音楽ナタリー Power Push - 高岩遼(SANABAGUN.)×尾崎世界観(クリープハイプ)×社長(SOIL & "PIMP" SESSIONS)

“メジャー”の先輩と語るSANABAGUN.の過去現在未来

管楽器2人を含む6人の楽器隊、ボーカリスト、ラッパーからなる8人組の生音ヒップホップチーム・SANABAGUN.がこのたびビクターエンタテインメント内レーベルのCONNECTONEからアルバム「メジャー」でメジャーデビューを果たした。音楽ナタリーではこれを記念して、ボーカルの高岩遼、SANABAGUN.の音源を愛聴しているというクリープハイプの尾崎世界観、同じく彼らに興味を持ちつつ、サナバがベンチマークとするバンドの1つでもあるSOIL & "PIMP" SESSIONSの社長という異色な顔ぶれの鼎談を行った。強気かつひょうひょうとしたスタンスでメジャーシーンに打って出るSANABAGUN.の、これまでのストーリー、音楽性、強みについて、2人の先輩アーティストの経験談やアドバイスも交えてお届けする。

取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 小坂茂雄

 
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必死になってたところに「こういうふうにやらなきゃいけないよな」と思わされた

──読者にとってもきっと異色な組み合わせで、皆さん自身も初対面とのことなので、まずは簡単に自己紹介からお願いできますか?

左から尾崎世界観、社長、高岩遼。

高岩遼 じゃあ僕から。岩手県宮古市出身で、SANABAGUN.の代表でボーカルを務めております、高い岩に石川遼の遼と書いて高岩遼と申します。平成2年生まれの現在25歳です。よろしくお願いします。

尾崎世界観 平成2年生まれですか……。

社長 そうかー。SOIL & "PIMP" SESSIONSでアジテーターやってます、社長です。デスジャズやってます。37歳です。

尾崎 あ、じゃあちょうど同じくらい離れてますね。クリープハイプというバンドでギターボーカルをやってます、尾崎世界観といいます。31歳です。

──尾崎さんはSANABAGUN.のファンだという情報をキャッチしまして参加をお願いしました。

尾崎 はい。好きで聴かせていただいてます。

──好きになったきっかけは?

尾崎 ミュージックビデオが面白くて印象に残ったんです。それから路上ライブの映像とかも観て、すごくカッコいいなと思いました。僕もヒップホップがすごく好きで。SANABAGUN.はヒップホップに演奏もボーカルも混ぜて、自分がやっているバンドという形態と近い感じでやっていたから、それでさらに好きになりましたね。

──最初に観たMVはなんでした?

尾崎 いろいろ観たけど最初は……映画っぽいやつかな。

高岩 俺が警察官に扮してるやつ(「M・S」)ですか?

尾崎 あっそうです。あれがとにかくすごくて。質感とかも含めて、あんまり人にわかってもらおうと思ってない感じがカッコいいなと思って。やりたいことやって、ついてくる人だけついてくればいいっていうあの感覚に引っ張られて興味が湧きましたね。

高岩 あはは(笑)。あのMVは、普段僕らが路上ライブをやってるときに警察官に注意されることも多くて、おまわりさんは別に悪い人じゃないけど、とりあえずディスっとくかみたいな。それだけっす(笑)。

社長 あははは(笑)。

尾崎 すごい面白かったなあ。自分はけっこう一生懸命やっちゃうというか、メジャーデビューしてから「なんとか伝えなきゃいけない」と思って必死になってたところに、「そうだよな、こういうふうにやらなきゃいけないよな」って思わされましたね。ちょっとふざけてる感じ、肩の力抜いて楽に表現してる感じがして。そういうのカッコいいなと。

高岩 そうっすか? テキトーですよ。

尾崎 そこが魅力的でした。

──SANABAGUN.は「平成生まれのゆとり世代」と自称してますが、尾崎さんは若さゆえのエネルギーを感じたりもしますか?

尾崎 いや、そうは言ってますけど演奏力とか曲のクオリティとか、しっかり実力がありますよね。たぶん自信があるからだと思う。そういうのも含めて隙がない感じがします。ラフにやって隙をあえて見せることによって隙がなくなるというか。そもそも見た目が僕らより年上に見えますからね(笑)。だから若いって感じがしないですね。

高岩遼

高岩 ありがとうございます。ところで僕、地元が震災で被災したんですけど、クリープハイプ超好きなマイメンがいて、そいつ死んじゃったんですね。

尾崎 震災のときに?

高岩 はい。そいつの葬儀ではクリープハイプのグッズが一緒に燃やされて。そういうことがあったんで、今こうやってお会いできるのがすごいうれしいです。たぶん空から見てると思います。

尾崎 ああ、そうなんですね。それはうれしいですね。

──社長もSANABAGUN.に興味をお持ちだという理由に加え、SOILはサナバがベンチマークとするバンドでもあるということでオファーさせていただきました。

社長 少し前にどっかから聞こえてきた音があって、生音でヒップホップで、すごいカッコよかったから「これ誰だろう」と思って調べたらSANABAGUN.で。それでTwitterで「SANABAGUNカッコいい」ってつぶやいたらいろんなところからリアクションがあったんですよね。同じ時期にビクターの人からも「今度うちでやるんで」ってプレゼンされて。確かそれが最初だったと思う。

高岩 うれしいです。もうひたすらに路上でサバイブしてただけなんで。「俺らカッコいいっしょ」っていうことをやってたけど、改めて先輩に一言いただくと少しこっ恥ずかしいですね。

社長 ふふふ(笑)。でも強気なこと言いつつも礼儀正しいんですよね。実はこの間、スタジオでSANABAGUN.のメンバーに会ったら、みんなシャキッと1列に並んで挨拶してくれて(笑)。そういう人柄もいいですよね。

SANABAGUN.結成の経緯

──そもそもSANABAGUN.はどういう経緯で8人のメンバーが集まり、活動がスタートしたんでしょうか?

高岩 もともと僕は、東京でぶちかまそうと思って岩手から出てきて、尚美学園大学のジャズ科に入学しまして。そこではフランク・シナトラみたいなスタイルで、ビッグバンドをバックにソロで歌ってたんですよ。

尾崎世界観

尾崎 ジャズは子供の頃から聴いてたんですか?

高岩 そうなんです。でも中高生のときはずっとB-BOYで。

社長 なるほど(笑)。

高岩 それで2012年11月に、渋谷LOOPかなあ、椎名純平さんのオープニングアクトを僕がやらせていただくことになって。普通にジャズのスタンダード歌っても面白くねえなと思ったんで、ヒップホップを生音でジャズっぽくやり始めたのがSANABAGUN.の根源になるもので。そのときにいたのが今のドラムとトランペットとサックス。「高岩遼ヒップホップサイド」っていう名義だったんですけど。

社長 そのとき、純平さんのバンドにうちのホーン隊いなかった?

高岩 あれ? 純平さんは1人でやられてましたね。

社長 あ、そうなんだ。うちの元晴(Sax)とタブゾンビ(Tp)はもともと純平さんのバンドのメンバーでもあったから。

高岩 あ、そうなんですね。

社長 つながりが1つできたね。

高岩 純平さん、めちゃくちゃいいおっちゃんでした。それで2013年になって、メンバーの入れ替えもありながらベースが入って、ギターが入って、ラップが入って。もう自分のソロ名義はやめようってことでSANABAGUN.っていうチームが2013年の3月ぐらいにできました。

尾崎 初めて路上ライブをやったのはいつですか?

高岩 もうそこからすぐですね。3月後半から4月頭ぐらいには路上に出てました。

SANABAGUN. メジャーデビューアルバム「メジャー」2015年10月21日発売 / 2200円 / CONNECTONE / VICL-64403 / Amazon.co.jp
「メジャー」
収録曲
  1. SANABAGUN Theme 
  2. カネー
  3. J・S・P
  4. デパ地下
  5. 渋谷ジョーク
  6. 居酒屋JAZZ
  7. 在日日本人
  8. まさに今、この瞬間。
  9. 人間
SANABAGUN.(サナバガン)

SANABAGUN.高岩遼(Vo)、岩間俊樹(MC)、隅垣元佐(G)、小杉隼太(B)、櫻打泰平(Key)、澤村一平(Dr)、高橋紘一(Tp)、谷本大河(Sax)からなる、メンバー全員平成生まれの8人組ヒップホップグループ。2013年の結成当初から東京・渋谷駅周辺で毎週路上ライブを開催しスキルを磨く。2014年8月にアルバム「SON OF A GUN」をリリースし、タワーレコードのバイヤーが選ぶ「タワレコメン」に選出された。2015年10月にビクターエンタテインメント内レーベル・CONNECTONEからアルバム「メジャー」でメジャーデビューを果たした。

クリープハイプ

クリープハイプ尾崎世界観(Vo, G)、長谷川カオナシ(B)、小川幸慈(G)、小泉拓(Dr)からなる4人組バンド。2001年に結成し、2009年に現メンバーで活動を開始する。2012年4月に1stアルバム「死ぬまで一生愛されてると思ってたよ」を、2013年7月に2ndアルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」をリリース。2014年12月には「寝癖」「エロ / 二十九、三十」「百八円の恋」といったシングル曲などを収めた3rdアルバム「一つになれないなら、せめて二つだけでいよう」を発表した。2015年は5月に映画「脳内ポイズンベリー」主題歌の「愛の点滅」をリリースしたほか、4カ月間におよんだ全国ツアーの総集編となる単独公演を東京・日比谷野外大音楽堂で実施。9月には明星「一平ちゃん 夜店の焼そば」のCMソングを収録したニューシングル「リバーシブルー」をリリースした。

クリープハイプ ニューシングル「リバーシブルー」
2015年9月30日発売 / UNIVERSAL SIGMA

初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / UMCK-9770

通常盤 [CD]
1296円 / UMCK-5583

SOIL & "PIMP" SESSIONS
(ソイルアンドピンプセッションズ)

SOIL & 元晴(Sax)、丈青(Piano)、タブゾンビ(Tp)、秋田ゴールドマン(B)、みどりん(Dr)、社長(アジテーター)からなる6人組バンド。東京・六本木のクラブで知り合った仲間で2001年に結成される。2003年に「FUJI ROCK FESTIVAL '03」に出演して以来、国内外のフェスに参加。2004年に1stアルバム「PIMPIN'」でメジャーデビュー。2006年には椎名林檎とともに映画「さくらん」のテーマ曲を担当。次々と作品をリリースしながら、「グラストンベリー・フェスティバル」「モントルー・ジャズ・フェスティバル」など海外の大型フェスに出演し、ワールドワイドに活動する。2013年には10周年を記念してRHYMESTER、椎名林檎をそれぞれフィーチャリングゲストに迎えたシングル、全曲コラボレーションアルバム「CIRCLES」、初のベスト盤「"X" Chronicle of SOIL& "PIMP"SESSIONS」をリリース。2015年7月にブルーノート東京でライブを行い、その模様を高音質で録音したライブアルバム「A NIGHT IN SOUTH BLUE MOUNTAIN」も発表した。

SOIL & "PIMP" SESSIONS ライブアルバム
「A NIGHT IN SOUTH BLUE MOUNTAIN」

2015年10月7日発売
2916円
Victor Entertainment / VICL-70190