ナタリー PowerPush - SCREAM OUT FEST 2014

スクリーモ / メタルコアの祭典 主催者&出演者が今年の見どころ解説

国内外のスクリーモ / メタルコア系アーティストが一堂に会する屋内イベント「SCREAM OUT FEST 2014」が2月9日、東京・新木場STUDIO COASTにて開催される。今年で5周年を迎える同イベントでは、HER NAME IN BLOOD、Fear, and Loathing in Las Vegas、CRYSTAL LAKEといった国内勢が、The Devil Wears Prada、Periphery、The Word Aliveという注目の海外アーティストと熱い競演を繰り広げる。

ナタリーでは「SCREAM OUT FEST」の主催者である吉川彰一(TRIPLE VISION)と、2011年から4年連続出演を果たすHER NAME IN BLOODのIkepy(Vo)、Makoto(B)にインタビューを実施。「SCREAM OUT FEST」開始の経緯や5年間の歩み、そして今年の見どころを聞いた。また特集後半ではHER NAME IN BLOOD以外の「SCREAM OUT FEST 2014」出演者からのメッセージ、過去4回のデータや写真も掲載。これらのコンテンツを通じて、来たる「SCREAM OUT FEST 2014」に備えよう。

取材・文 / 西廣智一 インタビュー撮影 / 佐藤類

初年度のLas Vegasを観て「あ、これイケるな」と実感

──「SCREAM OUT FEST」は2010年からスタートして今年で5回目となりますが、実は前身となるイベントが2008年から行われていたんですよね。

吉川 そうです。2008年にアメリカのAlesanaというバンドとイギリスのThe Blackoutっていうバンドを招聘してジャパンツアーをしたんですけど、そのとき大阪公演で「SCREAM OUT」っていう名前を初めて使って。そこから翌年、クリエイティブマンさんと一緒に「SCREAM OUT IN THE EAST」っていうイベントをリキッドルームでやったのが「SCREAM OUT FEST」のルーツです。

──そして2010年に1回目の「SCREAM OUT FEST 2010」が渋谷CLUB QUATTROで開催されるわけですね。最初、どういうコンセプトで行おうと思ったんですか?

吉川 その当時まだスクリーモやメタルコアの大きなイベントが全然なくて。どちらかというとジャンル的にはアンダーグラウンドなものだったので、クアトロ規模で一度挑戦してみて、シーンの拡大を狙ったのが1つ。あと、うちのレーベルからリリースしてる国内外のバンドのショーケース的な意味も含まれてたんです。

──そうだったんですね。確かにこのイベントを通じてスクリーモやラウド系のバンドが国内でも盛り上がっていった記憶があります。

吉川 そうですね。今回出演するLas Vegasは、2010年の1回目のトップバッターだったんです。そのときはCrossfaithも出演していて。イベントスタート時はこういったジャンルのシーンはまだ海外のバンドが中心で、国内のバンドはフォロワー的な捉え方をされてたんです。それを変えたいっていう思いもあって、海外のバンドと日本のバンドをバランスよく取り混ぜたイベントにしました。

左からIkepy(Vo)、Makoto(B)。

──1回目の時点では「SCREAM OUT FEST」を定期的に続けていこうとすでに考えてましたか?

吉川 当時はそれ以上に2日間埋まるかどうかという不安が強くて。完全に未知数でしたからね。でもLas Vegasがトップバッターとしてライブを始めると、お客さんのノリが今まで観てきたどのイベントとも全然違っていたので「あ、これイケるな」と実感したんです。2010年のときはソールドアウトとまではいかなかったんですけど、それなりの動員は記録できたので、終わった直後に翌年のためにクアトロを押さえました。だから続けていこうと考えたのは、初年度のイベントが終わってからですね。

洋楽邦楽関係なくライブを観て楽しんでくれてる

──HER NAME IN BLOODのお2人は2010年の初開催時、「SCREAM OUT FEST」のことは知ってましたか?

Makoto はい。実は1回目もオーディエンスとして遊びに行ってました。そのときは「ああ、こういう雰囲気なんだ。すごいな」と思ってたんですけど、まさか翌年自分たちが出演することになるとは思ってなくて。

──そして2回目の2011年はLIQUIDROOM ebisuで1日のみの開催。HER NAME IN BLOODはここで初出演を果たすわけですね。

Makoto(B)

Makoto それまでライブをしてきた中でも特に大きかったですね、あの会場は。バックステージの雰囲気も和気あいあいとしていて。そのときは海外のバンドが3組出演していたんですけど、出番が終わったあとにビールで乾杯してました。でもステージ上は緊張以外の何ものでもなかったですけど(笑)。

吉川 けっこうガチガチだったよね?

Makoto かなり(笑)。まあ結果的には自分たちのポテンシャルを引き出すことができた、いいライブになったんじゃないかと思ってます。

──当日は海外のバンド目当てのお客さんもいたでしょうし、それこそHER NAME IN BLOODを初めて観るオーディエンスも多かったかと思います。そういうお客さんに自分たちの存在を知ってもらおうと意気込んでいた?

Ikepy どうだったかな? 自分自身はそんなに意識はしてなかったですけど。

Makoto 邦楽洋楽の違いっていうのはもちろんありますけど、自分もあんまり意識せずに挑んでたと思います。たぶんほかのメンバーも一緒じゃないかな。

──そうなんですね。ちなみに「SCREAM OUT FEST」の客層はどういった感じなんですか?

吉川 ほかの同系統のイベントと比較すると、女性のお客さんが多いんですよ。あと、わりとオープンマインドの人が多いんじゃないかな。洋楽邦楽関係なくライブを観て楽しんでくれてるし、面白いと思ったものに対してはそれ相当のレスポンスをしてくれるし。そういった空気感が年々広がっている気はします。例えばCrossfaithが最初に出演したときは、まだ1枚目の「The Artificial theory for the Dramatic Beauty」(2009年発売)しか出してない頃で。しかも大阪のバンドなので、東京での認知度ってそんなに高くなかったんです。認知度という意味ではLas Vegasも一緒なんですけど、どちらもライブが始まるとお客さんが音にノッて楽しんでる姿を目にすることができる。そのマインドみたいなものがシーンの拡大につながったんじゃないかと思いますね。

「SCREAM OUT FEST」が観光の一環に組み込まれてる

──3回目の2012年は会場を再び渋谷CLUB QUATTROに戻しての2日間開催でした。この年から出演者が日ごとに半分くらい入れ替わるようになりましたね。

吉川 2日開催にするときは通し券を販売してたんですけど、意外と2日とも来るお客さんが多くて。クアトロ規模で200人が通し券を買って来てくれるんだったら、若いバンドにもチャンスをあげたいっていう思いもあって日ごとに出演者をガラッと変えてみました。国内のバンドは日ごとに総入れ替えしましたから。

──そういう経緯があったんですね。

吉川 僕はイベント中、基本的にあまりバックヤードにはいなくて、フロアに出てお客さんと話すようにしてるんですけど、北海道や沖縄、中には海外から来たっていう人もけっこういて。年に1回のお祭りっていうことで、「SCREAM OUT FEST」に向けて貯金をして来てくれるんだそうです。そういう人がいるって思うとすごく励みになるし、だったらちょっとでもたくさんのバンドを観てもらえたほうがいいと思うし。最近では「SCREAM OUT FEST」を観て、翌日にディズニーランドに行ったりするって人も多いようです。

左からIkepy(Vo)、Makoto(B)。

Makoto 完全に「SCREAM OUT FEST」が観光の一環に組み込まれてますね(笑)。

──「SCREAM OUT FEST」からディズニーランドって、ある意味真逆の世界観ですが(笑)。でもすでに風物詩的イベントになりつつあるんですね。

Makoto 出演してる側としても、このイベント自体のファンがだいぶ増えてるように感じます。

──HER NAME IN BLOODとしては、2012年のときは何か印象に残ってることはありますか?

Makoto 当時はバンドがすごく伸び悩んでる時期で、音源自体も前に所属していたレーベルから離れてしばらく出してなかったんです。今だから言えるんですけど、正直あの頃はどうなってしまうんだろうっていう思いを抱えながら出演させてもらって。

Ikepy でもかなりいいライブができて。あのライブがあったから、活動を続けていこうっていう意思がより強くなったと思うんです。

Makoto 大きな転機になったライブなので、忘れられないですね。

SCREAM OUT FEST 2014
2014年2月9日(日)東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 15:30 / START 16:30
<出演者>
The Devil Wears Prada / Periphery / Fear, and Loathing in Las Vegas / CRYSTAL LAKE / HER NAME IN BLOOD / The Word Alive / THE GAME SHOP(DJ)
料金:前売 6500円(ドリンク代別 / 前売特典付き) / 当日 7500円(ドリンク代別)
Red Bull Live On The Road × SCREAM OUT FEST 2014 KICK OFF PARTY
2014年2月7日(金)東京都 タワーレコード渋谷店B1F「CUTUP STUDIO」
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
NEW BREED / The Twisted Harbor Town / キバオブアキバ / MAKE MY DAY / and more
料金:前売 2500円(ドリンク代別)
The Devil Wears Prada 単独公演
2014年2月10日(月)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
The Devil Wears Prada / HER NAME IN BLOOD
料金:前売 6000円(ドリンク代別)
「SCREAM OUT FEST」とは?
2010年からスタートした、国内外のスクリーモ / メタルコア系バンドによるイベント。Alesana、Asking Alexandria、The Word Alive、We Came As Romans、Of Mice & Menなど注目度の高い海外バンドと、初出演時は知名度が低かったCrossfaithやFear, and Loathing in Las Vegas、HER NAME IN BLOODなどの国内バンドの競演により、日本国内でのスクリーモ / メタルコアシーンの拡大・確立に一躍買っている。開催5回目となる2014年は過去最大規模の会場となる新木場STUDIO COASTでThe Devil Wears Prada、Peripheryなどを迎えて実施される。
Periphery ミニアルバム「Clear」 / 2014年1月22日発売 / 1680円 / TRVE-0099 / TRIPLE VISION
Periphery ミニアルバム「Clear」
収録曲
  1. Overture
  2. The Summer Jam
  3. Feed The Ground
  4. Zero
  5. The Parade Of Ashes
  6. Extraneous
  7. Pale Aura
Periphery 単独公演も開催!
2014年2月11日(火・祝)東京都 clubasia
OPEN 18:00 / START 19:00
<出演者>
Periphery / CYCLAMEN / HAMMERHEAD SHARK
料金:前売 6000円(ドリンク代別)
HER NAME IN BLOOD(はーねいむいんぶらっど)

Ikepy(Vo)、Daiki(G)、TJ(G)、Makoto(B)、Umebo(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年から活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年には1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、A Day To Remember、As I Lay Dying、August Burns Red、Heaven Shall Burn、Story Of The Year、Unearthなど数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも積極的に出演する。また東南アジアや中国などでの海外公演も敢行。2013年3月には3年ぶりの単独音源となる「THE BEAST EP」をリリースし、初のヘッドライナーツアーを全国15カ所で開催した。