大阪発5人組バンド・ソウルズが羽ばたく、夢半ばの人々へ捧げるメジャーシングル「feel」 (2/2)

FM COCOLOで培った音楽性

──ソウルズはこの5人がそろって、今すごくいい状態なんだなと皆さんの話を聞いていて思うのですが、コージローさんは音楽活動をするとなったとき、「バンドでやりたい」という気持ちは最初からありましたか?

コージロー 主観なんですけど、僕が音楽活動を始めた2013年頃って、いわゆるロックバンドか、あるいはシンガーかっていう線引きがはっきりしていて、ポップスとロックの間にすごく距離があったんです。でも、僕はどっちもやりたかったんですよ。シンガーでやることを、バンドでもやりたかった。もし僕がヒットチャートの音楽だけを聴いていたら、あくまでもシンガーであればいいと思ったかもしれないけど、僕は、例えばウルフルズを聴いて「トータス松本さんが好きやった音楽ってなんなんやろう?」と調べてサム・クックに出会ったり、ルーツを掘るような音楽の聴き方をしてきたんです。なので、自分の中ではロックとポップスの間にそこまで壁はなくて。険しい道のりかもしれないけど、シンガーとして歌と向き合いながら、同時にバンドとしてのアウトプットを持ったほうが、広がりは大きいんじゃないかと漠然と感じていたんですよね。

──なるほど。ルーツを掘ってきたからこそ、壁がなかった。それだけたくさんの音楽を聴いてこられたということですよね。

コージロー そもそも高校生の頃は野球部でしたし、学生時代にバンド活動の経験もなくて。ただ、学園祭で歌ったのを褒められて調子に乗って歌を始めたんですよね(笑)。一応、高校卒業後に音楽の専門学校に行って歌を学び始めたんですけど、楽器を触ったこともなければ曲を作ったこともない、バンド経験もないとなると、我流で、無我夢中で音楽を聴きまくるしかなくて。そうすることで、どんな音楽にもルーツはあるし、日本のポップスにもいろんなオマージュがちりばめられていることにも気付けた部分はあると思います。あと、僕は大阪に住んでいて、バイト中によくFM COCOLOというラジオ局の番組をよく聴いていたんです。FM802と運営会社は一緒なんですけど、COCOLOのほうが大人向けで、80'sなんかがよく流れていて。802で流れた音楽のルーツをCOCOLOで知る、みたいなことも多かった。そうやって音楽に触れることが日常的だったので、そこで培った感覚が曲作りにも反映されていると思います。

2021年9月に大阪・Music Club JANUSで行われた「ソウルズ ONE MAN LIVE 2021 ~RUN!~」の様子。

2021年9月に大阪・Music Club JANUSで行われた「ソウルズ ONE MAN LIVE 2021 ~RUN!~」の様子。

──なるほど。

コージロー 実際に音楽活動を始めてから、ロックバンドとシンガーで分かれてしまう理由もわかってきた部分はあったんですけどね。やっぱり、どうしても演奏面やアレンジ面で難しさはあるから。ただ、僕はテラと出会ったことによって、自分が理想とする音楽に向き合えるようになった。それに、例えば今は、ヒゲダン(Official髭男dism)のように歌ものでありながらR&Bのような要素もふんだんに入っているバンドが出てきたじゃないですか。

──そうですよね。

コージロー 彼らのような存在が世に出ていくのを見ていると、「自分と同じようなことを考えていた人たちは、全国にいっぱいいたのかな」と思いますね。

夜明けが来るまでがんばる人へ

──このたびリリースされる配信シングル「feel」は、ソウルズのメジャーデビュー曲となりますが、どういった思いで作られた曲ですか?

テラ サウンド面で言うと、今までのソウルズが培ってきたファンキーで勢いのあるサウンドを軸にしたいというところから始まったんですけど、メジャーデビューというタイミングだし、ちゃんと「進化しているぞ」ということも見せたかったんですよね。今までのアグレッシブさとは違うものを出したかった。

ちゃあ 曲を組み立てていく中で、僕ら自身がステップアップしないといけないということは話し合いましたよね。歌詞が背中を押すようなものだし、その言葉が乗るサウンドとして、このメンバーが力いっぱい弾けることができれば、聴いてくれた人にも刺さるものになるんじゃないかって。

カズマ テラさんがオケを作る段階でアレンジの余白があったので、各々が「自分はこうしたいねん」という部分を入れることができたし、同時に「ここから始まっていくし、もっとよくなっていくから、みんな見といてな」という気持ちが強い曲作りでしたね。

かおり この曲は、ポップな中にも力強さがあるし、パワーもあるけど、1歩踏み出す前の不安な気持ちも伝えられる曲だし。そういうことを、演奏面でもしっかり届けたいなという思いがありました。

2021年9月に大阪・Music Club JANUSで行われた「ソウルズ ONE MAN LIVE 2021 ~RUN!~」の様子。

2021年9月に大阪・Music Club JANUSで行われた「ソウルズ ONE MAN LIVE 2021 ~RUN!~」の様子。

──コージローさんは、歌詞に関してはいかがですか?

コージロー 僕らにとってメジャーデビューのタイミングなので、前から応援してくれた人たちに対して、「長い時間待たせてしまったけど、これからがんばるから」というメッセージも込めることができればいいなと思いました。ただ、自分の主観だけの曲にはしたくなくて。このコロナという状況下でも、目標に向かう人たちがたくさんいると思うんですよね。夜明けが来るまでがんばっている人たちが、世の中にはいる。そういう人たちの気持ちを肯定するような曲にしたいなと思いましたね。

──なるほど。

コージロー 夢を叶えるまでの途中の気持ちって、自分も感じてきたことなんです。同じように、音楽だけじゃなくても、目標に向かっている人がゴールにたどり着くまでに苦しい思いをしている人たちはたくさんいると思う。でも、夢を追う人の苦しさって、世間的にはなかなかわかってもらえないものでもあると思うんですよ。だからこそ自分は、「自分が本当にいるべきステージはここじゃなくて、もっと先にあるんだ」と思っている人たちの気持ちを解放したいなと思いました。サビで「羽ばたいて」と歌っているのは、そういう気持ちが込められています。

一瞬の花火で終わらないように

──ソウルズにとってはメジャーデビューという華々しいタイミングですけど、この曲で歌われているのはあくまでも夢に向かう「途中」の気持ちである。そこがとても素敵だなと思います。

コージロー 僕は、いろんなポップスの歌詞に勇気付けられてきましたけど、好きな曲に共通しているのは、ポジティブな曲であっても、“憂い”の部分にちゃんと触れていることなんです。なので、僕も“ホップ・ステップ・ジャンプ”の“ホップ・ステップ”の部分はちゃんと歌いたいなと思いました。

──コージローさんも、これまで、自分の目標や夢が周りに理解されない感覚はありましたか?

コージロー そうですね……僕はバイトとバンドの両立の時期が長かったんですけど、自転車屋でバイトしていて、めっちゃ怒られていたんですよ。「タイヤがパンクした!」って朝からおっちゃんに怒鳴られて……タイヤがパンクするのは僕のせいじゃないのに(笑)。そんな日々が当たり前やったんです。「feel」の歌詞で「街角のジーニアス」と歌っているんですけど、あのときの自分も今の自分も含めて、「今に見てろ」と思いながらがんばっている人たちを称えるために、この曲ではあえて「ジーニアス」という言葉を使ったんです。強がりとか意地とか、いろんな気持ちが入り混じっていますけど、“天才”という言葉を使うことで、背中を押すための曲として歌いたかったんですよね。

──ソウルズとして、この先どうなっていきたいですか?

テラ 武道館でライブしたいですね。よくバンドでミーティングするんですけど……というか、昨日も朝5時までみんなで飲んでたんですけど(笑)。大事じゃないミーティングが8割くらいで(笑)、でも2割くらいは大事な話もするんです。そういうときに、よくバンドの未来のことを考えるんです。そういうときには、「武道館でやりたい」っていう話をしたりしますね。

コージロー あと、武道館でライブができるくらいになるということは、長く愛されるバンドでもなければいけないと思うんです。僕はこれまでバンドを続けてきて、周りをハラハラさせてきたなっていう感覚もあるので。このメジャーデビューが一瞬の花火で終わらないようにがんばっていきたいですね。

2021年9月に大阪・Music Club JANUSで行われた「ソウルズ ONE MAN LIVE 2021 ~RUN!~」の様子。

2021年9月に大阪・Music Club JANUSで行われた「ソウルズ ONE MAN LIVE 2021 ~RUN!~」の様子。

プロフィール

ソウルズ

「愛とソウルを込めて」をモットーに2018年に結成された大阪発の5人組バンド。メンバーはコージロー(Vo)、テラ(G)、かおり(Key)、ちゃあ(B)、カズマ(Dr)。ストリートライブを中心に活動を続け、2018年に関西最大級の音楽コンテスト「eo Music Try」でグランプリを獲得した。さらに西川貴教(T.M.Revolution)主催の音楽フェス「イナズマロック フェス 2018」の出場オーディションも突破し、“風神ステージ”のトップバッターを担当。2021年11月に「feel」でUNIVERSAL SIGMAよりメジャーデビュー。