音楽ナタリー Power Push - SCOOBIE DO
人間じゃないぜバンドマン 21年目の“LIVE CHAMP”が挑むアウェイ戦
人間じゃないぜバンドマン
──今日はアルバムの先行試聴会でもありますので、ここでさっそく「LIVE CHAMP」を聴いてもらいつつ、詳しく話を伺っていきましょう。
コヤマ 僕としては「PLUS ONE MORE」(2005年3月発売のアルバム「PLUS ONE MORE」表題曲)のように、高速のファンクでコール&レスポンスが入る、ライブの導入にふさわしい曲というイメージがあったので、リーダーが作ってきた曲を聴いたときは「これこれ! これだった」と。
ナガイケ でも歌詞に関しては、コヤマさんが日頃MCで言ってることが全面に出ているので、そういう意味ではやっぱりコヤマさんのアイデアが生きてますね。
コヤマ うん。ナイスフォロー!
ナガイケ 最初は「人間じゃないぜバンドマン」というフレーズは入ってなかったんですよ。
──SCOOBIE DOを見事に表現したパンチラインですよね。
ナガイケ リハで僕とMOBYのリズム隊がスタンバイしているときに、リーダーとコヤマさんが2人でよく打ち合わせをしていて、リハを重ねるごとに少しずつ歌詞が変わってたんですよ。ある日突然「人間じゃないぜバンドマン」というフレーズが出てきたときは「うわ、とうとう言った!」って思いましたね。
コヤマ 言ってやりましたよ。ライブ中になんとなく出てきた言葉だったんですけど、最近はそういう気分だったんですよね。俺たちはもうSCOOBIE DOって名前の生き物になってんだ、20年もやってたらそうなるんだと。向こう側とこっち側の境があって、もう俺たちはこっち側、人間には戻れない。でも、向こう側にいるからこそ見えるもの、味わえること、人間に伝えられることはいっぱいあるんじゃねえかなっていう。そういう思いを込めて、ここは1曲目で「人間じゃないぜバンドマン」って言っとくべきだと思ったんですよね。
──この曲に限らず、今回のアルバムはどの曲もSCOOBIE DOの姿勢そのものを歌詞に落とし込んでいる印象です。SCOOBIE DOはこういうバンドであるという宣言のような。
マツキ そうですね。それはフロントマンであるシュウくんと一緒に作り込んでいることが大きいと思います。大枠は俺が作っていくんですけど、そこからはリハと話し合いを重ねながら作っていくので。
コヤマ 歌詞としてはいいんだけど、歌ってみると思ったより響いてこないとか、聞き取りづらいなとか、リハで歌ってみると客観的に見えてくるんです。今はライブの現場で歌ってすぐに火が点く言葉を求めてる。なおかつ言葉の強度が強いもの、リアリティのあるもの。今回は2人でリハの合間にかなり推敲しましたね。
ホームもアウェイ 好きだぜアウェイ
──続いて2曲目は「It's A New Day」。こちらも聴いてみましょう。ホーンやコーラスも入った、非常にさわやかなソウルですね。
マツキ これを作ったのはアルバム曲の中でも早い時期で、確か「LIVE CHAMP」の次がこれだったんじゃないかな。実はこれも野音でやることを想定して書いた曲で、晴れた青空を眺めながらみんなで気持ちよく歌える歌がいいなあって。
──3曲目の「アウェイ」はMVが一足早く公開されているのですでに聴き込んでいる人も多いと思いますが、「It's A New Day」と「アウェイ」の2曲は特に、ポップな曲調のみならずサウンドバランスなどあらゆる面でJ-POP的だなと感じました。
マツキ うんうん。コーラスやホーンはレコーディングの段階で出てきたアイデアで、J-POPっぽさはレコーディングをしているうちに出てきたものなんですけど……僕はこの「It's A New Day」がすごく気に入っていて、これを推し曲にしようと思ってたんですね。これで紅白に出たいなと(笑)。
コヤマ おお!
──実際そのぐらい大衆性のある曲なんじゃないかと思います。もしこちらがリード曲だったら、アルバム全体のイメージももう少し明るい印象になっていたかもしれないですね。
ナガイケ 僕も「It's A New Day」がリード曲になるのかなと思っていたんですけど、「アウェイ」ができたときに1つポコンと抜きん出てきたんですよね。
マツキ 「アウェイ」は作ってすぐのときは、なんとなくアルバムの隅でフックになる曲ぐらいに考えてたんですけど、レコーディングである程度ベーシックを録った段階で、MOBYが「いや……『アウェイ』、いいんですわ」ってしみじみと(笑)。
コヤマ MOBYが気持ちを込めるときに言う、語尾が「わ」になるやつね(笑)。
──MOBYさんはなぜ「いいんですわ」と?
MOBY こういうディスコナンバーは、僕らには「Private Lover」(2008年4月発売のアルバム「パラサイティック・ガール」収録曲)ぐらいしかなくて。あの曲はミドルテンポだったから、いわゆるフロア映えする四つ打ちのディスコナンバーというとこれが初めてなんですよ。DJでもかけやすいし……あと2015年はそこかしこでマーク・ロンソンの「Uptown Funk」がかかってたでしょ? あの曲が全世界で愛されているということは、こういう曲が日本でもウケるんじゃないかと思ったんですよ。
──かつ「アウェイ」には歌謡曲の要素も含まれてると思うんですよね。体に染み付いている歌謡曲のエッセンスを、ディープなソウルやファンクを経由したサウンドで表現できる、スクービーならではの強みがこの曲には詰まっているなと。
コヤマ そうだね。このビート感で、ちゃんと歌がある。展開があってストーリーもあるというのは俺らっぽいかもしれないな、確かに。歌詞はけっこう変わってったんですよ。リーダーが持ってきたときに構成も含めてほぼできあがってたんですけど、最初はもっと「アウェイって厳しいね。でも立ち向かっていくぜ」っていう曲だった。でも例えばワンマンライブなんかで歌ったとき、気持ちにズレが出てきそうな気がするというか、アウェイな現状を嘆きすぎている気がして。よくよく考えてみると、俺らけっこうアウェイ好きだなと。SCOOBIE DOはアウェイの現場で真価を発揮する場面が多いんですよ。1番、2番と進むにつれグラデーションを付けるように「アウェイ好きだぜ」というところに持っていけるように考え直して、最後は「ホームもアウェイ 好きだぜアウェイ」で締めくくってるんですけど、これはリーダーがよく言う「俺らは例えどんなにホームでもアウェイだと思ってやってます」という、SCOOBIE DOの意思っつうのかな。すごく俺たちらしい曲になったなと思います。
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収録曲
- LIVE CHAMP
- It's A New Day
- アウェイ
- BUKI
- ファンキー獣道
- 踊れ激しく
- Na Na Na Na Na
- その輝きを抱きしめて
- 伸ばしたその手だけ
- また会いましょう
- ライブDVD「FILM DANCEHALL YAON」 / 2016年1月27日発売 / 3500円 / CHAMP RECORDS / HIBH-4109
- 「FILM DANCEHALL YAON」
収録内容
- Introduction
- バンドワゴン・ア・ゴーゴー
- 結晶
- Get Up
- パレード
- PLUS ONE MORE
- What's Goin' On
- Beautiful Days
- アフィルグ
- Oh Yeah!
- ゆうべあのこが
- ミラクルズ
- ラストナンバー
- 茜色が燃えるとき
- ROPPONGI
- きまぐれ天使
- Steppin' Loud
- MIGHTY SWING
- MC
- 月光
- 最終列車
- イキガイ
- 真夜中のダンスホール
- LIVE CHAMP
- トラウマティック・ガール
- Disco Ride
- ロックンロールは未定
- Back On
- 新しい夜明け
- つづきのメロディー
- やっぱ音楽は素晴らしい
- Little Sweet Lover
- 夕焼けのメロディー
ツアー情報
SCOOBIE DO TOUR「Funk-a-lismo! vol.10」
- 2016年2月26日(金)千葉県 千葉LOOK
- 2016年3月5日(土)京都府 磔磔
- 2016年3月6日(日)岡山県 CRAZYMAMA 2nd Room
- 2016年3月12日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
- 2016年3月13日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
- 2016年3月18日(金)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
- 2016年3月27日(日)静岡県 MESCALIN DRIVE
- 2016年4月2日(土)新潟県 CLUB RIVERST
- 2016年4月3日(日)福島県 Out Line
- 2016年4月9日(土)岩手県 the five morioka
- 2016年4月10日(日)秋田県 Club SWINDLE
- 2016年4月17日(日)三重県 club chaos
- 2016年4月23日(土)神奈川県 club Lizard YOKOHAMA
- 2016年4月29日(金・祝)広島県 CAVE-BE
- 2016年5月1日(日)福岡県 LIVE HOUSE CB
- 2016年5月3日(火・祝)鹿児島県 SR HALL
- 2016年5月5日(木・祝)大分県 club SPOT
- 2016年5月7日(土)愛媛県 WStudioRED
- 2016年5月8日(日)香川県 DIME
- 2016年5月14日(土)長野県 LIVE HOUSE J
- 2016年5月15日(日)石川県 vanvan V4
- 2016年5月21日(土)青森県 青森Quarter
- 2016年5月22日(日)宮城県 enn 2nd
- 2016年5月28日(土)大阪府 umeda AKASO
- 2016年5月29日(日)愛知県 池下CLUB UPSET
- 2016年6月2日(木)北海道 cube garden
- 2016年6月4日(土)北海道 CASINO DRIVE
- 2016年6月5日(日)北海道 帯広MEGA STONE
- 2016年6月11日(土)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2016年6月12日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
SCOOBIE DO(スクービードゥー)
1995年にマツキタイジロウ(G)とコヤマシュウ(Vo)を中心に結成。1996年に現ドラマーのオカモト“MOBY”タクヤ(Dr)が加入し、自主制作カセットなどを販売する。1999年にKOGA Recordsから初のシングル「夕焼けのメロディー」をリリース。続いて発表された1stアルバム「Doin' Our Scoobie」で圧倒的な存在感を放つロックバンドとしてその人気を確かなものとする。2001年にナガイケジョー(B)が加入し、現在の編成で活動開始。2007年には自主レーベル「CHAMP RECORDS」を立ち上げ、ライブのブッキングからCD制作、プロモーションまですべてメンバー自ら行っている。バンド結成20周年を迎えた2015年は4月にベストアルバム「4×20 ~ 20 YEARS ALL TIME BEST」を発表。10月には東京・日比谷野外大音楽堂にてワンマンライブ「ダンスホール野音」を行った。2016年1月にはCHAMP RECORDS通算8枚目となるオリジナルアルバム「アウェイ」をリリース。