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Spotify「Early Noise」特集|3人の音楽ライターが語り合う、2019年新人アーティストの特徴と、ストリーミング時代のヒット曲の生まれ方

まだライブをほとんどやっていない人が今後どうなっていくかに注目

──Early Noiseのプレイリストで出会ったアーティストたちのパフォーマンスを直接体験する場として、ショーケースライブ「Early Noise Night」も過去9回開催されています。EX THEATER ROPPONGIで今月開催される「Early Noise Special」は、過去にEarly Noiseで取り上げられて飛躍を果たしたアーティストたちが“凱旋出演”するイベントです。ラインナップは、Nulbarich、Official髭男dism、ビッケブランカ、RIRI、あっこゴリラ、SIRUPなど。

三宅 このメンツが一斉に集まるんだ! ぜいたくですね! そうやってライブに還元されてるのもいいですね。

「Spotify presents Early Noise Special」イベントビジュアル

高木 このメンツ見ると、やっぱりなんだかんだ言って現場力がある人は求心力が強いってことになりますよね。だから今年の10組も、まだライブをほとんどやっていない人が今後どうなっていくかはめっちゃ興味あるな。Ghost like girlfriendって3月にWWWで初ライブしたばかりなんですよね。

金子 Spotifyは年間通してプッシュしていくそうですけど、まずプレイリストでピックアップされて、ちゃんとライブする場を作ってあげて育てていく。正直ライブ力はまだ弱い子たちもいると思うんだけれど、いい試みですよね。

高木 まだ彼らもどう現場に出ていいかわかんないだろうから、そのときこのフォーマットというか器があれば心強いでしょうね。

金子 デスクトップミュージックのアーティストは年々多くなってますけど、じゃあそういう人はライブをどうやるか、ですよね。曲を聴いてイマイチだったけどライブでバンドセットで観たらめっちゃハマるかもしれないし、逆にライブはショボいなって思うかもしれないし。どちらにせよ音源と違う発見ができるというのはライブの開催意義として大きそう。

──2017年に選出されたSTUTSはその好事例と言えませんか? 現場で魅了する力が強かったから一層人気を獲得したんじゃないかと。

三宅 やっぱり血を流しながらMPCを叩いてる姿は伝わってきますもん。生々しい熱が。

金子 今年のリストの中だと、Kitriは“姉妹でピアノ連弾”っていうビジュアルの面白さがあるから、生で観たいと思わされますよね。

地上波を絡めずプレイリストだけでヒットする曲が現れたら本当に時代が変わる

──昨年は、あいみょんが“ストリーミングから生まれた初の国民的ヒット”であったとも言われています。このストリーミング時代、ヒットケースはどうやって生まれていると思いますか?

三宅 俺はスタッフ目線だと、パッケージとしてのCDももちろん大事にするんだけど、CDのセールスに判断基準を置いているというよりは、ストリーミングでいっぱい聴かれているほうがリアルな実感を得られるのは事実で。それはダイレクトにライブの集客にも反映されるのかなと思いますね。

金子 今って地上波テレビとストリーミングの相互関係でブレイクするという状況だと思っていて。プレイリストで聴かれるようになって、それがメディアで取り上げられたときにバーンと跳ねる。具体的に言えば、年明けの「関ジャム 完全燃SHOW」の「売れっ子音楽プロデューサーが選ぶ 2018年マイベスト10曲」と、「バズリズム02」の「これはバズるぞ!2019」ランキングで中村佳穂さんやKing Gnuはかなり注目を浴びたし、HondaのCM曲に起用されたSIRUPもそうかもしれない。だからEarly Noiseのアーティストが、地上波を絡めずにプレイリストだけで跳ねたら、ホントに時代が変わったなという空気になるのかな。テレビの影響は結局めっちゃデカいなと。

高木 そうですね。ただテレビ番組にもよるって感じしますよね。今や「Mステに出たから売れる」という理論はなさそうじゃないですか。

三宅 どちらかというと関ジャムで扱われたあとにMステに出るって感じだよね。

高木 だし、ちゃんと音楽聴く人が観る番組はもう「関ジャム」とかなのかなって。今面白い音楽のレコメンドになってるというか。

金子 やっぱりいくらでも聴けるからこそ指標が欲しいんじゃないでしょうか。関ジャムでやってることもそうだし、Early Noiseもそう。何を選んでいいかわからなければ、何か指標があってそこから聴いていく。それとは逆に、自分で能動的にディグって見つける楽しさもSpotifyにはあるし、どっちもやるのが一番いい使い方な気がします。

──その流れでSpotifyの有意義な使い方についても教えてください。

三宅 僕は、人との「この曲がいいよ」っていう共有はLINEでSpotifyのリンク貼ってそのまま送って、リファレンスの確認に使ってますね。それからShazamしてスクショ撮るとすぐSpotifyに飛べる機能がめっちゃ便利! 早い!

高木 Spotifyだと、流しっぱなしにしておけば勝手にいろんなのを吸収できるから楽ですよね。今ヒットしている曲を聴いてたら、レコメンデーション機能でヒット、ヒット、ヒットと続くから今これが受けてるんだってわかる。あとはサンプリングネタ! 「◯◯◯◯サンプリングソース」みたいな、元ネタを集めたプレイリストがあるから、「これはこうだったんだ」って聴くのはめっちゃ楽しい。そこからソウル名盤集みたいなのに流れていって昔の知らない曲を知ったり。あと、おそらく海外の人が組んでるであろう、日本のシティポップとかディスコのプレイリストを見るのも興味深い。

三宅 俺も、昔の曲とか名盤を改めてめっちゃ聴くようになった!

高木 この歳になって逆に音楽を体系的に聴くようになってる気がする。「リズム&ブルースってこういうことだったんだ」って今さら!(笑) 新しい曲に関してもそこに至るまでの道をたどりやすいというか。気になるアーティストができたら、そのプロデューサー、のプロデューサー、のプロデューサーってどんどんさかのぼっていけるから、なんで彼が出てきたのかがわかる。

金子 Spotifyへの要望だけど、それを探るために、より細かいクレジットを載せてほしいな。CDの時代はブックレットを読んで、誰が参加してるとか誰が関わってるとかっていうところから探っていったけど、今の日本版Spotifyだと作曲家やプロデューサーくらいの簡単な情報しか載らないじゃないですか。

三宅 エンジニア別で聴きたいときとかありますもんね。

高木 「illicit tsuboiワークス集」とか。

三宅 めっちゃいい!(笑)

──今後のフレッシュな音楽シーンに期待することはありますか?

金子 アーティスト自身というより周りの話になりますけど、フレッシュな才能がどんどん発掘されてワクワクする一方で、まだライブ経験が浅かったり音楽家として固まってないうちに、楽曲でよくも悪くも注目されてつぶれちゃう可能性もある気がするから、Early Noiseのようなプロジェクトでは、そのアーティストの育て方も大事かなと思います。ライブをやりたいんだったらライブの場を用意したり、プロデューサーをやりたいんだったらプロデュース仕事をサポートしてあげたり。1本線じゃなくて“注目の新人”から先の道への動線をいくつか作ってあげて、その人が一番活動しやすい形で進んでいけるような環境作りまでしていってほしいですね。

イベント情報

Spotify presents Early Noise Special
  • 2019年3月28日(木)東京都 EX THEATER ROPPONGI(※SOLD OUT)
    OPEN 17:30 / START 18:30 <出演者> Official髭男dism / ビッケブランカ / RIRI / ReN / あっこゴリラ / SIRUP / ドミコ / Nulbarich
動画配信サービス・GYAO!にてイベントの模様を生配信!
生配信:2019年3月28日(木)18:30~
アーカイブ配信:2019年3月29日(金)12:00~5月28日(火)23:59

※各アーティストのライブ映像を、3月29日(金)12:00から1曲、4月5日(金)12:00からさらに1曲追加で配信。

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2008年にヨーロッパでスタートした、スウェーデン発の音楽ストリーミングサービス。2011年にアメリカに進出し、日本では2016年11月に本格的にスタートした。国内外4000万曲以上の楽曲をラインナップし、2018年12月時点で世界でのユーザー数が2億人超を記録。世界各国のキュレーターやアーティスト、音楽ファンが作成した膨大なプレイリストや、アルゴリズムに基づく独自のレコメンド機能を持つ。

金子厚武(カネコアツタケ)
1979年生まれ。インディーズバンドでの活動や音楽出版社勤務を経て、現在はフリーランスのライターとして音楽を中心に雑誌やWebで執筆している。2015年発売の「ポストロック・ディスク・ガイド」を監修。
高木"JET"晋一郎(タカギジェットシンイチロウ)
1978年生まれ。ヒップホップ、アイドル、ブラックミュージック、ポップスを中心に執筆。共著に「ラップのことば」(P‐Vine BOOKs) 、構成にサイプレス上野「ジャポニカヒップホップ練習帳」(双葉社)など。
三宅正一(ミヤケショウイチ)
1978年生まれ。スイッチ・パブリッシングに入社して「SWITCH」「EYESCREAM」といった雑誌の編集に携わり、2004年からフリーライターとして活動している。2017年に音楽レーベル・Q2 Recordsを設立し、踊Foot Worksやマテリアルクラブの作品をリリースした。