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Spotify「Early Noise」特集|3人の音楽ライターが語り合う、2019年新人アーティストの特徴と、ストリーミング時代のヒット曲の生まれ方

音楽ストリーミングサービスSpotifyより、今年大きな飛躍が期待される新進気鋭の国内アーティスト10組が「Early Noise 2019」として発表された。Early Noiseとは、Spotifyがその年注目する次世代アーティストを選出し、同名のプレイリストを通じて紹介するプロジェクト(参照:Spotify「Early Noise」特集)。ショーケースライブ「Early Noise Night」も定期的に開催されており、これまでにあいみょん、向井太一、CHAIら、さまざまなアーティストがEarly Noiseから国内のみならず海外でも多くのリスナーを獲得し、次のステージへステップアップしていった。

今回音楽ナタリーでは、音楽ライターの金子厚武、高木"JET"晋一郎、三宅正一の3名による座談会を実施。「Early Noise 2019」に選ばれた10組についてや、そこから見える現代的アーティストの傾向、ストリーミングサービスがもたらす音楽の新しい聴き方と届け方を読み解いてもらった。

取材・文 / 鳴田麻未

2019年新人アーティストの特徴 その1デジタルネイティブ

──Early Noiseは、その年にブレイクが期待される新人アーティストをSpotifyが選出して、プレイリストやライブイベントなど多角的にバックアップしていくプログラムです。2017年にスタートしてこのようなアーティストがピックアップされてきました。

2017年ビッケブランカ / RIRI / DYGL / The Hotpantz / ロザリーナ / NOT WONK / あいみょん / CHICO CALITO / BANANALEMON / 横山リサ / Jess Connely / yahyel / 向井太一 / STUTS

2018年CHAI / SPiCYSOL / evening cinema / Awich / Scarf & the SuspenderS / あっこゴリラ / ものんくる / SUNNY CAR WASH / SUSHIBOYS / カネコアヤノ / odol / PAELLAS / 羊文学 / フレンズ / 小袋成彬 / FAKY など

三宅正一 これってどうやって決定するんですか?

Spotifyスタッフ アーティストのリスニングデータなどを参照しつつ、最終的にはSpotifyの目利き力で選んでいます。ただ、年間を通じて選出アーティストをバックアップしていきたいと考えているので、リリース予定があるかなど、いくつかの条件はあります。ヒューマンな部分とデータベースをミックスして選出しています。

──今年は下記の10組が選ばれました。お三方は座談会にあたってひと通り聴き直してみたそうですが、印象はどうですか?

2019年EMMA WAHLIN / Ghost like girlfriend / Mega Shinnosuke / 中村佳穂 / Yo-Sea / ずっと真夜中でいいのに。 / King Gnu / 秋山黄色 / SASUKE / Kitri

三宅 音に関しては、ドメスティックなサウンドプロダクションが垣間見えるアーティストもいるけど、“対海外”とか“ガラパゴス”的な言われ方すら超越した音楽性を持ってる人もいっぱいいますよね。個人的には、中村佳穂ちゃんは2年前ぐらいに初めてライブを観てからずっと好きなんですけど、直近のアルバム「AINOU」を出してからの跳ね方がすごいなって。彼女のことを素晴らしいと思った人から、ほかの人に勝手に伝わっていく。そういうときにストリーミングの存在は大きいと思うし、佳穂ちゃんの広がりを見ててその勢いを生々しく体感しましたね。

高木"JET"晋一郎 King Gnuなんて、もう「ミュージックステーション」まで出て全然“Early”じゃなくなってるけど、それぐらい伝播のスピードが速いってことですよね。一方でSASUKEは音源だとまだ1、2枚出したくらいですよね。そういうアーティストの選出も少なくない。

金子厚武 特徴の1つはやっぱり“デジタルネイティブ”ってことだと思います。ジャンル的なものはバラバラだしクロスオーバーしてるから、どうにか10組を括るとしたら「マルチな才能を持ってるクリエイティブなZ世代」みたいな言い方になるんじゃないかなと。ソロアーティストが多いというのもあって、小さい頃から自分自身でいろんなインプットをしてきたし、アウトプットもしてきた人たちなんでしょうね。

三宅 確かにソロが多いですね。とは言えKing Gnuも“バンドの異分子が混ざってる”感じはまったくせず、同時代の音として聴ける。

高木 Mega Shinnosukeも最高だよね。彼が前にやってたFow two.のYouTubeからめっちゃ面白かった。

三宅 ロックっぽいエモーショナルさもあるけど、今っぽいアーバンなポップさもあるんだよね。「桃源郷とタクシー」にコーラスで参加してるAAAMYYYは「全然面識なかったけど急に連絡が来てコーラスやることになった」みたいなことを言ってて。

高木 ネットナンパ、今っぽいなー。データのやり取りだけで会ったことないっていうのも今は普通らしいし。

2019年新人アーティストの特徴 その2無意識なジャンルレス

金子 あの、EMMA WAHLINさんは何者なんですか?(笑)

──「オランダのDJユニットSick Individualsのプロデュースで2018年9月にデビューした、アメリカ、スウェーデン、日本と多国籍なルーツを持つLA在住の15歳のフィメールシンガー」……もはや邦楽と言ってしまうのも違和感がありますね。

金子 2017年にラインナップされたRIRIも含めて、ひと昔前の国内のディーバみたいな感じとはかなり変わってて。

高木 歌い手で言うと、2017年のRIRI、2018年のAwich、今年のYo-Seaも、もう日本語で歌ってるっていうだけで感性とかクオリティは世界と直結してますよね。しかも彼らはそれを天然でできちゃってるんですよね。例えばYo-Seaはヒップホップのフィールドで活動してることが多いけど、いわゆる旧来的なヒップホップ性とかは一切考えてないと思う。いろんな音楽を手に取れる中で、何かに操を立てるわけじゃなくて「自分が好きなのはこれ」っていうくらいで、ジャンルを意識して選んでもいないというか。音楽の視聴環境としても、横断的に何でも聴けて、ジャンルが不問の時代だからこそという気もする。

金子 それで言うとGhost like girlfriendは個人的に面白いなと思っています。彼の人となりを調べてみたら、トロイ・シヴァンとかがすごい好きな一方で、とんねるずも上田正樹も超いいと思ってると。この感覚はまさに“選ばない”って話で、とにかく自分のアンテナに引っかかったものを取り込んでるんですよね。実際に新曲の「shut it up」も、前半はハードコアというかポストダブステップというかバッキバキの展開なのが、後半急にエモいギターソロが爆音で鳴り始めて、本当にジャンルレスで。

三宅 彼にインタビューしたんだけど、洋楽はほとんど通ってないみたいですよ。Base Ball Bearとかジャニーズとかがすごい好きだって。

高木 ああ、ジャニーズみたいな売れてるJ-POPのほうが“受けるもの”としての面白さが強いじゃないですか。ドメスティックとかUSとか考えず単純に。だからその「カッコよければいい」って感性をピュアに継いでるのかも。

三宅 音作りに関してはまだ自分でも途上だと思ってるというか、いい意味で定まってない感じだったな。

金子 ビートミュージックとバンドサウンドの境目がない感じがありつつ、曲調はとんねるずやジャニーズから影響されたであろう歌謡曲の色がありますよね。King Gnuも「自分たちの曲は歌謡曲」ってよく言っている。米津玄師くんとかあいみょんとかも、メロは歌謡曲的だけどトラックは今っぽいものになってたりして、そういう人が世間に受けてる流れを汲んでKing Gnuも今ブレイクしてる気がします。で、次はGhost like girlfriendかもなあと。

イベント情報

Spotify presents Early Noise Special
  • 2019年3月28日(木)東京都 EX THEATER ROPPONGI(※SOLD OUT)
    OPEN 17:30 / START 18:30 <出演者> Official髭男dism / ビッケブランカ / RIRI / ReN / あっこゴリラ / SIRUP / ドミコ / Nulbarich
動画配信サービス・GYAO!にてイベントの模様を生配信!
生配信:2019年3月28日(木)18:30~
アーカイブ配信:2019年3月29日(金)12:00~5月28日(火)23:59

※各アーティストのライブ映像を、3月29日(金)12:00から1曲、4月5日(金)12:00からさらに1曲追加で配信。

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2008年にヨーロッパでスタートした、スウェーデン発の音楽ストリーミングサービス。2011年にアメリカに進出し、日本では2016年11月に本格的にスタートした。国内外4000万曲以上の楽曲をラインナップし、2018年12月時点で世界でのユーザー数が2億人超を記録。世界各国のキュレーターやアーティスト、音楽ファンが作成した膨大なプレイリストや、アルゴリズムに基づく独自のレコメンド機能を持つ。

金子厚武(カネコアツタケ)
1979年生まれ。インディーズバンドでの活動や音楽出版社勤務を経て、現在はフリーランスのライターとして音楽を中心に雑誌やWebで執筆している。2015年発売の「ポストロック・ディスク・ガイド」を監修。
高木"JET"晋一郎(タカギジェットシンイチロウ)
1978年生まれ。ヒップホップ、アイドル、ブラックミュージック、ポップスを中心に執筆。共著に「ラップのことば」(P‐Vine BOOKs) 、構成にサイプレス上野「ジャポニカヒップホップ練習帳」(双葉社)など。
三宅正一(ミヤケショウイチ)
1978年生まれ。スイッチ・パブリッシングに入社して「SWITCH」「EYESCREAM」といった雑誌の編集に携わり、2004年からフリーライターとして活動している。2017年に音楽レーベル・Q2 Recordsを設立し、踊Foot Worksやマテリアルクラブの作品をリリースした。