HER NAME IN BLOOD|ド直球タイトルの新作で5人が追求した“シンプルなサウンド”

HER NAME IN BLOODがニューアルバム「POWER」をリリースした。今作は昨年4月にMAKI(Dr)が加入して以来、現体制で初めてのアルバム。U2、The Rolling Stones、Blink-182、The Usedらの作品を手がけたトム・ロード・アルジが、前作に続いてミックスエンジニアとして参加した。

音楽ナタリーでは、HNIBのメンバー5人にインタビューを実施。音楽的なバックグランドがそれぞれ違う5人によるメタルの捉え方をはじめ、ストレートなタイトルの「POWER」に込められた意味、楽曲の聴きどころ、筋トレに励んでいるIKEPY(Vo)の筋肉への思いなどを語ってもらった。また特集後半では5月に行われるライブツアー「FULL POWER TOUR 2018」の対バン相手であるNOISEMAKERのAG、打首獄門同好会のjunko、ANOTHER STORY 、GYZEのRyojiからのコメントも紹介する。

取材・文 / 増田勇一 撮影 / 後藤倫人

新アーティスト写真に見る5人の個性

──アルバムのリリースを発表した際、まず新しいアーティスト写真を公開しましたよね。まさに5人5様の出で立ちで「このバンドはいったいどこに向かおうとしているのか?」という感じでした。

MAKOTO(B)

MAKOTO(B) そこでみんなが“?”を持ってくれたのがうれしくて。別にメタルバンドがメタルの格好をしてなくてもいいんじゃないか、という思いがまずあったんですね。それはいいギャップにもつながるんじゃないか、と思って。しかもメンバーそれぞれバックグラウンドがかなり違うんで、各々の色を出すことである意味サーカス的な見え方になれば、「どんなバンドなんだろう?」っていう興味にもつながるんじゃないかと。

──音楽的な人種のるつぼといった感じでしょうか。例えばビジュアル的にMAKOTOさんはアメリカの西海岸パンクっぽい格好で、TJさんはモヒカンで。

MAKOTO 正直、僕自身はまったくメタルを通ってこなかったので。活動していく中でいろいろ勉強はしてきましたけど、自分のカラーはこれです、というのを改めて形にしてみた感じで。

TJ(G) 僕の場合はアメリカのロックが大好きで。しかもニューメタルとか、いわゆるちょいダサ系のジャンルを聴いて育ってきて。そういうバンドってだいたいメンバーのうち1人は髪の毛を立ててることが多かったんで、いつか自分もそうしたいな、と思ってたんです。

──MAKIさんは……ヴィジュアル系ですか?

MAKI(Dr) そうですね。ヴィジュアル系に寄れるのは僕ぐらいだなという判断で。音楽のルーツで言えばスラッシュメタルなんで、本来ならそういう格好をしたほうがいいんでしょうけど、僕、腕があまりにも細いんでそういうのが似合わないんですよ(笑)。そこでもう1つ、ヴィジュアル系の血もけっこう入ってるので、今回は黒を基調にしてみようと。

──ルーツも踏まえつつ似合う格好をしたんですね。IKEPYさんはメタルの王道とも言える出で立ちで。

IKEPY(Vo)

IKEPY(Vo) 王道なんですけど、あえてそこで音楽的なルーツを見せると言うよりは、アーノルド・シュワルツェネッガーのスタイルを基盤にしてまして。

──つまり、音楽以前のルーツということですね?

IKEPY はい。自分はもともと格闘技とかアクション映画とか、そういうヒーローモノが好きなので、それでいこうと思いました。

TJ 昔からそうだもんね。だってIKEPYのiPhoneの待ち受け、全盛期のシュワルツェネッガーだし。見ちゃいけないもの見ちゃった感じがしたけど(笑)。

──DAIKIさんは……ハリウッド出身だったんですか?

DAIKI(G) ハリウッドという名の群馬県からやって来ました(笑)。まあこれも、見る人が見ればわかるという感じ。やっぱりLAメタルが好きだし、特にMötley Crüeが大好きなんで。生きているうちに一度はこんな格好をしてみたくて(笑)。

──縁起でもない例えですけど、皆さんが棺桶に入るときはこのスタイルが相応しいと思いましたし、まさにこれを遺影にできると言うか(笑)。

TJ 全然これがいいです、俺。

MAKOTO こうやって生きていくしかない、という生き様を示せますよね(笑)。

さまざまなパワーの形

──統一感のないビジュアルを堂々と打ち出せるのも、音楽自体にはブレがないからだと思うんです。だけども同時に今回の「POWER」には、「このバンドでは従来やってこなかったけど、実はこういうのも好き」という要素がたくさん入っているように思えます。方向転換とかではなく、あえてやらずにきたことを“アリ”にした結果、間口が広がっているような。

DAIKI(G)

DAIKI うん。それ、まさに大正解。

MAKOTO 間違いないです。

TJ すごく的確ですね。

──皆さんにお聞きする前に答えを言ってしまってすみません。

MAKOTO ははは!(笑) でも実際、間口は広げているけど背伸びはしてなくて。今までも好きな範囲の中にはあったけど、手を出すかどうかためらっていたものに手が伸びた感じ。そういったものにも今回はチャレンジしてます。例えばメジャーキーの曲とか、ほとんどシャウトがない曲とか。

──歌モノ的なアプローチの強い楽曲や、あからさまに明るいトーンの楽曲も新作に収録されています。今までの躊躇というのは、「自分たちにこういう音楽を求められているんだろうか?」と言うところでの不確かさに起因するものだったんでしょうか? まだちょっと早いのかな、みたいな。

MAKOTO どう受け取られるかは考えていましたけど、こうしてMAKIの加入で新しい体制が整って、バンド自体は結成11周年に突入していて。10年を一区切りと考えたら、もう怖いものもそんなにないのかなと。そこで今回、このアルバムを作るにあたって、これまでやってこなかったことをやってみようという話になったら、シンプル、キャッチー、あとはパワフルというキーワードが出ました。

──ヘビーなものからポップなものまで、すべてをパワフルにやるのがHER NAME IN BLOODと言うことなんですね?

MAKOTO まさしく。

TJ(G)

TJ まあなにしろ、ボーカルがこの肉体派ですからね。

DAIKI もう……しょうがないですよね(笑)。

IKEPY 僕はもう、バンドのイメージキャラクターとしてすべてを受け入れているので(笑)。

MAKOTO で、アルバムが「POWER」というシンプルなタイトルになったわけですけど、実はこの言葉にはいろんな意味合いがあるじゃないですか。悪い力もいい力もあれば、強い力も弱い力もある。さらには愛の力や何かを変える力とか。そういった、いろんな意味での“パワー”を形にしていけたらいいんじゃないかと。

──剛腕みたいなイメージのパワーだけではない。それがこれまであえてやらずにいたアプローチみたいな部分にも重なったわけですよね。それにしても、今回ほど歌をまっすぐ聴かせる作品はこれまでなかったと思いますが、そこに躊躇はありませんでしたか?

DAIKI 日頃からメンバー各々、激しいメタルばっかりを聴いてるわけでもないし。みんな当然のようにいろんな音楽を聴くから、好きなものをやるのは別に全然いいんじゃないか、と。しかも、IKEPYが歌えばHNIBになる。昔からそう言ってきたんですけど、そういう部分での自信も大きくなってきたから。

TJ IKEPYの歌のクオリティも上がってると思います。メロディを歌うときも説得力があるし、シャウトに頼らずともいけるんじゃないかなって、一緒にカラオケに行ってもそれは感じていたので。

──シャウトではなくメロディを歌う場合でもいっそう自分のキャラクターを出せるようになってきた。そういった自覚はIKEPYさん自身にもあるんですか?

IKEPY そうですね。今回は特にいろんな曲があるんで、いろんな歌い方でアプローチできたし、それを楽しみながらやれたし。結果、さらに幅は広がったかなと思いますね。

DAIKI ただ、「今回は歌モノに寄せたメロディ重視のアルバムにしよう」とか、そういうことをメンバー間で話していたわけでもなく、ごく自然にこうなったんです。今、僕らが本当にやりたいスタイルってこういうものなんだろうなって。

HER NAME IN BLOOD「POWER」
2018年4月4日発売 / Warner Music Japan
HER NAME IN BLOOD「POWER」

[CD]
2808円 / WPCL-12856

Amazon.co.jp

収録曲
  1. POWER
  2. DARK
  3. KATANA
  4. SAVIOR
  5. MASK
  6. KINGSLAVE
  7. IDENTICAL
  8. CALLING
  9. FALLEN
  10. FORSAKEN
  11. SIMPLE THINGS
HER NAME IN BLOOD「FULL POWER TOUR 2018」

2018年5月4日(金・祝)宮城県 仙台MACANA
<出演者> HER NAME IN BLOOD / NOISEMAKER

2018年5月10日(木)愛知県 CLUB UPSET
<出演者> HER NAME IN BLOOD / 打首獄門同好会

2018年5月11日(金)大阪府 soma
<出演者> HER NAME IN BLOOD / ANOTHER STORY

2018年5月13日(日)福岡県 Queblick
<出演者> HER NAME IN BLOOD / GYZE

2018年5月17日(木)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
<出演者> HER NAME IN BLOOD

HER NAME IN BLOOD(ハーネイムインブラッド)
HER NAME IN BLOOD
IKEPY(Vo)、DAIKI(G)、TJ(G)、MAKOTO(B)、MAKI(Dr)からなるメタルコア / ラウドロックバンド。2008年に活動を開始し、BEFORE MY LIFE FAILSとスプリットCDをリリース。同年開催された「Taste Of Chaos 2008 in Japan」への出演を経て、全国各地でライブ活動を展開していく。2010年に1stフルアルバム「DECADENCE」を発表。以降、数多くの海外アーティストの来日公演でサポートを務めるほか、「SCREAM OUT FEST」など大型イベントにも出演した。2013年末から2014年初頭にかけては、中国でのフェス出演を含むアジアツアーを実施。2014年4月にフルアルバムとしては約4年ぶりとなる「HER NAME IN BLOOD」をリリースし、同年5~9月に全国ツアー「RETURN OF THE BEAST TOUR 2014」を行った。2015年6月にWarner Music Japanよりメジャーデビューすることを発表し、9月にミニアルバム「BEAST MODE」をリリースした。10月にはデビュー作のレコ発ツアーをスタートさせたほか、アメリカで行われたSlipknot主催のライブイベント「KNOTFEST 2015」に出演し、Judas Priest、Korn、Mastodonらと競演。11月にはオジー・オズボーン主催によるライブイベント「Ozzfest Japan 2015」に参加した。2016年9月にフルアルバム「BAKEMONO」をリリースし、11月に初のヨーロッパツアーを行った。12月に前任ドラマーUmeboが脱退。2017年4月に新ドラマーとしてMAKIが加入した。5月に5曲入りCD「FROM THE ASHES」を発表。その後、「Resurrection Tour 2017」を開催したほか、Megadeth、Anthraxの来日ツアーや、「SATANIC CARNIVAL’17」などに出演した。2018年4月にMAKI加入後初のフルアルバム「POWER」をリリース。同月に香港でライブを行い、5月より「FULL POWER TOUR 2018」を開催する。