弾き語りをやるようになって。でも弾き語りにも飽き(笑)、渡辺を呼び戻して、やっぱり川越界隈で一緒だったバンド友達をサポートベースに呼んでSUNDAYS結成って流れですね。

冬実 2007年頃だっけ?

宮田 うん。7年前。

時代の空気をストレートに表現できる音楽

──今のSUNDAYSって高校当時お2人がコピーしていたバンドのようなサウンドではないですよね。もっとロックンロールやパンク寄り。よりプリミティブな音楽を志向している。

宮田 ふーちゃんと最初にやっていたバンドは当初こそメロコアっぽいことをやってたんですけど、だんだんプログレッシブな要素、テクニカルな要素を取り入れだしたんですよ。奇抜なギターフレーズを考えたり、変拍子をやったりとか。当時は僕自身もそういうのが好きだったんですけど、だんだんいかに奇抜にするかばっかり考えてても面白くなくなってきて。だから解散して、弾き語りを続けてたときも「じゃあ次のバンドでは何をやろうかな?」って考えてたんです。とにかくいっぱいCDを聴きながら。そんな中、ひさしぶりにSex Pistolsを聴いてみたら……。

──これだ!と(笑)。

宮田 はい(笑)。改めて「Anarchy In The U.K.」を聴き直してみたら、奇抜さとか斬新さとか人の予想を裏切ることとかに頭を悩ませてた自分がホントにバカバカしくなっちゃって。粗さとかショボさとかを超越したエネルギー、ローファイゆえの衝撃や爆発力がとにかく強かった。で、自分たちが今思っていること、自分たちが今生きている時代の空気をストレートに、なんなら誰でもできるかもしれないんだけど、でも僕たちにしかできない方法で表現することが、一番衝撃的で感動的なことなんじゃないかな、って考えるようになって。そういうことを端的に表現できる音楽はパンク、ひいてはロックンロールなんだろうな、と。

メジャーデビューミニアルバム「普通の人間」 / 2014年5月7日発売 / DefSTAR Records
初回限定盤 [CD+DVD] 2500円 / DFCL-2057~8
通常盤 [CD] 2000円 / DFCL-2059
CD収録曲
  1. アッと言わせたい
  2. 宮田誠のブルース
  3. あたしは人間
  4. まるいとんがり
  5. 秘めてる
  6. ドジ
  7. バンドマンの友達が言うには
初回限定盤DVD収録内容
  • バンドマンの友達が言うには
  • Bigになりたい
SUNDAYS(サンデイズ)

女性ボーカル冬実と、宮田誠(G)、三上雅行(B)、渡辺和己(Dr)の男性3人からなる4ピースバンド。2007年9月の結成以来、首都圏と関西圏のライブハウスシーンを中心に活動し、2013年1月にはミニアルバム「終わらない旅」(タワーレコード限定)をインディーズよりリリースする。そのリードトラックの「Bigになりたい」はインディーズながらフジテレビ系「めちゃ×2イケてるっ!」のエンディングテーマに採用された。そして2014年メジャーデビュー。5月7日、メジャー1stミニアルバム「普通の人間」を発表する。