Spotify「Early Noise」特集|世界最大級の音楽配信サービスが企画する 次世代アーティストの登竜門

世界で1億8,000万人以上のアクティブユーザーを抱える音楽ストリーミングサービス Spotify。各種チャートやレコメンド機能、そして国内外4000万曲以上の楽曲のラインナップを武器にシェアを広げてきたこのサービスは、「Early Noise」と題したプロジェクトを通して日本の新人アーティストを音楽リスナーに紹介し続けている。

音楽ナタリーでは「Early Noise」の取り組みについて詳しく紹介するほか、これまでにプロジェクトの一環であるライブイベント「Spotify Early Noise Night」に出演したあいみょん、カネコアヤノ、CHAI、ドミコ、向井太一によるコメントを掲載する。

文・構成 / 近藤隼人

「Early Noise」プロジェクトの今

2016年秋に日本でもサービスを開始したSpotify。最近はMr.Children、DREAMS COME TRUE、宇多田ヒカル、福山雅治、ポルノグラフィティなど大物アーティストの楽曲配信が立て続けにスタートするなど、ストリーミングサービスは音楽を聴く新たなスタイルとしてますます定着しつつある。そんなSpotifyは国内音楽シーンをさらに盛り上げるべく、2016年12月に新たなプロジェクト「Early Noise」を日本で立ち上げた。そしてこの「Early Noise」を通して、今後飛躍が期待される注目の新進気鋭アーティストをプレイリストやライブイベントで音楽リスナーに紹介し、長期的にバックアップを行っている。

プロジェクト立ち上げにあたり、まずはビッケブランカ、RIRI、NOT WONK、あいみょん、yahyel、向井太一、STUTSらSpotifyが2017年に注目するアーティストを選出し、その中の計14組の曲で構成されたオリジナルプレイリスト「Early Noise Japan 2017」を公開した。収録曲は随時更新され、Spotify のオフィシャルプレイリストを作成するエディトリアルチームがバイラルチャートなどの独自のデータを参考にしつつ、自分たちの耳や感性に基づいて新進気鋭のアーティストのナンバーを選出。現在は「Early Noise 2018」と題したプレイリストにKing Gnu、羊文学、SUSHIBOYS 、崎山蒼志、小袋成彬らの計50曲におよぶ楽曲が並んでいる。

今年7月に行われた「Spotify Early Noise Night Vol.7」の様子。(写真提供:スポティファイジャパン)

さらにSpotifyは2017年6月より、プレイリストと連動したショーケースイベント「Spotify Early Noise Night」を定期的に開催している。「Early Noise」のプレイリストを通じてアーティストやその音楽に興味を持ったリスナーが、ライブを体験することでそのアーティストのファンになったり、また一緒に同じライブに出演していた別のアーティストに興味を持ってもらうことが主な目的だ。イベントはこれまでに計7回行われており、さまざまなジャンルのアーティストが競演。プレイリストを聴いた音楽リスナーが仕事や学校の帰りに気軽に足を運べるようチケット料金は1000円に設定されている。またアーティストとオーディエンスがお互いに距離を近くに感じられることも「Early Noise Night」の特徴の1つで、6月に大阪で初開催となった大阪・Music Club JANUSでのイベント(参照:向井太一、あっこゴリラら6組がフロア沸かせた大阪初開催「Spotify Early Noise Night」)以外は東京・SPACE ODDで開催され、フロアの中央にセンターステージが設置されている。

昨年9月に行われた「Spotify Early Noise Night Vol.3」に出演したCHAI。(写真提供:スポティファイジャパン)

いまや「Early Noise」は新しい才能や音楽が国内外に広まるきっかけとして業界内外で注目を集めており、プレイリストやイベントに登場したことをきっかけにSpotify上で10万人以上の新たなマンスリーリスナ―を獲得しているアーティストも少なくない。2016年に配信された楽曲「ぎゃらんぶー」が「Early Noise Japan」に取り上げられたCHAIは、世界の音楽ファンに向けて日本の音楽を紹介する人気プレイリスト「Tokyo Rising」にも取り上げられたことでイギリスのバイラルチャートで36位まで上昇。その存在を国外でも知られることになった。また2017年に「Early Noise」に選出された向井太一は、1年後には再生回数、リスナー数が共に約60倍に増加した。

Spotify
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2008年にヨーロッパでスタートした、スウェーデン発の音楽ストリーミングサービス。2011年にアメリカに進出し、日本では2016年11月に本格的にスタートした。国内外4000万曲以上の楽曲をラインナップし、2018年9月時点で世界での有料会員数が8300万人超を記録。世界各国のキュレーターやアーティスト、音楽ファンが作成した膨大なプレイリストや、アルゴリズムに基づく独自のレコメンド機能を持つ。また、新進気鋭のアーティストが集まるライブイベント「Spotify Early Noise Night」も同名プレイリストと連動して定期的に開催している。