佐久間貴生|声優アーティストデビュー!その志と挑戦を楽しむ心とは

これは自分の曲だな

──「Chase the core」はテレビアニメ「スケートリーディング☆スターズ」のオープニング主題歌です。「自由を今掴め 楽しさ知ったんだろ 自分に嘘はつけない 最高の瞬間を誇れよ」といったフレーズにあるように、貴生さんのために書かれたような歌詞ですね。

佐久間貴生

僕も初めて聴いたときに「これは自分の曲だな」とすぐに感じました。僕の中でも“新しい発見”“新しい挑戦”というテーマがあったので、歌詞が自分の言葉のように思えて。自分にぴったりだと感じて、不思議な感覚でした。

──貴生さんはご自身のことをすごく客観視できていますよね。

ありがとうございます。声優として役に集中するとき、自分がその役にならないといけなくて、その役の中にいる自分を外から見てるような感覚になるときがあるんです。そういうことを重ねているうちに、少しずつ前よりも自分を客観視できるようになったのかなと思います。

──一方、カップリングの「LIP」と「Latata」はアダルトな世界観の楽曲ですね。

その2曲に関しては、「こういう楽曲をやってみたい」ということを自分から相談しました。「LIP」に関してはダンスをメインに見せたいということと、今までになかった色気を出したいと。「Latata」は3曲目ということもあって、肩の力を抜いたり、気だるげな表現もしたいということを伝えました。

──話を伺っていると、貴生さんがこれまでずっとやりたかったことを一気に吐き出しているかのような印象を受けます。

そうですね。昔から「もっとこうしたいな」と思ってたことが今回出てきたというか。以前やってた音楽でもそういうものは出してはいたんですけど、ソロになったときに欲がどんどん出てきてしまいました。

──1stシングルにしてすでに一貫性のある作品になりましたね。

そうですね。もっと言うと、一貫性はありつつ、楽曲の振り幅があると思います。「Chase the core」はさわやかで、「LIP」でアダルトな雰囲気を出しつつ、「Latata」で等身大の姿を見せるという。3曲で起承転結を表現した、みたいなところはあります。

自分にしか表現できないことを

──貴生さんは「フットサルボーイズ!!!!!」で桃実高校・昂守希役として声優デビューを果たし、現在も出演中です。こちらの活動はいかがですか?

楽しいですね! お芝居も勉強することがたくさんありますし、演者に同世代の方が多いんですよ。みんな芝居のアプローチが違うのでそれが勉強にもなるし、自分も負けてられないなと思いますね。男が29人もいるのでバチバチしますし、実際にフットサルの試合もやるんですけど、試合を通じて一緒に成長していくという環境がすごく楽しいです。いい仲間に出会えたなと思いますね。

──初めての現場としては最高じゃないですか。

佐久間貴生

素晴らしい現場だと思います。スタッフの方々も含めて本当に素敵な方ばかりなので、人としても成長できると思います。

──今後、どういう活動をしていきたいですか?

声優として真摯に作品に向き合って、どんどんお仕事ができるように常に勉強していきたいです。音楽のほうでも精力的に新しい曲を出していきつつ、ダンスでも成長を見せていきたいと思ってます。新しいものをどんどん提示していけるアーティストになりたいですね。

──目標にしているアーティストはいるんですか?

僕はいろんなアーティストが大好きなので、「この人になりたい!」という気持ちは特にないし、自分にしか表現できないことを提示していきたいんです。今はそのために勉強をしている最中なので、ここからどんどん上に行けたらと思ってます。

──その答えが聞けてうれしいです。なぜかと言うと、貴生さんは目標にされるアーティストになるんじゃないかと僕は思っていて。貴生さんみたいにバンドマンから声優になるという経歴の持ち主はほかにいないと思うし、ほかのバンドマンやミュージシャンに対して新しい道を示すことができるんじゃないかと思うんです。

それは僕も思っています。僕のことを昔から知っている人の中には「そっちの方向に行ったんだ」みたいにネガティブな見方をする人もいるかもしれないですけど、そういう人たちに「そういう道もあるのか!」と思わせたいし、僕と同じようなことをやりたいのに躊躇している人たちに対しても「今からでも遅くない!」と勇気を与えられるようになりたいですね。

──確かに、ミュージシャンに限らず、新しいことを始めるにあたっていろいろと悩んでしまう人は多いと思います。

やらないことであとから悔しい思いをするのは嫌なんですよね。やってみてダメならやめればいいし、自分がやれると思うなら周りの意見なんて関係ないと思う。僕は周りから散々「お前は歌が下手だからやめたほうがいい」と言われたところから歌を始めてるんですよ。でも、今は歌うことをお仕事としてやれるようになっているし、ダンスやお芝居も最初はうまくできないとしても、やっているうちにできるようになると思っているので、自分の中では思い切ったわけではなくて、「やってみっかあ」ぐらいの感じなんですよね。もちろん、軽い気持ちではないんですけど。

──「やりたいんだからやるっしょ」という。

まあ、実際は難しいんですけど、やってるうちに毎日前進していくので、それを楽しめることが一番だと思います。みんなポジティブに挑戦してみたらいいと思うんですよね。うまくいかなくてやめることになったとしても誰かが非難するわけじゃないし。

──なるほど。

昔、何かで読んだ話があって、80歳のおばあさんが50歳のときに何か楽器を始めたいと思ったんですけど、「50歳だからもう遅い」と思ってやらなかったそうなんです。でも、80歳になったときに「あのときから始めてたら30年もできた」と後悔したって。その話を読んで「なるほどな」と。確かに、今は人生100年と言われる時代だし、50歳から始めたら50年続けられるんですよね。僕はダンスを今始めたから、仮に50歳までだとしても20年もやれる。だから「今から始めるのは遅い」なんてことはないんだと思ってます。

佐久間貴生