ナタリー PowerPush - ミルクラッパーShibori featuring. Sister Mo'
ミルクラップ完結!超大作「メゥク」に込めた思い
牛舎ライブは“現場”の空気感、「スメゥ」が重要
──今回、牛舎ライブの模様がビデオクリップで明かされましたね。
Shibori 最初はライブの映像を入れるかどうか、かなり迷った。牛舎ライブは基本的に“現場”の空気感、「スメゥ」が重要だからね。でも極端な現場主義は排他的になってしまう危険性もあるから、見せ方に関しては監督と何度もミーティングしながら慎重に決めた。
──フェスさながらのステージには感動しました。
Shibori まあ今回は集大成だから、何もかも妥協はしたくなかった。トラックやリリックはもちろん、ビデオクリップの見せ方、ファッション、牛たちの表情……、全部こだわり抜いた。そもそも「メゥク」は曲を作っているときから、「酪農」「デリバリー」と、どんどん上がってきたハードルを意識しながらの作業だったし、PVでもそれは同様だったね。精神的には、1カ月で20キロくらいは痩せた感じ。
──先程までは大雨でしたが、PV撮影が始まった途端に晴れ間がのぞきました。
Sister MO' 実は私もこの天気はすごく不安だったんですけどね。いざ撮影になったらみるみると雲がなくなっていって。シボくんと一緒にいると驚かされることばかりです。
Shibori それは俺の活動が地球から祝福されているからじゃない?(笑)
牛乳が苦手なやつに俺の何がわかる
Shibori ところでさっきの牛乳、なんで飲まないの?
──実は腸が弱くて牛乳が苦手なんですよ。
Shibori またかよ……。あんたらの編集部、どうなってんだ!? 前回取材に来た奴もそんなこと言ってやがったよな! あん時は初めてだったし、こっちも優しくしてやったけどさ。そもそも牛乳が苦手なやつに俺の、いやミルクミュージックの何がわかるっていうの?
──リリックやサウンドからShiboriさんのメッセージを読み解こ……。
Shibori しゃらくせえことばっか言ってんじゃ……。
Sister MO' (インタビュアーに襲いかかろうとするShiboriを制して)シボくん、やめなよ!
──すっ、すいません。
Shibori (インタビュアーの牛乳を一気に飲み干して)……いや、俺も怒鳴ったりして悪かった。だけど、ミルクミュージックはただの音楽じゃないということをわかってほしい。もちろん、リリックやトラックも重要だけど、そこに牛乳がなければ意味がないんだ。ラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフィティ、このどれかが欠けたらヒップホップは成立しない。それと同じ。多分ね。多分ではあるけどもね。
Sister MO' これは大事なことなの。あなた、カフェオレは飲める?
──はい。
Shibori じゃあそこから始めましょうよ。牛乳に何かを混ぜて飲むことを、俺らは「スクリュー」と呼んでる。それで少しずつ牛乳の分量を増やしていくと、いつの間にか牛乳だけを飲めるようになる。牛乳が苦手な奴にはおすすめっすよ。
Sister MO' キウイやイチゴを使った「スクリュー」もヤバいから、今度試してみたらどうかな。きっとハマるよ! もちろん混ぜ物なしが一番だけど(笑)。
牛乳でカンパイしよう
──本作でミルクラップは完結するわけですが、Shiboriさんはご自身が日本のヒップホップシーンにどのような爪あとを残したと考えていますか?
Shibori ミルクラップを掲げて俺がヒップホップシーンに登場したことで、日本語ラップがより混沌としてしまったことは間違いない。そのことに対する責任は感じています。でも、ヒップホップというのはそもそも自由なものっすよね? それをShiboriという存在で証明できたと思っています。というか、奇しくも証明してしまった。だから、俺の活動に影響を受けた第2、第3のミルクラッパーが出てきて、ヒップホップを変えていってほしいと思ってますよ。
Sister MO' シボくんに憧れてミルクラップを始めた若い子たちが、今「ミルクアカデミー」っていうクルーを作っているの。彼らはまだまだ荒削りだけど、牛乳への思いは本物。そういう子たちが牛乳の未来を作っていくと思う。
──最後にナタリー読者へメッセージを。
Sister MO' 牛乳にはまだまだ知られていない素晴らしさがあるんです。私たちはミルクミュージックでそれを伝えていきたいです。私はたまにショッピングモールでもライブをしているんで、見かけたら気軽に声かけてください。牛乳でカンパイしましょう!
Shibori 「酪農」から「メゥク」までナタリーさんにはずっとサポートしてもらって、本当にありがたく思っているよ。3部作は今回で完結するけど、スーパーやコンビニで牛乳を見かけたら俺のメッセージを思い出してもらいたい。「牛乳は素晴らしい」ってね。今まで本当にありがとう。Shiboriがいなくなってもメゥクはいつだって君のそばにある、それを忘れないで……。PEACE。
──どうもありがとうございました。
Shibori おっと、大事なことを忘れるところだった。最後に、俺がこれまでの全3曲を出そうと決めたきっかけであり、全国の酪農仲間たちが実施している牛乳の消費拡大運動「MILK JAPAN」も応援してくれよ。
ミルクチャポンとは
「牛乳が日本を元気にする。」を合言葉に2010年に結成されたチーム、MILK JAPAN。そんなMILK JAPANが放送している、ミルクラッパーShiboriを生んだ奇跡のテレビ番組が、ミルク チャポンです。ミルク チャポンは、牛乳による、牛乳だけの、まったく新しい早朝子ども番組。アート、音楽、ドキュメンタリーなどさまざまなミルクエンタテインメントを、毎回いくつものショートコンテンツでお届けしています!
ミルク チャポン 番組情報
- TBS 毎週金曜あさ4:35~4:45(関東地区)
- BS-TBS 毎週日曜あさ9:50~10:00
Shibori(しぼり)
ミルクと牛に関することしかラップしない「ミルクラッパー」。世界中のヒップホッパーに絶大な影響力を誇る伝説的存在。ニューヨーク州サウスブロンクス出身。小学生のころに牛乳と出会い、以降、牛と酪農へのリスペクトの思いを強くする。その後、日本各地の牧場を巡って酪農事情の最先端を視察、「俺という存在の全てを賭けて牛乳を表現したい」との言葉を残し、ミルクラッパーへの道を志す。主な活動の場を牧場に限定しゲリラ的に自身のラップを発信してきたが、2010年“牛乳が日本を元気にする。”「MILK JAPAN」運動のことを知り、電撃的参加を表明。同年10月のシングル「酪農」で業界を騒然とさせた。2011年6月に発表された「デリバリー」では、牧場と消費者をつなぐ“物流”をテーマした鋭いラップを披露。そして2012年7月にミルク3部作の完結編となる「メゥク」をリリースした。
2012年7月27日更新