ただの商業フェスではないし、ライブハウスが作るDIYなフェスでもない
──どの選択も間違っていなくて、それぞれの選択を尊重し合うことが大切だとみんなあの時期に学びましたよね。そんな時期を経て、あの頃一番やり玉に挙げられたのがパンクやラウドシーンなのかなと思うのですが、そのシーンをコロナ禍以降、大爆発させるのが「RUMBLE×JAG 2025」なのかなと思います。ダトさんはこのフェスの開催を最初に聞いたときはどう感じました?
ダト 率直にうれしかったですね。自分らが拠点にしている名古屋でそういうイベントが増えることはシンプルに楽しみだなって思いました。
──さまざまなフェスが全国各地で行われる中、綿谷さんと武内さんは「RUMBLE×JAG 2025」開催にあたってどのようなことを意識されていますか?
武内 僕としてはうちの会社とライブハウスで最先端のロックをやっている人がジョイントすることに意味を感じています。さっきの話に出ていたコロナの影響で、かつてはライブハウスで騒ぐことが至上の喜びだった人たちが、コロナ禍に違う娯楽を知って戻ってきていない気がするから、こういう大きなお祭りがあることで思い出してくれたらいいなと思いますね。
綿谷 「RUMBLE×JAG 2025」の特色で言えば、イベントの運営や制作のプロフェッショナルであるJAILHOUSEと、平日は10人、20人くらいしか人が来ないライブハウス、そしてそのライブハウスからどう羽ばたいていくかをずっと考えてやってきた僕らが混ざり合うことで、ほかのフェスにはないブッキングができたと思っています。ただの商業フェスではないし、ライブハウスが作るDIYなフェスでもない、お互いの要素を混ぜたラインナップが特色になっていけばいいなと。
──ラインナップを見ると、シーンを築き上げたバンドから次世代を担う若手まで名を連ねていますもんね。
綿谷 はい。ラインナップにさらに特色を持たせたいと思ったときに、daiponに相談してアーティスト目線の意見をもらうことにしたんです。
──「RUMBLE×JAG 2025」では、ダトさんも暗躍されているのですね。
ダト 僕は自分が仲いいバンドや好きなバンド、このイベントに合いそうなバンドをチョイスして声をかけただけですけどね。
──でもダトさんが直感的に「RUMBLE×JAG」というイベントに合いそうだと思ったバンドやいつも遊んでいる仲間をブッキングすることで、今のライブハウスシーンで何が起きているかというリアリティが反映されている気がしました。
綿谷 そうですね。
武内 僕がまだライブを観たことがないバンドやこのタイミングで名前を知ったようなバンドも半分以上いて。そういう意味では綿くんやdaiponくんも名前は聞いたことあるけどライブを観たことないバンドもいるわけでしょ?
ダト いますね。
武内 昨今のフェスじゃそんなことってあんまないような気がするんだよ。「ライブを観たことないのになんで呼んだの?」って話になりかねないから。僕らみたいなイベンターがいることで定番のものをお届けできる側面もありつつ、綿くんのようなバリバリ現場の人や、daiponくんのようなバンドマンの意見を取り入れて作るフェスだからこそ、こういうラインナップが実現したし、僕らとしても一緒にフェスをやる意義だと思う。
──バンドもお客さんも「RUMBLE×JAG 2025」で新しい出会いがありそうですよね。
武内 それがすごく大事だと思う。やっぱりこういうイベントってプラットフォームでなきゃいけないと思うから。だからもし知らないバンドがいたら、少しでいいからステージを覗いてみてほしいですね。
ダト 僕らだってeastern youthと同じステージに立つことになるなんて思ってもみなかったですからね(笑)。すごいことですよ。
大トリの意気込みは「この土地に俺たちあり」
──「RUMBLE×JAG 2025」には「ゴロゴロでギザギザ。」というキャッチフレーズが付けられていますね。
武内 個人的にはすごく嫌なんですよ(笑)。
綿谷 僕は最高だと思いますけど(笑)。発案者は今日インタビューしてくれている2YOU MAGAZINE(東海地方を中心に活躍するアーティストの情報を多く掲載する音楽メディア)の柴山さんです。
武内 これはなんで「ゴロゴロでギザギザ。」なの?
──吾郎さんと綿谷さんで「ゴロゴロでワタワタ」を思い付きまして、ワタワタしたらダメだなと考えていく中で、RAD ENTERTAINMENTとJAILHOUSEの頭を取ってゴロゴロの「RUMBLE」とギザギザの「JAG」を掛け合わせて「ゴロゴロでギザギザ。」にしました。
綿谷 名コピーです。
ダト 僕は「ゴロゴロ」が吾郎さんのことだとは今の今まで知らなかったんですけど、「ゴロゴロ」が90年代からずっとやってきたゴロゴロ転がってロックをロールしてきた先輩たちの世代を表していて、「ギザギザ」が「今俺たちが一番ヤバいぜ」っていう僕ら世代を表しているなあと思いましたよ。ステージもGORO GOROとGIZA GIZA、そしてGIRA GIRAもありますけど、GIRA GIRA STAGEのラインナップは若手のギラギラと、まだまだ若いもんには負けていないっていう先輩たちのギラギラもあって、ネーミング通りだなと思いました。
綿谷 とてもいい解釈。
ダト このコピーに吸い込まれるようにそういうメンツになった感もありますからね。
──「RUMBLE×JAG 2025」ではそうそうたるメンツが3つのステージでライブを繰り広げてくれますが、フェスはやはりライブだけでなく、そのホスピタリティも昨今話題になります。フードエリアがどうなっているか、休憩エリアや導線はどうなのか、気になっている方もいらっしゃると思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?
綿谷 Aichi Sky Expoで「FREEDOM NAGOYA」を3回やらせてもらっているので、そこはお任せください。今までの経験をフルに活用して、来た人みんなが満足できるフェスにしたいと思っています。
──ちなみに吾郎さんは「FREEDOM NAGOYA」をどう見ていますか?
武内 素晴らしいイベントだなと思っています。ちゃんと観に行ったことはないけれど、いろんな人から話も聞いていたし、毎回サイトに載っている情報も追っかけてチェックしてます。まずあれを始めた度胸! 最高の敬意を表しています。
──綿谷さんはR.A.Dを設立してからこの15年間、すべてのことを度胸だけでやってきた印象もあって。
ダト 間違いない。
武内 これは褒め言葉だけど、バカなんだなって(笑)。
綿谷 あははは。
──その度胸だけで切り込んでいくRAD ENTERTAINMENTとタッグを組むJAILHOUSEも相当の度胸だと思います(笑)。
武内 そんな人たちと一緒にやるならブレーキばかり踏んでいられないですよね。かと言って一緒に上からアクセルを踏んでしまっては、どこに行っちゃうのってことになりかねないし、そこのバランスを取りながらやっていければと思っています。それがRADと一緒にやる意味だから。
──「RUMBLE×JAG 2025」、今後5年、10年と続くフェスになることを祈っています。ちなみに「RUMBLE×JAG 2025」は略称はあるのですか?
武内 けっこう「ランブル」って呼び方をしている人が多い気がする。
綿谷 「ランジャグ」もいません? 世代によって違うのかな。
武内 それはもうお客さんに任せようよ。こっちから「こう呼んでください」なんて全然思わないから。
綿谷 じゃあ「ゴロゴロでギザギザ。」って呼んでくださいって言ってみましょうか?(笑)
武内 だからそれは嫌なんだよ(笑)。
──そして気になるタイムテーブルも発表されました。
綿谷 大トリはENTHです。
武内 そこだけは大枠として決まっていたよね。初日のトリがKUZIRAで2日目がENTHっていう。
──これだけのメンツが名を連ねる中、トリを務めるのが地元のバンドというのも「RUMBLE×JAG」が「RUMBLE×JAG」である所以な気がします。大トリを担うダトさん、今の心境はいかがですか?
ダト あまり気負わず、ただ地元のバンドとして先輩たちの前で、「この土地に俺たちあり」ってところをしっかり見せられたらと思っています。
イベント情報
RUMBLE×JAG 2025
2025年3月15日(土)・16日(日)愛知県 Aichi Sky Expo 展示ホールA
OPEN10:00 / START 11:00
3月15日(土)出演者
GOROGORO STAGE
FOMARE / SPARK!!SOUND!!SHOW!! / Dizzy Sunfist / Crossfaith / The BONEZ / ハルカミライ / KUZIRA
GIZAGIZA STAGE
Maki / OVER ARM THROW / SCAFULL KING / NOISEMAKER / SHADOWS / ROTTENGRAFFTY / SHANK
GIRAGIRA STAGE
SideChest / May Forth / the奥歯's / Some Life / かずき山盛り / SHE'll SLEEP / THE BOOGIE JACK
3月16日(日)出演者
GOROGORO STAGE
dustbox / Paledusk / G-FREAK FACTORY / ヤバイTシャツ屋さん / BRAHMAN / 10-FEET
GIZAGIZA STAGE
Age Factory / locofrank / Hawaiian6 / KOTORI / eastern youth / Ken Yokoyama / ENTH
GIRAGIRA STAGE
POT / VII DAYS REASON / Northern19 / Knosis / GOOD4NOTHING / NOT REBOUND / BACK LIFT
チケット価格:1日券 7700円(税込) / 2日券 14000円(税込)
主催:RAD ENTERTAINMENT / JAILHOUSE
企画制作:RAD ENTERTAINMENT / JAILHOUSE
プロフィール
ENTH(エンス)
ダト・ダト・カイキ・カイキ(Vo, B)、Naoki(G, Cho)、takumi(Dr, Cho)からなる名古屋発のスリーピースバンド。メロディックパンクを軸としながらも、ジャンルにとらわれないハイブリッドな音楽性を武器としている。2016年5月より現体制となり、2017年7月に1stフルアルバム「HENT」を発売。2020年11月に2ndフルアルバム「Neth」、2024年3月に3rdフルアルバム「ENTH」をリリース。