SOLEIL|カラフルな60'sサウンドに彩られた“14歳”の世界

それいゆ(Vo)

モータウンと言うより
白人のロックンロール

──それいゆさんとしてはアルバムの出来はいかがですか?

それいゆ 毎朝聴いてます。髪の毛とか、いろいろ準備するのが大体30分くらいで、アルバムも30分くらいだからちょうどいい(笑)。

久保田 12曲も作ったのに収録時間が37分くらいしかないんですよね。

それいゆ アルバムかけて、準備始めて、準備が終わる前にアルバムが終わっちゃったら「ヤバい!」ってなります。

中森 後半とか焦るんじゃない?

それいゆ 10曲目の「夏のウインク」から焦り始めます。

──アップテンポですしね。それいゆさんのお気に入りの曲はどれですか?

それいゆ 1曲目の「魔法を信じる?」です。2番目とか3番目はコロコロ変わるんですけど、一番好きなのはずっと「魔法を信じる?」で。

──久保田さん作詞作曲のナンバーが見事一番に。

久保田 ありがとうございます。今度は2曲くらい作りたい(笑)。

それいゆ(Vo)
それいゆ(Vo)

──「魔法を信じる?」が1曲目ということはやはり自信曲なんですよね。

久保田 いや、曲順は何度も変わったんですよ。白根賢一くんの「夢見るフルーツ」とか「恋するギター」とか。コンセプト的と言うよりもヒット曲を集めたようなアルバムだけど、でもThe Beatlesで考えたら1曲目はヒット曲がいいのかなとか考えたりしていて。

──いろいろ考えた結果、「魔法を信じる?」で始まるのがしっくりきた。

久保田 はい。これが1曲目だったら、あとの並びが楽かなと。一応A面B面で考えていて、実は「MARINE I LOVE YOU」も前のほうに置きたかったんですけど、B面の1曲目ということで。あと、アーリーロックンロールみたいな作風のアルバムではあるんですけど、スカは絶対やろうと思っていて。それいゆちゃんのお父さんのこともあるし。それで「さよなら14歳」をスカっぽくして。この曲は前半に入れたかったんですけど、歌詞がそれいゆちゃんの今後の成長につながる感じだったので終盤になりました。

中森 僕が歌詞を書こうと思ってたんだけど、どうせだったら最近よく一緒にライブをやっているかせきさいだぁに頼もうかな、と。

久保田 歌詞がカッコイイんだよね。

それいゆ 「♪すぐ会えます 大人じみたわたしに!」。

久保田 そうそう。この曲で終わったらカッコいいかなって。歌詞は曲順に影響してますね。

──お父さんの話が出ましたけど、ジャケットのアートワークでお父さんのドラムを使ってるんですよね。

それいゆ はい、お父さんが叩いてたドラムセットを使ってます。ずっと誰かに預かってもらってたみたいで。

久保田 お母さんがスカバンドの知り合いに預けっぱなしにしてたんですよ。「ヤフオクかなんかで売っちゃっていいよ」って言ってたらしいんですけど(笑)。

それいゆ でもまだ売ってなかったから、じゃあ使おうってなって。たぶん売るのがめんどくさかったんだと思う(笑)。

久保田 親切心だけで預かってもらってて。キーパーソンひどいですよね(笑)。僕が引き取りに行って、帰り際に「Pinky Fluffy」の7inchシングルをあげたらすごい喜んでもらえました。

──スカナンバーが入ると「Pinky Fluffy」のときの甘いイメージが少し変わりますよね。幅が大きく広がった感じがしました。

久保田 そうですよね。だんだん思い出してきたんですけど、最初はSOLEILを“ジュニア版スクーターズ”みたいにしようかなと思っていたんです。日本語の歌詞だけど洋楽っぽく見せる的な。だけど、それいゆちゃんはモータウンと言うより白人のロックンロールかなっていう印象だったので、白人のフィルターを通した、いろいろなビートをやろうと。結局はマージービート的な考え方になっちゃうんですけどね。

現在生活している中で一番楽しいのがこれなんです

──それいゆさんが歌ううえで苦戦した曲などはありますか?

それいゆ(Vo)

それいゆ 歌い方が難しかったのは「青いインクのラブレター」。最初に悲しい感じで歌ったら、悲しすぎる感じになっちゃって。録り直したときに少し元気に歌ったんですけど、どのくらいのテンションがいいのかわからなくて何回も歌いました。

中森 最初に録ったときは泣いてるんじゃないかくらいだったので。それはそれでよかったんですけどね。歌を何度も録り直したのはそれくらいですかね。

それいゆ 「夏のウインク」も録り直した。今度は元気すぎちゃって。

久保田 「魔法を信じる?」「ごめんね、テディベア」「夢見るフルーツ」「さよなら14歳」あたりの曲は、それいゆちゃんの歌声に、ノリノリで元気と言うよりもちょっと色気があるんですよ。色気という言い方もあれですけど、「Pinky Fluffy」のときに感じなかったものが出てきていてグッときました。別になんのディレクションもしてないんですけどね。

中森 だから次のアルバムを録ったらまた違ってくるんだろうなと思います。

──中森さんの印象に残っている曲はどの曲でしょう?

中森 近田さんの曲(「姫林檎 GO GO!」)です。レコーディングにご本人がいらして。もともと憧れの方なので曲を書いてもらっただけで興奮してたんですけど、ディレクションまでしてもらって大興奮でした。

──オファーした段階では「書いてもらえたらいいな」くらいの感じだったのでしょうか。

中森 そうですね。ビクターのスタッフがジューシィ・フルーツを担当しているということもあって、もしかして頼んだらやっていただけるんじゃないかと。

──ジューシィ・フルーツは最近34年ぶりのアルバムを出したんですよね。

久保田 しかも近田さんが新曲を提供したのを知って、これはひょっとして……と。

中森 僕はハルヲフォンの「シンデレラ」という曲が大好きで、そんな話をしていたら、その曲に対するアンサーソングのようなものを書いていただけて。感無量ですね。

それいゆ 近田さんのデモは声だけだったんです。歌だけじゃなくて、ギターとかベースとかの感じも「でんでんでんでん」みたいに口で言っていて。

久保田 初めて聴いた鼻歌だけのデモテープでした。鼻歌の間にベースラインも歌っていたんですよ。

それいゆ どこまでが歌かわからなくて(笑)。

──それはすさまじいですね!

久保田 これはロックンロールだと気付いたんですよ。ハルヲフォンだと。だからアレンジはハルヲフォンの「シンデレラ」とクールスがカバーしたバージョンを聴きながら仕上げて、こんな感じになりましたってデモ音源を近田さんに聴いてもらったら、録りのときにいらして。

それいゆ スタジオに入って、ピアノを弾きながら「ここはこう!」って。

──ガンガンに弾くけど、デモは鼻歌だった。

久保田 「デモなんてこれでいいんだよ」って言ってましたもんね(笑)。その場で「イントロは『Bad Boy』で」って言ったり。

中森 イントロはフレーズ指定ですよ。なので間奏はラリー・ウィリアムズつながりのものにしました。

それいゆ(Vo)

──久保田さんの印象に残っている曲も聞かせてください。

久保田 やっぱり近田さんの曲がよかったです。お願いするのが遅かったので、できたのが最後の最後だったんですけど、きれいに整った曲たちの中にこういうスリーコードっぽい曲が入ったのはバランスが取れたかなって思います。ギターがよかったですよね。「Bad Boy」や「Dizzy Miss Lizzy」風のフレーズがアルバムの中でも効いてると思う。「せーの」の一発録りだったのでグルーヴもありますし。

──結成からアルバム完成まで1年足らずでしたが、やりたいことはひと通りやってしまったんじゃないでしょうか?

久保田 「こういうのは絶対にやりたい」って考えてたネタはかなり出した感じはありますね。でも、足りなかったタイプの曲もあると思っていて。だからまたすぐ作りたいと思っているんですよ。それいゆちゃんの年齢が今くらいのうちに……とか言って(笑)。

──中学3年生になったら忙しいですしね。

久保田 そう。高校受験もあるから、お母さんから「今年は秋ぐらいまで」って言われてるんですよ(笑)。だからそれまで突っ走ろうかなと。

──それいゆさんのモチベーション的にはどうなんですか?

それいゆ 現在生活している中で一番楽しいのがこれなんですよ。

──素晴らしい!

中森 それはよかった。

久保田 最初の頃はそうでもなかったよね(笑)。

それいゆ サリーさんと中森さんが面白いって気付いてからだんだん楽しくなりました(笑)。だからこれからもいろいろやりたいです。

SOLEIL「My Name is SOLEIL」
2018年3月21日発売 / Victor Entertainment
SOLEIL「My Name is SOLEIL」

[CD] 2500円
VICL-64973

Amazon.co.jp

収録曲
  1. 魔法を信じる?
    [作詞・作曲:サリー久保田]
  2. 恋するギター
    [作詞・作曲:真島昌利]
  3. 青いインクのラブレター
    [作詞:飯泉裕子 / 作曲:新井俊也]
  4. ごめんね、テディベア
    [作詞:飯泉裕子 / 作曲:岡田ユミ]
  5. 姫林檎 GO GO!
    [作詞・作曲:近田春夫]
  6. 夢見るフルーツ
    [作詞:イリア / 作曲:白根賢一 & Nicky Bambino]
  1. MARINE I LOVE YOU
    [作詞:飯泉裕子 / 作曲:佐藤清喜]
  2. キャンディの欠片
    [作詞・作曲:陽当モナカ]
  3. Are you happy?
    [作詞・作曲:カジヒデキ]
  4. 夏のウインク
    [作詞:サリー久保田 / 作曲:高浪慶太郎]
  5. さよなら14歳
    [作詞:かせきさいだぁ / 作曲:中森泰弘]
  6. ソレイユのテーマ
    [作曲:中森泰弘]
SOLEIL
SOLEIL(ソレイユ)
女子中学生ユニット・たんきゅんデモクラシーのメンバーとして活動していたそれいゆが、サリー久保田(B / ex.ザ・ファントムギフト、les 5-4-3-2-1)、中森泰弘(G / ヒックスヴィル、ましまろ)と共に2017年に結成したスリーピースバンド。2017年9月にシングル「Pinky Fluffy」を発表し、60'sテイストのバンドサウンドで注目を集める。2018年3月21日には、真島昌利(ザ・クロマニヨンズ、ましまろ)、カジヒデキ、かせきさいだぁ、イリア(ジューシィ・フルーツ)、近田春夫、高浪慶太郎、佐藤清喜(マイクロスター)ら豪華作家陣が参加した1stアルバム「My Name is SOLEIL」をリリースする。

ライブ情報

Zher the ZOO YOYOGI 13th Anniversary "My Name is SOLEIL release party!" SOLEIL -oneman-
  • 2018年3月25日(日)
    東京都 Zher the ZOO YOYOGI
SOLEILデビューアルバム「My Name is SOLEIL」発売記念インストアイベント
  • 2018年3月24日(土)
    東京都 タワーレコード新宿店
  • 2018年3月26日(月)
    東京都 タワーレコード渋谷店