ナタリー PowerPush - 赤飯
甘さと辛さの新食感!アルバム「赤BAN」の真実
「自分の声がわからない」のがずっとコンプレックスだった
──今回の制作で、声に関して意識したことや改めて感じたことはありましたか?
前は「この曲だからこういう声にしよう」みたいな感じだったんですけど、それだと自分が一体どこにいるのかわからなくなることがけっこうあって。それは「自分の声がどれかわからない」って状態なんですが、今までずっとそれがコンプレックスだったんです。曲によって声が変えられるというより、ただ自分の声がわからないだけなんじゃないかって。
──なるほど。
でも最近は「そうそう、これが俺の声」っていうのが見えてきてて。だから歌っててすごく楽しいです。もちろんニュアンスや声色はそれぞれなんですけど、なんだろう……歌の芯は同じになってきてるというか。
──歌の軸ができてきたってことですね。
そうですね。そうなったきっかけは、伸び悩んでた自分に対してスズムとかスタッフさんとかアドバイスをくれる人がちゃんと見つかったってことが大きいです。めちゃめちゃがんばって、がむしゃらにトライするんですけど、そのワーッて走ってる中でいまいちゴールへの道を俯瞰で見れないときがあって。だから今は「こっちに行ったほうがよくない?」っていう道標を作ってくれる人ができたって感じですね。
──今回のジャケットとブックレットのアートワークに関してこだわりは?
toiさんというイラストレーターの方にお願いしたんですが、本当に雰囲気のある絵を描かれるんですよ! アルバムの「二面性」というコンセプトを伝えたとき、まずその場でササッとラフ画を描いてくれたのが、そのままGOになって。僕、今回のジャケすごく気に入ってます! 自分のアイデアや頭の中のイメージをきちんと反映してもらえて。しかも独特な雰囲気あるものになって……。素直にうれしかったですね。
ライブをするのは自分の居場所を作りたいから
──今作を引っさげ、9月29日にはワンマンライブを開催。東京・Zepp DiverCity TOKYOという過去最大キャパへの挑戦ですね。
めちゃめちゃ気合い入ってます。ライブタイトルの「Get or Lose the plot」は、「Lose the Plot」に「困惑する、誤解される」とかネガティブな意味合いがあるんですけど、そうはさせないという反抗や意思を込めて「Get」という対極の言葉を添えました。背水の陣で臨みます。
──現状、どんなライブにしたいか構想はありますか?
とりあえずシンプルなものになるのは間違いないですね。ステージも凝った演出で作り込むものじゃなく、音楽だけでストレートに展開していくイメージです。
──ライブって、赤飯さんにとってどんな場所ですか?
まさに自分の居場所だと思ってます。なぜ歌うか、なぜライブをするか、それは全部自分の居場所を作りたいからですね。やっぱりお客さんがすごくいい笑顔で思いっきり楽しそうにしてくれてるのを見ると「俺、生きてていいんだ」って思えるし、それが一番の生き甲斐というか。僕の好きな大槻ケンヂさんの名言で「コンプレックスをステージに上げるとロックになる」というのがあって、それがすごく実感できます。
──だからいつも全身全霊で臨むと。
はい。ステージの上では目の前のお客さんとのやりとりがすべてで、そこで生み出されるエネルギーをお互いにガソリンにしてるんだと思います。
雑貨屋さんめぐりが大好き
──今回のアルバムをひとつの「区切り」に、今後はどんな活動をしていくのでしょう?
僕の希望としては、さっきも言ったように自分の居場所であるライブ活動を中心に据えていきたい。あとは単純にアルバムがひと段落して、やっと羽を広げて自由に録音ができるようにもなるので、どんどん歌っていきたいです。とにかく気持ちの赴くままに歌いたいです。
──おお、そんなすごく純粋な目で。期待しています! ところで最後に伺いたいんですが、普段の赤飯さんはどんなものに興味があったり、心ときめいているんですか? 創作物からは見えてこない、素の一面も知りたいです。
それこそ昔は触手がめちゃめちゃ多岐にわたって伸びていました。音楽、映画、アイドル、いろんなことに興味があって。ヘビーな曲で暴れてるイメージが強いと思いますが、雑貨屋さんめぐりが大好きです。
──えー! 意外ですね。
いえあ。部屋の内装もけっこうこだわっていて、正直ステージでやってることのイメージとは程遠いものになってます。靴も基本的に雑貨屋さんで買っていて、足が小さいので、レディースとか普通に履けます。選択肢が広くてうれしいです。いえあ。
──今日の私服もかわいいし、誤解を恐れずに言えばガーリーな感じが好きなんですね。
ありがとうございます。いえあ。この前も、ポケットティッシュ用のすごくかわいいケースを見つけて買っちゃいました。いえあ。あと「Soup Stock Tokyo」(スープ専門店)が大好きで。たぶん週3ぐらいで行ってます。いえあ。なにこの終わり方。いえあ。
収録曲
- 赤心性:カマトト荒療治
[作詞 / 作曲:スズム] - いーあるふぁんくらぶ
[作詞 / 作曲:みきとP] - Bad ∞ End ∞ Night
[作詞:ひとしずく / 作曲:ひとしずく×やま△] - 古書屋敷殺人事件
[作詞 / 作曲:てにをは] - 竹取オーバーナイトセンセーション(Sharp Rock arrange / suzumu)
[作詞 / 作曲:Gom(HoneyWorks)編曲:スズム] - ポーカーフェイス
[作詞 / 作曲:ゆちゃP] - 嗚呼、素晴らしきニャン生
[作詞 / 作曲:Nem] - 「Crazy ∞ nighT」
[作詞:ひとしずく / 作曲:ひとしずく×やま△] - 吉原ラメント
[作詞 / 作曲:亜沙] - 如月アテンション(starpop's arrange / suzumu)
[作詞 / 作曲:じん(自然の敵P)編曲:スズム] - 人生リセットボタン
[作詞 / 作曲:kemu] - 異国人形館殺人事件
[作詞 / 作曲:てにをは] - たのしいホームワーク / アン飯:赤飯×__(アンダーバー)
[作詞 / 作曲:ピノキオP] - アリスインミルクランド
[作詞:赤飯 / 作編曲:鬱P] - 過食性:アイドル症候群
[作詞 / 作曲:スズム] - またあした
[作詞 / 作曲:ふわりP]
MIX&MASTERING : yasu(Tinkle-POP)
赤飯(せきはん)
ソーシャルネットワークの音楽シーンを中心に活躍する男性の歌い手。パワフルなボーカルから女性のような透き通った声までさまざまな歌声を使いこなす。2011年に自身初のアーティストアルバム「EXIT TUNES PRESENTS SEKIHAN the BEST」を発売。以降のアルバムが3作全てオリコン週間ランキングトップ10に入るという、歌い手初の偉業を達成した。2013年6月には4枚目のオリジナルアルバム「赤BAN」を発表。同年9月には東京・Zepp DiverCity TOKYOにてワンマンライブを敢行する。