ナタリー PowerPush - SEAMO

祝・シーモネーター復活! 新曲、コラボ、エロを語る

フィーチャリングでしかスポットライトを浴びていない自覚があった

──ところで、インタビューの冒頭でチラッと話していた「フィーチャリングを得意技にしているアーティスト」について、SEAMOさんはどう思っているのか気になります。

僕は「すごいな」という感想を持ってます。誰かをフィーチャーするという1つの手法でそれぞれのブランドを作り上げたという意味では、本当にすごいと思います。

──SEAMOさんはそういう人たちに対して賞賛する思いがあると。

はい。ただ、今CDが売れない時代で、僕の名古屋の後輩たちや仲間も含め、みんな守りに入ってしまう傾向があるんですよね。あいつらは1作で結果を出さなきゃいけない中で戦っていて、正直ラブソングだったりリスナーにわかりやすい曲をリリースすることもある。そうすると、1つひとつの楽曲はクオリティが高くて素晴らしいものでも、みんな似てきちゃうんですよね。僕たちのジャンルなんて特に。

──そういう状況の中、SEAMOさん自身はどんな気持ちで活動してきたんでしょうか。

僕は昔「フィーチャリングしたり、されたりするだけじゃダメだ」って強く思っていて。アーティストとしての独り立ちは、ピンで認知されることだって信じてたんです。だからこそフィーチャリングを得意としているアーティストの方は、逆にフィーチャリングを武器にしてブランド化させちゃったのですごいなって素直に思うんですよ。

──昔っていうのはいつ頃のことですか?

BENNIE Kにフィーチャーされたり、メジャーのアーティストとコラボし始めた頃ですね。

──実際にコラボワークを重ねつつも「これだけじゃダメだ」と思っていた?

そうです。結局フィーチャリングでしかスポットライトを浴びていないっていう自覚があったので、どうしてもピンで独り立ちしたいと思ってたんです。で、そのときに自分はスタンダードを身に付けなければいけないと思いました。

──スタンダード?

たとえフィーチャリングの場合でも、昔はシーモネーターの個性一発で済んでいたところが、SEAMOになって、ただの面白い人では通用しなくなった。カッコよさもないといけないし、仕切れなきゃいけないし、歌う人を立てなきゃいけない。すべてがオールラウンドにできなきゃピンのアーティストとして生き残っていけないと思っていたし、実際にそういうことを求められましたね。具体的に言うと、シーモネーターのテンションの高いラップは、味があるとか個性的と思ってくれる人もいる反面、耳にスッと入っていく音楽が好きな人にとっては耳障りだろうと。だから低めに渋めに、普通に喋るようなトーンでラップするスキルを学んだり、歌メロを強化したり。音楽としてスタンダードなことを習得するのにすごく苦労したんですよね。

──それまでシーモネーターとして“変化球”が続いてきたから?

はい。そういう曲ばっかりやってきたんで、変化球を出すほうが僕の中では簡単なんです。いわゆる青春ソングやラブソングのほうが、自分にとってはむしろチャレンジだったり難しかったりして。

ヒップホップの人から見たら僕は邪道

──ですがシーモネーターは確かに下品で過激なキャラクターだけど、100%バカで中身の何もないアーティストだとは思わないんです。「半熟ラバーズ」も、ただのエロソングではなくセーフセックスを歌った曲ですよね?

そうなんです。一部だけ聴くと「生でセックスがしたい」という快楽的なものを求めた歌だと勘違いされるんですけど、人と人がつながって赤ちゃんを作るのはとても愛があることだし、そこにはこういうリスクがあるんだとか、それに対する責任はきちんとあるんだよっていう。そして、そうじゃない人はちゃんとゴム付けてやってくれ、っていうことを言っている歌なんです、実は。

──はい。

だけどシーモネーターの内面をほじくり出すっていう行為を誰もやらなかったし、当時そんなことしてもメディアにとってなんのおいしさもないから、なかなかクローズアップされなかったんです。でも僕はね、バカにお笑いやエロはできないと思ってるんです。だから散々ハチャメチャなことをやってきましたけど、意味のないことをやっていたつもりはありません。

──そういう意志を理解されなくて、不満を感じることはありませんでしたか?

昔は怒りを感じたこともありましたけど、基本的にはどう思われようが、どんな感想を持たれようが、聴く人の感性にお任せしてるんです。シーモネーター時代、周りのラッパーに「あんなのヒップホップじゃねえ」って言われても反論しませんでしたし。だってアメリカのヒップホップに憧れて、それを追いかけてる人から見たら、僕のやってることは邪道だから。SEAMOになってからも「あいつはスピリットを捨てた」「セルアウトに走ってる」みたいなことを言われるんですけど、当然だなと思います。僕はメインストリームの真似事ではないオリジナリティを求めて、メインストリームを追う人たちとはひと味違うっていうことを見せたいから、こういうことをやっているので。

──長いキャリアの中でその姿勢をずっと貫き通すのは、とても大変だと思います。

でも時間が経って、何かのタイミングで理解を得られたりするんですよね。例えばシーモネーターに拒絶感を持っていた人も、SEAMOという人間をわかった上でシーモネーターを見れば「あの人わかってやってるんだな」と思ってくれたり、SEAMOのシングル曲だけ聴いていた人がワンマンライブに来てシーモネーターを観て、新鮮さを感じてくれたり。

──では今後もSEAMOとシーモネーター、2つの名義をうまく使い分けていくんでしょうか。

どういう形になるかはわからないんですけど、シーモネーターという、SEAMOとは別の“はけ口”があることで自分の活動に幅が生まれるような気がしてます。だから「これはシーモネーターにお願いしよう」「これはSEAMOでやろう」っていう識別が色濃くなってくるのかな、とは思いますね。それに、シーモネーターは普通にやってたら絶対にスポットライトを浴びない位置にいた人ですから、SEAMOとしてある程度みんなに見てもらえるところまで来た今、でかいステージを使ってあのキャラができるのはおいしいっちゃおいしいですよね(笑)。

ベストアルバム「コラボ伝説」 / 2011年8月24日発売 / アリオラジャパン

  • 初回限定盤[CD2枚組+DVD] / 3500円(税込) / BVCL-244~246 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD2枚組] / 3000円(税込) / BVCL-247~248 / Amazon.co.jpへ
DISC 1
  1. S.ex. with TSUCHIYA ANNA and SUGA SHIKAO / シーモネーター
  2. Hungry feat. miray
  3. a love story / SEAMO with BENNIE K
  4. Hey Boy, Hey Girl feat. BoA
  5. Kiss Kiss Kiss feat. AZU & yukako
  6. 宝島 feat. hiroko(from mihimaru GT)
  7. 心の声 feat. AZU
  8. キミヲワスレナイ feat. AYUSE KOZUE
  9. 素直になりたい feat. AKIKO WADA
  10. Honey Honey feat. AYUSE KOZUE
  11. 怒りの鉄槌 feat. 長州小力
  12. Do It! feat. MICRO & KURO(from HOME MADE 家族)
  13. クリスマス大作戦 feat. 紗羅マリー
  14. Girl Is Mine feat. CRYSTAL BOY(nobodyknows+)
  15. Golden Time feat. カルテット&手裏剣ジェット
  16. 半熟ラバーズ feat. MICRO(HOME MADE 家族) / シーモネーター & DJ TAKI-SHIT
DISC 2
  1. Fallin' in or Not feat. SEAMO / 中林芽依
  2. 卒業、そして未来へ。 / MONKEY MAJIK+SEAMO
  3. fantastic 3 feat. SEAMO / HOME MADE 家族
  4. 恋唄 with SEAMO / SOFFet
  5. 時間よ止まれ feat. SEAMO / AZU
  6. さぁ行こう! / YA-KYIM respects SEAMO
  7. Be With Me feat. SEAMO / Spontania
  8. キミがおしえてくれた事 feat. SEAMO / Tiara
  9. LOVE A LOVE feat. SEAMO / MEGARYU
  10. ラヴィン・ユー / 清水翔太、Crystal Kay、Mummy-D、SEAMO、童子-T
SEAMO(しーも)

アーティスト写真

1995年より地元名古屋・東海地区を中心に、シーモネーターとして活動を開始。2002年に米米CLUBの代表曲「浪漫飛行」を大胆にサンプリングした「浪漫ストリーム」で、待望のメジャーデビューを果たす。その後、2005年から名前をSEAMOに改名。同年3月にシングル「関白」で再デビューする。2006年に「マタアイマショウ」「ルパン・ザ・ファイヤー」が立て続けにヒットを記録し、アルバム「Live Goes On」はオリコンウィークリーチャート1位を獲得。同年末の「第57回 NHK紅白歌合戦」にも出場し、本格的なブレイクを果たす。また、2007年には自身が発起人となる東海地区の夏フェス「TOKAI SUMMIT」をスタートさせ、5回目を迎えた2011年には1万3000人を動員した。7月27日にはチャリティ盤となるミニアルバム「ONE LIFE」をリリースし、8月24日にはこれまでのコラボレーション曲を集めたベストアルバム「コラボ伝説」を発表。唯一無二のヒップホップアーティストとして支持を集めている。