ナタリー PowerPush - 住岡梨奈
「テラスハウス」で変われた私
先輩たちに強気でぶつかった
──本作は楽曲ごとに参加されているミュージシャンが実に豪華ですよね。
はい。今回一緒にやらせていただいたのは、ほんとにすごいミュージシャンの方々なんですけど、皆さんめちゃくちゃ人柄が素敵なんですよ。演奏がうまいっていうのはもちろんなんですけど、私はそういう部分にものすごく惹かれちゃいましたね。制作は本当に楽しかったです。
──曲の方向性やアレンジのイメージなどは住岡さんからしっかり伝えるんですか?
そうですね。私の場合、擬音語が多いので伝わりづらいんですけど(笑)、皆さんとしっかりコミュニケーションを取りながら1曲を練り出していく作業ができたと思います。斎藤有太さんとOKAMOTO'Sと一緒にやった「ポーズ」という曲では、私の負けん気がかなり出た感じがしますね。演奏でガッツリ個性を出していただいたので、歌で負けるわけにはいかないなってものすごく気合いが入ったんです。
──先輩ミュージシャンたちに遠慮せずぶつかったわけですね。
すごいミュージシャンの人たちとやってるってだけのアルバムじゃないぞっていうのをしっかり見せたかったんですよ。なので、強気でぶつかった曲ばかりです。
──「ケセランパサラン」では高橋久美子さんと歌詞の共作をされていますね。
これはまず私が歌詞をフルコーラス書いて、それを久美子さんに投げたら違う視点での歌詞が届いたので、そこからいいなと思う言葉を拾わせていただいた感じなんです。自分の歌詞に対しての思いを伝えながら「ここは変えたくないんです」っていう説明をさせていただきつつ、でも「久美子さんのこの言葉が私はすごい好きなんです」っていう素直な気持ちを伝えたら、「梨奈ちゃんの思う通りにやっていいよ。私の歌詞にいい言葉だと思うものがあったらならいい言葉として使ってくれればうれしいし」って久美子さんは言ってくれて。
──ご自身の歌詞がフルであったにもかかわらず、そこに久美子さんのエッセンスを入れようと思ったのはどうしてなんでしょう? 実験的な意図があったんですかね。
久美子さんには10月にリリースされたシングル「Hello Yellow!」で作詞をしてもらったんですけど、私の中でその歌詞への共感がものすごかったんですよ。なので私の書いた歌詞に久美子さんの言葉が入り込んできたら絶対いいマジックがかかるだろうなって思ったんです。私1人で書いた歌詞はどこか抽象的でフワフワしているというか、気持ちをちょっとごまかしているような言葉を選んでしまうことがあるので、素の部分をグッと引き出してもらえるんじゃないかなって。
──その試みは成功しました?
はい! 「ある日わかった パチンとね」っていうかわいいフレーズは久美子さんからいただいたものなんですけど、それって私がやりそうなことなんですよね。「わかった!」って言って手をパチンと叩くっていう。そういう身近に感じられる言葉をたくさんいただけたことで、より自分自身に近付いた曲になったと思います。
──「THE 意識」という曲では堂島孝平さんと歌詞を共作されていますよね。この歌詞も住岡さんのリアルが見えている感じがして面白かったんですけど。
まさにその曲でも私のジュクジュクした自意識過剰なところを堂島さんに引っこ抜かれた感じでしたね。私としては隠しているつもりだったのに、「住岡ちゃんってこういうとこあるよねえ」ってあっさり見抜かれていたっていう(笑)。
「テラスハウス」にすごく助けられてる
──住岡さんの場合、ご自身で書かれた歌詞よりもほかの方が関わった歌詞のほうが具体的にリアルになるんですね(笑)。
そうなんですよねえ。「Hello Yellow!」の歌詞にある、カレーこぼしたりテーブルの角に小指ぶつけたりっていうのはかなり“住岡梨奈あるある”ですからね(笑)。自分としてはスッとスマートに生きている感じにしたいんですけどそうはならない。で、それが身近な人には全部バレてるっていう。最初は「この歌詞を全国に発信しちゃうんですね……」みたいな感覚だったんですけど、「テラスハウス」で私生活を見てもらうようになったことで、それもいいなって思えるようになったというか。
──ミュージシャン住岡梨奈と、「テラスハウス」で見ることのできる素の住岡梨奈の境界線がいい意味でなくなってきている感じなんでしょうね。
そうそう。「Hello Yellow!」は「アゲアゲな曲だよね」っていう感想が多いけど、テレビを観ている人は「でも、りなてぃには悩みとかいろいろあるもんね」っていう聴き方をしてくれてたりもして。そういう意味ではミュージシャンとしても「テラスハウス」にすごく助けられてる感じがありますね。
──それは音楽活動をしているだけでは味わえない感覚ですね、きっと。
ですね。あと私が隠しておきたい気持ちっていうのはほかの方にとっても隠しておきたいものだったりする場合も多いと思うんですよ。イベントで「THE 意識」をやったことがあるんですけど、そのときに初聴きなはずなのにみんなすごく盛り上がってくれたんです。それはきっと「私の隠しておきたい部分を住岡梨奈が歌ってくれた!」みたいな捉え方をしてくれてたからこそなんじゃないかなって。そういう聴き方をしてもらうこともできるんだって気付けたのは自分として面白いことでした。
- 1stアルバム「ツムギウタ」/ 2013年11月27日発売 / Ki/oon Music
- CD+DVD 3500円 / KSCL-2331
- CD 3059円 / KSCL-2333
CD収録曲
- 追い風
- Hello Yellow!
- ポーズ
- 雪どけの街
- ナガレボシ
- ハレノヒ
- Oh! Yeah
- THE 意識
- ケセランパサラン
- ひつじ
- 文(あや)
- feel you
- 夕陽ヶ丘のサンセット
※13曲目は初回限定盤のみ収録。
初回限定盤DVD収録内容
- Hello Yellow!(Music Video)
- We Are Never Ever Getting Back Together(「あなたのお家で聴ける!」弾き語り in テラスハウス)
- 歩いて帰ろう(「あなたのお家で聴ける!」弾き語り in テラスハウス)
- ナガレボシ(「あなたのお家で聴ける!」弾き語り in テラスハウス)
- Hello Yellow!(Music Video メイキング)
- アルバムジャケット撮影風景
住岡梨奈(すみおかりな)
1990年生まれ、北海道札幌市出身の女性アーティスト。高校生の頃より作曲活動を始め、大学入学後は学内の音楽サークルで活躍。2010年から札幌市内を中心に弾き語りでのライブ活動を行い、2011年夏には北海道内で6公演の弾き語りツアーを開催した。同時に初の音源となるライブ会場限定シングル「ナガレボシ」をリリース。10月には東京で行われたSPARKS GO GO主催のライブイベントでオープニングアクトを務めた。2012年春、大学卒業と同時に上京し、6月リリースのシングル「feel you」でメジャーデビューを果たした。2013年に入ってからはCDシングル「ハレノヒ」「Hello Yellow! / ナガレボシ」、配信シングル「ポーズ」を発表。同年7月より人気リアリティ番組「テラスハウス」に出演する。11月に待望の1stアルバム「ツムギウタ」をリリース。