音楽ナタリー Power Push - SPECIAL OTHERS

ゲスト10人とがっぷり四つに組んだ10周年記念コラボ集

「loop」ゲストボーカル:GEN(04 Limited Sazabys)

中性的なボーカルを生かす南国アレンジ

──4曲目「loop」のコラボ相手は、04 Limited SazabysのGENさん。どこかフィッシュマンズにも似た、ゆったりたゆたう曲調で。普段のフォーリミのイメージとは180°違いました。

SPECIAL OTHERSとGEN(04 Limited Sazabys)。

宮原 彼らは名古屋で「YON FES」という野外イベントを主催していて。去年、スペアザも呼んでもらったんです。あと、実は彼らのマネージャーが僕たちの同級生でして(笑)。なんと、同じバンドにいたこともある。そんなにつながりがあるんだから、コラボ作品集に呼ばない手はないだろうと。

芹澤 フォーリミは演奏もカッコいいんだよね。GENくんの透き通るようなハイトーンボイスと、俺らの青春時代に流行ってた王道メロコアっぽいサウンドが不思議にマッチしていて。最初に聴いたとき、すごく新鮮だったんです。

──でも、この「loop」はフォーリミのサウンドとは対照的に、すごくゆったりした余白を感じさせる曲ですね。

宮原 GENくんの中性的なボーカルをなるべく生かしたくて、こういう南国感あふれる曲調になったんですけど……。

柳下 ギターのカッティングがドラムの裏に入ってるから、ちょっとレゲエっぽい感じもするけど、それだけでもないしね。裏打ちを入れたThe Beach Boysみたいな?

又吉 それ、いい表現だね(笑)。この曲は確か、キーの設定を何パターンか作って。一番歌いやすいトラックを選んでもらったんだよね。

宮原 そうそう。リズムも基本シャッフル系なんですけど、ところどころアフリカっぽいニュアンスを入れてみたり、レゲエっぽい要素もあったり。結果的にはカテゴライズするのが難しい、面白い曲になったと思います。

──ややリバーブがかかったギターの音色も、印象的でした。

柳下 あれも偶然の産物だったんです。パソコンでデモを録ってるときに、たまたまこの音色に切り替わって。「あ、これいいじゃん」と思って、そのまま生かしました。GENくんの声質ともマッチして、自分でも気に入ってます。

──GENさんが書いた「♪堂々巡りの ループは続く」というサビの詞がまた、ゆったりした演奏の雰囲気をよく捉えている印象ですね。

宮原 うん。スペアザの根っこにあるループ感みたいなものを、きっと受け取ってくれたんだと思います。

「かませ犬」ゲストボーカル:浜野謙太

ハマケンと僕たちにしかできないファンク

──最後はハマケンこと、在日ファンクの浜野謙太さんとコラボした「かませ犬」です。切れ味鋭いアフロファンク風の演奏と愛すべきヘナチョコ感とが渾然一体となった、9分近い大曲になってますね。ハマケンさんとの付き合いはもう長いんですか?

SPECIAL OTHERSと浜野謙太。

芹澤 SAKEROCK時代からですね。今回のコラボ相手の中でも、一番ぞんざいに扱っても気にならない友達、かな(笑)。ヘナチョコ感というのは、本当にその通りで。真面目な話、これはハマケンにしか出せない味だと思う。歌詞がまた深いんですよね。自虐と矜持がごちゃ混ぜになってて。

柳下 「♪最初はみんな かませ犬」「♪目の当たりにしろ その姿」。笑われてもバカにされても、俺は自分の信じた道を行くという気概ね。

宮原 あと、JB(ジェームス・ブラウン)とかフェラ・クティのエッセンスを吸収しつつ、ハマケンの作る曲って全然マッチョじゃないでしょ? 日本人ならではの情けない部分が自然と歌から滲んでくるのは、やっぱ才能だなと。

又吉 「ウッ!」とか言っても、全然JBっぽく聞こえないしね(笑)。

芹澤 そうそう。JBとかフェラの、カッコよさの裏にある面白さ。そこを言葉にしなくても共感できたヤツが、俺にとってはハマケンだったんです。

──エンディングで、シメのタイミングが合わず思わず「あ……」と言っちゃうところなんて、ちょっと往年の植木等さんのような(笑)。

SPECIAL OTHERS

一同 ははははは(笑)。

芹澤 植木等感、ありますよねえ。あれ、実はリアルに間違えてるんですよ。あの後半のパートはハマケンの即興だったんですけど、想像してたより僕らの演奏が長かったみたいで。自分ではバシッと決めたと思った瞬間、アウトロがまだ続いてたので、思わず「あ……」って言っちゃったらしいんです(笑)。それがあまりにも面白かったので、そのまま採用にしたという。

柳下 彼のキャラにもピッタリ合ってるしね。

──そういうおかしみはあるけど、演奏はとことんカッコいい。そのバランスもよかったです。演奏面で何か意識したことはありますか?

宮原 最初はもっとアフロファンク色の強い、それこそフェラ・クティみたいな泥臭いリズムを考えてたんです。でもやってるうちに、いろいろ雑多な要素が混じってきて。最終的にはアフロでもJB的な王道ファンクでもない、絶妙なバランスに収まったかなと。例えば、キックが表の拍に来てないのは(フェラ・クティのバンドのドラマーだった)トニー・アレンっぽい。そこはアフロファンクの流儀なんですけど、四つ打ちでバックビートにスネアを思い切り入れたりするのは実はJBのバンドに近いんですね。自分的にはそういう折衷感がすごく気に入っていて。ぜひ、そこも聴いてほしいなと。

柳下 僕はこの曲では、ホーンっぽい感覚をなんとかギターで再現できないかがんばってます(笑)。アタックの強い管楽器セクションって、やっぱりアフロファンクサウンドの要じゃないですか。スペアザには管楽器はいないけど、4人の演奏でもなんとか近いニュアンスが出せないかなと思って。

芹澤 鍵盤はファルフィッサというオルガンを使ってるんですが、これはアフロだけじゃなく、プログレッシブロック系の人にも人気があるんですよね。だから僕的にはちょっとプログレの要素も混じってたりします。

又吉 僕はむしろ演奏がバラけてしまわないよう、わりとファンクのマナーを忠実に守ってタイトに弾くことを意識しました。そういうのが諸々うまく混じりあって、スペアザ独自のテイストを作れたんじゃないかなと。

柳下 うん。単なるコピーじゃない演奏っていうか。本家の人は絶対やらないけど、逆に僕たちにしかできないファンクを作れた気がしますね。

いつかの主催フェスのために健康第一で

──10年間インスト一筋に打ち込んできたからこそ、歌モノでもこんなにオリジナリティある音を作れるようになった。そういう自負はあるのでは?

宮原 正直、ありますね。こんなこと自分で言うのはバカっぽいですけど(笑)。でも今の日本の音楽シーンにおいて、インストというジャンルを切り開いてきたのは完全にSPECIAL OTHERSだと思っているので(笑)。

芹澤 もちろんインストという音楽はそれ以前からあったわけだけど……それを取り巻く状況はこの10年でかなり変わったと思うんです。例えばロックバンドと一緒に夏フェスに出ても、最近はみんな違和感なく盛り上がってくれますし。純粋なダンスミュージックとしてのインストの認知度も、確実に広がっていると思う。その変化には多少なりとも貢献できたのかなと。

柳下 うん。そもそもスペアザってやってる音楽はインストだけど、できれば歌モノと同じように、“歌心”を感じながら聴いてもらいたいという思いも強いんですよ。その意味で今回の「SPECIAL OTHERS II」は、僕らのオリジナルアルバムや単独のライブと根っこのところで確実につながってるはずだし。普段あまりインストを聴かない人にとっては、ちょうどいい入り口にもなると思う。できればこれからも、そういう架け橋的な存在であり続けたい。

又吉 いつか、お世話になったバンドや好きなバンドを集めてスペアザ主催のフェスを開くという目標もありますしね。そのためにも健康第一で(笑)。次の10年もさらにがんばっていきたいと思います。

コラボ作品集「SPECIAL OTHERS II」2017年3月1日発売 / SPEEDSTAR RECORDS
「SPECIAL OTHERS II」
初回限定盤 [3CD] / 3888円 / VIZL-1114
通常盤 [CD] / 1944円 / VICL-64715
CD収録曲(共通仕様)
  1. ザッチュノーザ / SPECIAL OTHERS & 斉藤和義
  2. 始まりはQ(9)CUE / SPECIAL OTHERS & RIP SLYME
  3. マイルストーン / SPECIAL OTHERS & 山田将司(from THE BACK HORN), 菅原卓郎(from 9mm Parabellum Bullet)
  4. loop / SPECIAL OTHERS & GEN(from 04 Limited Sazabys)
  5. かませ犬 / SPECIAL OTHERS & 浜野謙太(from 在日ファンク)
初回限定盤付属CD「SPECIAL OTHERS BEST」収録曲

DISC 1

  1. BEN [Retake]
  2. Uncle John [Retake]
  3. IDOL
  4. AIMS
  5. Good morning
  6. Surdo
  7. STAR
  8. Laurentech
  9. Hankachi

DISC 2

  1. PB
  2. Stay
  3. Wait for The Sun
  4. beautiful world
  5. ROOT
  6. ORION
  7. neon
  8. Good Luck
  9. I'LL BE BACK
  10. LIGHT
SPECIAL OTHERS「10th Anniversary BEST盤TOUR QUTIMA Ver.22」
  • 2017年3月11日(土)神奈川県 Yokohama Bay Hall
  • 2017年3月12日(日)静岡県 LiveHouse 浜松 窓枠
  • 2017年3月17日(金)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2017年3月18日(土)長野県 NAGANO CLUB JUNK BOX
  • 2017年3月20日(月・祝)新潟県 新潟LOTS
  • 2017年3月25日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2017年3月26日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2017年4月1日(土)福岡県 DRUM LOGOS
  • 2017年4月2日(日)熊本県 熊本B.9 V1
  • 2017年4月8日(土)岩手県 Club Change WAVE
  • 2017年4月9日(日)宮城県 Rensa
  • 2017年4月13日(木)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2017年4月15日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2017年4月20日(木)群馬県 高崎club FLEEZ
  • 2017年4月22日(土)香川県 高松MONSTER
  • 2017年4月23日(日)高知県 CARAVAN SARY
  • 2017年4月28日(金)栃木県 HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-2
  • 2017年6月2日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2017年6月3日(土)大阪府 なんばHatch
  • 2017年6月9日(金)東京都 Zepp Tokyo
  • 2017年6月17日(土)沖縄県 桜坂セントラル
SPECIAL OTHERS(スペシャルアザース)
SPECIAL OTHERS

1995年、高校の同級生だった宮原“TOYIN”良太(Dr)、又吉“SEGUN”優也(B)、柳下“DAYO”武史(G)、芹澤“REMI”優真(Key)の4人で結成。2000年から本格的に活動を始め、2004年8月に1stミニアルバム「BEN」をリリース。2005年6月の2ndミニアルバム「UNCLE JOHN」発表後には「FUJI ROCK FESTIVAL '05」に出演し、大きな注目を集める。2006年6月にミニアルバム「IDOL」でメジャーデビューを果たす。2011年11月にさまざまなアーティストと共演したコラボ作品集「SPECIAL OTHERS」を発表し、2013年6月には初の東京・日本武道館公演を成功させた。2014年10月に、メンバー4人がアコースティック楽器で演奏する新プロジェクト「SPECIAL OTHERS ACOUSTIC」名義での“デビュー”アルバム「LIGHT」をリリース。2017年3月にデビュー10周年を飾るコラボアルバム第2弾「SPECIAL OTHERS II」を発表した。