「ゆだねたギター」でいい味を出す越智家の扇風機

──具体的にEPの制作はどのように進んでいったんですか？

菅田　まず僕がトークグループのところに歌詞のメモ書きみたいなものをいっぱい投げたんです。そこから形になりそうなものをみんながピックアップして、曲にしていってくれた感じですね。それでできたのが「ゆだねたギター」「愛と右脳」「八月のエイリアン」の3曲。

タイヘイ　将暉の送ってくれた言葉たちはイメージがすごく湧きやすいというか。温度感とか質感がパッと見えるものばかりだったので形にしやすかったです。語感がすごく気持ちいいしね。

菅田　「ゆだねたギター」はタイヘイがベースになるアレンジを考えてくれて。途中で加わった越智の家の扇風機がいい味になったよね（笑）。

タイヘイ　そうそう。あれも大事な要素になった（笑）。

モチヅキ　え、どういうこと？

越智　「ゆだねたギター」のイントロにカランカランって音が入ってるでしょ？ アレ、うちの扇風機の音で（笑）。

タイヘイ　あの音に合わせて、ラップも作ったんだよね。コーヒー飲みながら。

菅田　そうそう。で、みんなでゲラゲラ笑ってて。結局、「ゆだねたギター」では使わなかったんだけど、あれは楽しかったよね。

川口　この曲のセッションデータがタイヘイから送られてきて、そこにギターとかをいろいろ足していく流れだったんだけど、頭のカラカラ鳴ってる音を消していいのかどうかはけっこう迷った。残しといてよかったんだなって今わかりました（笑）。

菅田　あはははは。

タイヘイ　俺ら、基本的に雑なんで。ノイズみたいなものをそのまま残してることもあるからね。そこはちゃんと説明しないとダメだな（笑）。

菅田　やっくんはこの曲のピアノはどんなふうに入れてくれたの？

モチヅキ　タイヘイが家に来てくれて録ったんだよね。最近はデータ上だけのやりとりも多いけど、顔を突き合わせての作業もやっぱりいいなと思った。演奏に関しては30分くらいで終わらせて、あとの時間は2人でずっと愚痴を言い合ってただけなんだけど（笑）。「人生って大変よねえ」みたいな。

菅田　へえ（笑）。

モチヅキ　この曲は演奏するのも楽しかったですよ。今までの将暉にはあまりなかったタイプの曲だし、こういう言い方はあまり好きじゃないけど、等身大な感じがするというかね。その雰囲気は今回のEP全体に言えることかもしれないけど。

KNEEKIDSの面白さを一番表している「八月のエイリアン」

──「愛と右脳」は“菅田将暉＋sooogood!”名義になっていますね。アレンジもシミズさんが手がけています。

sooogood!　はい。EPを出そうという話になったあと、それに向けて何曲か作っていたものの中からチョイスしてもらった感じでしたね。「これいいんじゃない？」みたいな。

菅田　この曲もこれまでうちらになかった感じの曲だからね。そこがいいと思った。あと、ちょっと宇宙感があるサウンドの中、ドラムソロみたいなパートもあったから、そこでタイヘイが演奏してる画もパッと浮かんで。で、さらにってことで、「これ、しみちゃん（シミズ）も歌ってくんないかな？」みたいな（笑）。

sooogood!　その結果、「ゆだねたギター」で笑いながら作ってたラップがここに入ることになったっていう（笑）。

菅田　「こっちの曲でラップしちゃいなよ」ってね（笑）。

sooogood!　うん。すごく楽しくやらせてもらいましたよ。

越智　カッコいい仕上がりになったよね。

──サウンドとマッチした浮遊感のあるメロディが最高に気持ちいい曲ですよね。

菅田　気持ちいいですよね！ ホント、シンプルにそこがいい形で跳ねたなという。

sooogood!　歌詞のはめ方も面白かった。

菅田　そうね。「どう青年」のところは最初、「I don't know」とかだったんだけど、英語っぽく聞こえる日本語にしようということになって。

モチヅキ　最初、関西弁かと思ってた。「どうすりゃええねん」みたいな（笑）。

タイヘイ　実際、関西弁にする説もあったからね。

菅田　しみちゃんのデモになんちゃって英語で歌詞が付いてたから、そのニュアンスを崩さないようにほかの言葉をがんばってはめたら意外とうまくいったっていうね。そこで言葉がうまくはまったテンションで一気に完成まで持っていった感はある（笑）。

タイヘイ　間違いないね（笑）。歌詞がはまったとき、「キター！」って感じだった。

菅田　で、最終的にしみちゃんのラップでばっちり曲としてまとまったしね。

──「八月のエイリアン」の編曲はタイヘイさんと川口さんですね。

タイヘイ　これも将暉の歌詞を見て、そこから受け取ったイメージで俺がまずデモを作って。そこで浮かんだ音像的に「これは圭太くんに頼むしかないな」と思って投げました。

川口　頼まれた理由がわかりやすすぎるくらい、僕の得意分野でしたね（笑）。だからあれこれ考えず、自然に作っていった感じ。

菅田　この曲は歌ってみたらわかるんだけど、口がめっちゃ気持ちいいんですよ。ホントみんなにも歌ってみてほしい。

sooogood!　うん、わかる。メロディと言葉のはまりが気持ちいいよね。

越智　あと、後半の「星もわずか」以降からが楽しいんだよ、演奏してて。めっちゃ楽しくない？

sooogood!　うん、楽しい。

川口　あそこ、実はギターソロを入れてくれって言われてたんだけど、なぜかDメロができちゃったんだよね。ギター弾けって言われてんのに、歌って返した（笑）。

モチヅキ　それクソ面白いんだけど（笑）。

菅田　このパートが急にできてきたとき爆笑したもんな（笑）。

モチヅキ　でも、このパートこそがこの曲のハイライトだよね。

菅田　うん。この曲はKNEEKIDSの面白さを一番表してる感じがするな。