音楽ナタリー PowerPush - Sugar's Campaign

普遍的ポップス職人の狙い

Avec AvecとSeihoによるポップユニット・Sugar's Campaignがメジャー1stアルバム「FRIENDS」を1月21日にリリースする。彼らはゲストボーカリストを迎える形で活動しており、今作でも旧知の仲であるakioを筆頭に、モデルや女優を中心に活動しているIZUMI、シンガーソングライターのmomoらがフィーチャーされている。また、初回限定盤には新鋭クリエイター5名が描き下ろしたオリジナルコミックが付属。タイトル通り、たくさんの“友達”と作り上げた意欲作となっている。

ナタリー初登場となる今回のインタビューでは、Sugar's Campaign結成の経緯や2人の音楽的バックグラウンド、ゲストボーカリストを招くスタイル、ユニットとして目指していることなどをたっぷりと語ってもらった。さらに初回盤にコミックを付けた理由やネットで作品を発表していた彼らがCDをリリースするに至った経緯なども明かされている。

取材・文 / 秦野邦彦 インタビュー撮影 / 佐藤類

 
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Sugar's Campaign結成まで

──お2人が出会ったのはどういうきっかけだったんですか?

左からAvec Avec、Seiho。

Avec Avec もともとSugar's Campaignは、2007年に僕が高校のときの友達と組んだ3ピースのロックバンドやったんです。今サポートで歌ってくれてるakioがボーカルで、僕がドラム、もう1人今回のアルバムでも何曲か作詞をしてくれた小川リョウスケがベースで。

Seiho その頃僕は1人で活動してたんですけど、Avec Avecとは大学のサークルが同じで、よく一緒に岡村靖幸のコピバンなんかをしてて。

Avec Avec 僕ら軽音楽部つながりなんです。サークル外で僕がシュガーズ、Seihoはソロでクラブミュージックをやってて。当時から僕はSeihoの影響をすごい受けていて、シュガーズの音楽性も少しずつ変わっていってましたね。

Seiho それからメンバーの就活があったりで2人抜けて、シュガーズの活動が1、2年止まってた時期があって。

Avec Avec シュガーズに僕しかいなくなったことで、Avec Avecという名義でのソロ活動が始まったんです。僕は歌があまり得意ではないしギターとかも弾けるわけじゃないから、トラック制作のほうにいって。でも、やっぱり歌モノをやりたいということでSeihoを呼んで1回やってみようという話になって。

Seiho 僕はもともとシュガーズの曲が好きやったんで、「活動再開したらどう?」って話をしてたんですよ。それで2人でやったのが今のSugar's Campaignの最初です。

──Seihoさんはソロで電子音楽をやりながら、バンドにも興味が?

Seiho 僕は小学生のときからトロンボーンをやってて、中学でジャズのビッグバンドに入ってからジャズしかやってない時期があったんですけど、高校生のときに関西で電子音楽をやっているAOKI takamasaさん、半野喜弘さん、rei harakamiさんとかのライブをがっつり観に行くようになって。それからはずっと電子音楽のほうにいったので、僕は1回もバンドっていうものを知らないまま大きくなっちゃってるんですよね。だからいまだにわかってないです、バンドってものがなんなのか。

Avec Avec 僕もいわゆるロックバンドというよりは、宅録が好きやったからムーンライダーズとかXTCみたいな職人ポップバンドが作るような音楽を目指してたんですよ。でも、そういう音楽をライブハウスでライブをやっていくとなるとパフォーマンスに限界を感じて。ちょうどその頃、2009年に京都のロックフェス「ボロフェスタ」でtofuくん(tofubeats)のライブを初めて観たときに、打ち込みとバンドをくっつけてポップな音楽ができるっていうのを実感したんです。音楽シーン的にもその頃チルウェイブっていう新たなジャンルが出てきた時期で。

──ゲイリー・ロウが1983年にヒットさせたイタロディスコクラシック「I Want You」をサンプリングした、Washed outの「Feel It All Around」とか。

Avec Avec そうそう。音楽的にもそこらへんをやってみたいなって。

ネットならではのタイム感

──2人が音楽活動をする上で、YouTubeやSoundCloudの存在も大きかったでしょうね。

Seiho それまでやったらリリースの準備をして、リリースして、そのあとにパブを打ってみたいな流れだったと思うんです。でも僕らが2012年1月に「ネトカノ」出したときにやったのは、曲ができて、「じゃあ俺、来週PV撮ってくるわ」って作って、編集が終わったタイミングでAvec Avecに連絡してそのままYouTubeに上げるっていう。そしたら、その日の夜中にMaltine Recordsのtomadくんから「明日、DOMMUNE出るからその曲送ってもらえませんか」って連絡があって、DOMMUNEのラストにかけてくれて。このタイム感がなんとも言えないですね。

Avec Avec 彼が映像を撮ってくれたあとも「曲名どうする?」みたいな話を直接会わずにSkypeでやりとりして、いろんな案を投げ合って。あの一連の流れはけっこう面白かったですね。

Seiho 狙ってインターネットでやったというよりは、必然的に僕らが持ってるツールの中で便利やったっていうだけなんですけどね。

──さすが1987年生まれって感じですね。

Seiho とはいえ、僕らより下の人のほうがもっとネイティブですよ。僕が最初にパソコン買ってもらったのは1995年頃ですから。小3やから……9歳か。

Avec Avec 俺、初めて買ってもらったの小6やな。当時ペリー来航のFlash動画が小学校でめっちゃ流行ってたの覚えてる。

──「ネトカノ」は発表から2年以上経過した2014年8月にアナログ7inch、9月にCDというフィジカルでのリリースになったわけですが、この流れって先ほどのDOMMUNEで流れるまでの速度感とは別物ですよね。

Seiho まあ……僕ら怠け者だから(笑)。

Avec Avec いつでも出せるからいっか、みたいな(笑)。

Seiho

Seiho でも、出してみて僕が感じたのは、フィジカルを買うお客さんまで広がるのに2年かかってよかったかなって。本当はYouTubeで発表したあとすぐ出す準備をしてて、ジャケット写真も2012年には撮ってるんですよ。ジャケットに写ってるのは2年前の僕の部屋なんです。そこまで準備はできていたんですけど、なんかこう……乗らなかったんですね、気分があんまり。

Avec Avec フィジカルで出すってことに対してそこまで特別な思いもなかったし、ふんぎりがつかんかったっていうか。

──リリースはしてないですが、ライブ活動はされましたよね。

Seiho 「ネトカノ」をYouTubeで発表した年の4月に「SonarSound Tokyo2012」に2人で出たのが最初かな。僕のほうはその前くらいからソロでがっつり活動し始めて、彼はAvec Avecでのリリースがあって。それぞれ力を蓄える時期に入ったというか。

Avec Avec そうそう。お互いの知名度を上げるための。

Seiho どっちかっていうと僕らは“あの2人がやってるSugar's Campaign”っていう感じの見え方がいいなと思っていて。2人の軸というかキャラクターを理解してもらった上で、「ああ、そういうことか」みたいな見え方になってほしかったというか。

──実りある時間だったと思います。ネットで新しい音楽を探そうとしている人には、Avec Avecさんの「おしえて」や、Seihoさんの「I Feel Rave」は確実に届いてるはずでしょうし。

Avec AvecSeiho ありがとうございます。

1stアルバム「FRIENDS」 / 2015年1月21日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
1stアルバム「FRIENDS」
初回限定盤 [CD+書籍] / 3672円 / VIZL-767
通常盤 [CD] / 2700円 / VICL-64276
収録曲
  1. ホリデイ
  2. ネトカノ
  3. It's too late
  4. となりタウン
  5. MEMORY MELODY
  6. Big Wave
  7. 夢見ちゃいなガール
  8. カレイドスコープ
  9. Shopping Center
  10. 有名な映画のようにラブリーな恋がしたい
  11. 香港生活
  12. パラボラシャボンライン
初回限定盤付属コミック クリエイター / 作品名
  • 色「フレンズ」
  • 黒崎聡之「VACANTLY」
  • 川西ノブヒロ「I wanna be a lovely girl」
  • 水野しず「人間は暗い箱に脳を閉じ込めて生きている」
  • 西尾雄太「マジック」
Sugar's Campaign単独公演~FRIENDSリリパ~
2015年3月19日(木)東京都 UNIT
2015年3月20日(金)大阪府 SUNHALL
Sugar's Campaign(シュガーズキャンペーン)

Avec AvecことTakuma Hosokawaと、SeihoことSeiho Hayakawaの2人によるポップユニット。2011年に始動し、ゲストボーカルを招く形で活動している。2012年1月に「ネトカノ」を YouTube にて公開し、ネットやクラブ、インディーロック界隈など各所で話題になる。約2年半後の2014年8月にアナログ、9月にCDで「ネトカノ」を発売。11月に初の単独公演「ネトカノリリパ」を開催し、SPEEDSTAR RECORDSよりメジャーデビューすることを発表した。同月「ホリデイ」を配信リリース。2015年1月21日にメジャー1stアルバム「FRIENDS」を発表。