ナタリー PowerPush - 中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014
佐藤タイジ×SUGIZO “陽”と“陰”の表現者が語るエネルギー問題の未来
数々のセッションで鍛えられてきた
SUGIZO 即興でいうと、僕が最も鍛えられたのは近藤等則さんだね。
佐藤 そうなんだ? 俺、近藤さんって全然面識なくて。カッコいいよね。
SUGIZO 絶対気が合うと思うよ。僕がとても敬愛している人。70年代に単身ニューヨークに乗り込んで最初に世界的な活動をした日本人のトップミュージシャンの1人。ものすごく頭いい人だから。余裕で学校トップの成績で、あんな不良な人がいきなり京都大学だから。
佐藤 おいおい、国立かよ。すげえなあ。
SUGIZO だから一緒にいると自分が本当に小学生みたいなレベルに感じちゃって。
佐藤 近藤さん、平和をアピールするプロジェクトやってたよね。
SUGIZO そう。ピカドンというプロジェクトで僕も参加してました。画家の黒田征太郎さんがライブペインティングして、近藤さんが即興音楽を奏でて、そこに実は僕もいて演奏して。2005年くらいかな。近藤さんと2年間ぐらいずっと行動を共にして、さんざんレコーディングやライブやって鍛えられた。そのレコーディングの仲間の中には実はアナーキーの(仲野)茂さんがいたり。
佐藤 ハハハ!(笑) ほんと? たぶんロック業界で一番オモロい兄さん。
SUGIZO 実は茂さんにはLUNA SEAがデビュー当時からかわいがってもらってたんですよ。
佐藤 へえーっ。近藤さんの現場で、茂さんとSUGIZOくんがいるわけ? 何それ?
SUGIZO 曲を一緒に書き、レコーディングをし、ライブをやって。面白いでしょ? もうひとつ面白いのが、そのあと茂さんが連れて来た面白いシンガーが当時、犬式をやっていた三宅洋平くん。だから洋平くんとも近藤さんを介して音楽をやってるんですよ。たぶんタイジくんのやってる音楽の世界ともすごく近いところに実はいたんだよね。
佐藤 SUGIZOくんは奥座敷が深い(笑)。入り口はLUNA SEAだけど、奥に入っていったら変な部屋がいっぱいあって。
SUGIZO 僕は高校の頃はロックミュージシャンよりジャズミュージシャンになりたかった。16歳の頃はマイルス(・デイヴィス)とジャコ(・パストリアス)が超好きだったの。黒人の音楽をとことん学んでジャズをやりたかったんだけど、なぜかロックバンドになってしまって、気がついたらLUNA SEAだったっていう。
佐藤 よかったじゃん、売れて。
SUGIZO たまたまね。でも、中学のときはデヴィッド・ボウイやJapanが超好きで。
佐藤 それはわかる。
SUGIZO デカダンなものを持ってたからこうなったわけで、別にヴィジュアル系ってものを作るつもりはなく、自分の中でのボウイやJapanのような視覚的表現を90年代の日本に置き換えたかったんだよね。だけどシーンを創世したみたいに思われて、ヴィジュアル系だっていう色眼鏡で見られるようになって。だからなおさら僕がやることは音楽を追求するしかなかったわけ。
Juno Reactorのツアーで訪れたチェルノブイリ
佐藤 さっきもちょっと話題に出たけど、Juno Reactorのツアーで世界中を回ってきた話は最高だよね。それはSUGIZOくん、ホントよくやったよって思う。Juno Reactorはレイヴカルチャーのシーンでは巨大だし、映画「マトリックス」の音楽担当までしてる人たちじゃない? それをSUGIZOくんが大変な苦労をして支えてきたっていう。
SUGIZO 中心人物のべン(・ワトキンス)が、気まぐれで頭ぶっ飛んだお人でね(笑)。音楽的には天才なんですよ。だけど物事を統率する能力が欠落しているから、誰かが取りまとめなきゃいけない(笑)。
佐藤 それを全部まとめたんでしょ?
SUGIZO まあ、できることはやってきたよ。実はX JAPANでもそうなってきてるんだけど(笑)、どこでもそういう役になるんだな、僕。言うなれば、みんな極端なB型なんですよ。僕はO型だから。
佐藤 なんとなくまとめ役になっちゃうみたいな。わかるよ、俺もO型だから(笑)。そこもなんかシンパシーを感じるんだよね。
SUGIZO だってさ、べンは本人もギター弾くんだけど本当に天然で。自分で書いた曲のライブ中に僕のところに寄って来て「SUGIZO、この曲のキーは何だ?」って(笑)。
佐藤 すごいよね。他にもいっぱいオモロい話聞かせてもらったもんね。SUGIZOくんそれはものすごい鍛えられたなって。
SUGIZO デビューして10年以上経ってから武者修行してきたみたいな感じですよ。
佐藤 でも、うらやましいけどね。世界中を回って。
SUGIZO 各国のいろんな文化を吸収できたことはよかったですね。ウクライナでも何度か演ったんだけど、最初に訪れたときにチェルノブイリに行ったことは大きな経験だった。2008年かな。
佐藤 けっこう最近だね。チェルノブイリ行ったんだ?
SUGIZO プリピャチ(チェルノブイリから4km、ウクライナ北部)って有名な町があるんだけど、20年以上ほぼ人が入ってない完全なゴーストタウン状態。その朽ち果てている感じを目の当たりにしてゾッとしたんだよね。放射能レベルも高いし。それと同じ感覚がこの前行ってきた福島の南相馬でもあったよ。
今の政治家に真のリーダーはいない
佐藤 今日本にはやんなきゃいけないことが目の前にたくさんあるわけじゃん? 食べ物の線量表示であるとか、放射性廃棄物の最終処理のこととかさ。なのに、なんで政治家が戦争の仕方の話をしているのかと……。あなた本当にリーダーだと言えるのかって。
SUGIZO 今一番やるべきことはなんなのか。一番必要なことはなんなのかということをわかっていないように感じてしまう。あれは欲なのか、もしくはそうせざるをえない何かしがらみがあるのかわからないけど、結局どこかで戦争を起こして軍事産業を潤わせたいという本音が見え見えじゃない?
佐藤 見え見えだよ。それでしかも経済がよくなるって論理なわけでしょ。そんなの完全に崩壊してる理論なんだよね。
SUGIZO それこそ太陽光含め新しいエネルギーのあり方に特化してお金を使えば、必ずそこには雇用が生まれるし経済を回せていける可能性に満ちているじゃないですか。まだ発展途上な技術だけど、伸びしろがすごくある。古い年代の考え方にしがみつくのではなく、新しい考えを開発する方向にリーダーがシフトしてくれれば、世の中はついてくるはずだよね。
佐藤 それがリーダーの責任だと思うんだけど、何をやってるんだって思うよね。
SUGIZO 今政治家の中に真のリーダーがいないんじゃない? 今の政治家の多くが2世、3世で、小さい頃からそういう環境にあったからそのまま政治家になった人が多いと思うんですよ。
佐藤 リーダーとしてやんなきゃいけないことを修練してきてないんだよね。SUGIZOくんとかカオスな現場で、やらざるを得なくまとめてきたわけじゃん? でも、その資質って目の前にやんなきゃいけないことがあって、周りがやんねえからしょうがねえからやるって資質なわけじゃん。
SUGIZO そうそう。よくわかってる。さすがO型(笑)。
佐藤 そういう資質の人間が、ああいう政治のリーダーを見ているとバッカじゃねえかって心から思うよね。
SUGIZO 心から思う。低能だよねえ。
佐藤 ハハハ、低能って言ってる(笑)。
SUGIZO 申し訳ないんだけど、僕は別に東京オリンピックに反対なわけじゃないんです。もちろん状況が整っていれば素晴らしいことなんだけど、やっぱり世界に対して福島の状況をアンダーコントロールと言ってしまう日本のリーダーには賛同できかねますよね。
佐藤 できかねるよね。
SUGIZO 福島に行ってみなさいよ。あれが本当に問題ないものなのか。どちらかといえば臭いものにフタをしようとしてるようにしか見えないわけです。
佐藤 しかもフタもできてない。
SUGIZO 垂れ流しだし、廃墟のままなわけですよ。瓦礫にしても、近隣諸国にも迷惑をすごくかけているわけで。
佐藤 太平洋にも流れてるでしょ。
SUGIZO 流れてる。カリフォルニアやハワイにも日本の瓦礫が相当行き着いてるわけで。
佐藤 だからきっと魚とかの食べ物の絶対線量を表示するっていうマナーを日本人が先に提示しないと、本当に危険だと思うよね。
SUGIZO 国民からの行為やクレームによって仕方なく動くんじゃなく、ちゃんと政府が先導してやってくれないと。
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- 中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2014
- 2013年9月27日(土)、28日(日)
岐阜県 中津川公園内特設ステージ
OPEN 10:00 / START 11:00
- 9月27日(土)出演者
- Dragon Ash / Char / Dachambo / SOLAR JAZZ SESSION / TAKA(Feeder, Muddy Apes) / 堂珍嘉邦 / DJダイノジ / FLiP / FLYING KIDS / GOMA & The Jungle Rhythm Section / the HIATUS / インディーズ電力 / THE MAN / 仲井戸“CHABO”麗市 / RIZE / さかいゆう / SOIL & "PIMP" SESSIONS / 10-FEET
- <~Village Of Illusion~出演者>
- LIVE:うじきつよし / 岡野弘幹 / 高野哲(ZIGZO) / marron+Izpon+eiji / 柳川タカシ+堀嵜ヒロキ / 渡辺大知(黒猫チェルシー)
DJ:Kaoru Inoue / 社長(SOIL & "PIMP" SESSIONS) / 冷牟田竜之(THE MAN) / DJ 吉沢dynamite.jp / Dj LYN
DANCE SHOW:sdl caravan / KANAKO / 紫式舞
- 9月28日(日)出演者
- 東京スカパラダイスオーケストラ / UA / シアターブルック / ACIDMAN / a flood of circle / bird / Caravan / THE COLLECTORS / THE King ALL STARS(加山雄三、佐藤タイジ、名越由貴夫、ウエノコウジ、武藤昭平、高野勲、山本健太、タブゾンビ、古市コータロー) / 真心ブラザーズ / 蜜 / MY LIFE IS MY MESSAGE [矢井田瞳、おおはた雄一、山口洋(HEATWAVE)、仲井戸“CHABO”麗市] / NAMBA69 / SCOOBIE DO / SUGIZO / TRICERATOPS
- チケット インフォメーション
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- 通し入場券 13690円
- 27日入場券 8500円
- 28日入場券 8500円
- プレミアムキャンプ付き 通し入場券 18690円
- キャンプ付き 通し入場券(場内駐車なし) 15690円
- 駐車場付き 通し入場券 17690円
- 駐車場付き 27日入場券 11000円
- 駐車場付き 28日入場券 11000円
佐藤タイジ(サトウタイジ)
シアターブルックのフロントマンにして、作曲家、プロデューサー、俳優など数多くの肩書きを持つアーティスト。1967年に徳島県で生まれ、14歳のときにギターを購入したことをきっかけに音楽の世界にのめり込む。1986年にシアターブルックを結成し、1988年にアナログ盤「Theatre Brook」をリリース。以降、日本随一のファンクバンドの顔として活躍する一方、MCUや清春、tobaccojuiceなどさまざまなアーティストのプロデュースを手がけその手腕を発揮している。2008年5月にはキャリア初となるソロアルバム「The Divorced Rockstar」をリリースした。東日本大震災後、太陽光発電による電力で運営するライブイベント「THE SOLAR BUDOKAN」を企画。2012年12月に東京・日本武道館、2013年9月に岐阜・中津川市で開催して大成功を収めた。また、うつみようこ、高野哲(ZIGZO)とともにインディーズ電力として活動するほか、加山雄三率いるTHE King ALL STARSの一員としても活躍している。
SUGIZO(スギゾー)
1992年、ロックバンドLUNA SEAのコンポーザー、ギタリスト、バイオリニストとしてデビュー。現在X JAPAN、Juno Reactorのメンバーとしても世界規模で活動している。ダンスミュージックをベースにおいたソロワークをメインに発表しながら、映画音楽やコンテンポラリーダンスを手掛け、近年では「眠狂四郎無頼控」「7DOORS~青ひげ公の城~」「フランケンシュタイン」、「海峡の光」など舞台音楽作曲家としての活動にも力を入れている。音楽と並行しながら平和活動、環境活動にも積極的に参加。アクティビストとしてもよく知られている。目下、結成25周年となるLUNA SEAの14年ぶりの全国ホールツアーを敢行中。また10月にはX JAPANでのニューヨーク・マジソンスクエアガーデン公演が控えている。