音楽ナタリー Power Push - 日本工学院ミュージックカレッジ presents Summer Rise 2015

ザ・チャレンジ×伊東歌詞太郎×学生座談会&レポートで振り返る「Summer Rise 2015」

見えやすい形で100%を出してくれた

──お2人は今日の学生さんの姿を見ていて、何か感じたことはありますか?

歌詞太郎 ここまで見えやすい形で100%を出してくれたって思える現場はひさしぶりで……。僕は初心を忘れないということをモットーにしているのですが、今日感じたことは心に刻み付けておこうと強く思いました。

学生一同 ありがとうございます!!

打ち合わせ中のコンサート舞台コースの学生。

沢田 いつもがんばってるんですけど、今日はみんなの期待に応えたいなっていう思いがすごく強くて、いつもよりもがんばろうって思いましたね。あとすごいみんなピュアで素直だなって思って。ライブ中、袖のみんなどんな感じなのかなあーって何気なく見たら、俺の機材にトラブルが起きたんじゃないかって思ってみんな慌てちゃって「なんすか!? なんかあったんすか!?」っていう表情で、前のめりになってこっちを見てて。みんながどんな感じか見てただけだから何も問題ないよ!って……申し訳なかったですね(笑)。みんな本当に一生懸命にやってて、僕は感銘を受けました。

学生一同 ありがとうございます!!

──学生の皆さんは、具体的な将来のビジョンっていうのはあるのですか?

天野 PA会社に所属してPAをやっていきたいなって思ってます。ライブはもちろん、例えば歌舞伎とかまで全部できるようになりたいと思っていて。

歌詞太郎 PAって出演者にとって命だと思うんです。例えばPAの人がミキサーのボリュームを下げたら、僕たちの音はお客さんには一切伝わらないわけですからね。いいPAさんになってください、よろしく頼みます!

天野 がんばります!

今野 私はライブ照明をやりたいです。バンドと一緒にツアーを回っていけたらなと思っています。

沢田チャレンジ(Vo)

沢田 照明って本当に素晴らしい仕事だと思います。僕たちザ・チャレンジは後ろに映像を流していないので、照明と一緒にライブを作ってるっていう意識がすっごい強くて。下北沢GARAGEで照明をやってた奴が、今はうちのメインの照明で大きい会場とかでもやってくれてて。出会った頃はライブハウスの照明アシスタントだったんだけど、ずっとバンドと一緒に成長してきてくれてるんですよ。照明やPAの人にはそういうバンドと作れるストーリーっていうものがあると思うので、ぜひがんばってほしいなと思いますね。

今野 ありがとうございます!

──ここからライブを作るプロが生まれるわけですもんね。

沢田 本当だよ! 5年後とかにフェスとかでやってるかもしれないわけじゃないですか。呼んでよー!? ちゃんと! この出会いを忘れないでね!(笑)

学生一同 あはははは(笑)。

リハーサル中のコンサートPAコースの学生。

歌詞太郎 またご一緒できたらすごくうれしいなあと思います。僕も一生歌い続けようと思ってるので、いろんな現場で「あ、あのときの!」って思ったら声かけてくださいね。

沢田 うんうん。代表して5人に言うけど、日本工学院のみんなにどっかで再会したら必ず声かけてくれって言っておいてください! あ、街で僕が女の子といるときとかは声かけないでいいからね?

嶋田 気を付けます(笑)。

アーティストとしっかり向き合ってくれるスタッフ

──具体的に、どういうPAさん、照明さんだとやりやすいですか?

沢田 僕は圧倒的に、バンドを理解してくれている人ですね。初めて仕事するスタッフさんでも、事前に勉強してくれてる人って一発でわかるんですよ。完全にこれ聴いてるなっていうのが。そういうスタッフさんに当たるとすごく愛を感じて……。「これはいいライブしなくちゃな」って強く思いますね。技術も大事ですけど、いいライブを作ろうっていう思いが重要かなって思います。

歌詞太郎 業界全体がアーティストとしっかり向き合ってくれる照明さんとかPAさんであふれたら最高ですよね。いつどこだってまあ大丈夫でしょうっていう心強い気持ちになれたりするので、そういう人が増えていったらめちゃめちゃうれしいなあ。

──天野さんは今日実際にPAを担当してみてどうでしたか?

伊東歌詞太郎

天野 今日は伊東歌詞太郎さんのステージを担当したんですけど、PAとしてコロガシ(ウェッジモニター)をあんなに前に置いたのは初めてだったんですよ。学校にあんなに大きなステージはないので。

歌詞太郎 6基も置いてくれて……。僕のライブでもあれだけコロガシを置いてくれるってのは全然ないことなんですよ。前2発の横2発っていうのがスタンダードなので、より聞こえやすくてうれしかったです。これは何か意図があって?

天野 伊東歌詞太郎さんが下手いっぱいまで伸びるマイクケーブルを希望されていたので、たくさん動かれるんだろうなあってことで、コロガシをたくさん置こう!と思いまして。

歌詞太郎 わー……その気遣いがうれしいよ! ありがとう! それが功を奏して今日SEで「POISON(~言いたい事も言えないこんな世の中は~)」を袖から歌いながら出てくることができましたからね(笑)。

沢田 照明さんもちゃんと考えてやってくれてるなあって思って。トリプルボーカルで歌い分けてるところをちゃんとそのメンバーの色で照らしてくれたりとか、最後のほうにやった「マイガール」は曲の後半が展開の少ない曲なんだけど、最後のほうだけムービングを使ってくれたりだとか、照明が変わってくれることによって見え方が全然変わるから。

今野 ありがとうございます! 自分が担当になった曲は学校の行き帰りをはじめ常に聴いていて、動きとかをイメージしていたのでうれしいです。

沢田 そうだったんだ! なんか逆に申し訳ない気持ちになってきた……同じ歌何回も聴かせて……。変な歌いっぱい聴かせてごめんね。

開場に向けて準備をするコンサート制作コースの学生。

一同 あはははは(笑)。

歌詞太郎 PAさんもけっこう聴き込んでくださってたんですか?

天野 はい。リバーブの位置を覚えるために朝も昼も夜も、何度も聴いてました。100回以上聴いてると思います。

歌詞太郎 わー、そこまでかー……。そうなると……。

沢田 なんだろう、申し訳ないよね(笑)。100回とか聴かれるとちょっとごめんなってなっちゃうよね。

歌詞太郎 100回同じ曲を聴いてたら飽きられちゃうんじゃないかって思いますよ……。いやあ、ありがとね。明日から好きな曲いっぱい聴いてね?(笑)

Contents Index
ライブレポート&学生活動レポート
沢田チャレンジ×伊東歌詞太郎×学生座談会
日本工学院ミュージックカレッジ

日本工学院ミュージックカレッジのコンサート・イベント科は、コンサート制作コース、コンサートPAコース、コンサート照明コース、コンサート舞台コース、イベント企画コースの5コースで構成される学科。コンサート・イベントの最前線で活躍するスタッフを育成している。八王子キャンパスでは学校内にある1000人収容のホールで授業および実習が行われ、プロの現場と同じ環境で学ぶことが可能。毎年夏と冬には東京・赤坂BLITZやオリンパスホール八王子で、学生たちの手によって作り上げられたイベントが開催される。

ザ・チャレンジ

ザ・チャレンジ

沢田チャレンジ(Vo)、チャレンジオノマック(Vo, G)、タラコチャレンジ(Vo, G)、ヤンキーチャレンジ(B)、ドラゴンチャレンジ(Dr)の5人からなるロックバンド。2010年に沢田チャレンジの「バンドやりてえなー」というつぶやきをきっかけに、彼と交友のあったメンバーで結成された。“アミューズメントロックバンド”というテーマを掲げており、さまざまな挑戦を行ってファンを楽しませている。2015年4月にEMI Recordsからミニアルバム「スター誕生」でメジャーデビューを果たす。同年8月にはメジャー1stシングル「すっぽんぽん」を発表する。

伊東歌詞太郎(イトウカシタロウ)

伊東歌詞太郎

2012年1月に動画共有サイトに“歌ってみた”動画を初投稿。ボーカロイド楽曲などのカバーで大きな注目を集める。現在の動画総再生数は2000万を超え、ロックからバラードまで幅広く歌いこなす歌唱力から「歌唱力おばけ」とも称される。2014年1月、TOY'S FACTORYより「一意専心」でCDデビューし、2015年4月に2ndアルバム「二律背反」をリリース。またボカロP・レフティモンスターとのユニット「イトヲカシ」としても活動しており、日本47都道府県での路上ライブのほかタイ、シンガポール、フランス、オランダ、ドバイでも世界路上ライブツアーを実施した。