「who」=いろんな愛情の形を歌うのがルイなんです
──ここからは改めてミニアルバム「who」の話をお聞きしたいと思います。今作には活動初期から歌っている楽曲もあれば、新曲も収録されています。「who」というタイトルにはどんな思いを込めましたか?
収録曲を並べて、歌詞の内容を見たときに、ある曲では「もう傷付きたくない」と言ってるのに、別の曲では「傷付いてもいいから誰かに愛されたい」と言っている。曲によって違うことを叫んでいるんですよね。なので「いったいどういう人なのかわからない」という意味での「who」なんです。あと、ルイというアーティストがどういう曲を書いているのかが伝わるアルバムにしたいのもあって。「いろんな愛情の形を歌うのがルイなんです」と示すためにも、このタイトルを付けました。
──王道のJ-POPを感じる「愛の囚人たち」、1980年代のディスコサウンドを想起させる「ラブ・アメーバ」、ソウルバラード調の「傷だらけのドクター」など、サウンドもいろんなアプローチが光っていますね。
例えばR&Bオンリーとか、古き良きバンドサウンドで統一して電子音は一切入れない方もいるけど、自分は一貫したスタイルよりも曲に合ったサウンドにしたいと思っていて。自分が作る曲は、原曲が「アコギと歌」「ピアノと歌」なのもあって、そこにどういう音を付けけていくのか無限に選べる音楽スタイルだと思うんです。例えば、3ピースバンドをやっていたら「3人だけの音を鳴らしたい」というコンセプトがある。でも、僕はシンガーソングライターならではの自由度を、アレンジでも出していきたいんです。その結果、バラバラなサウンドになっています。
──あとは、どの曲も小説のように物語性が高い。そこもルイさんの特徴に思います。
うれしいです。ユーミン(松任谷由実)さんとか、あいみょんさんの曲のように、歌詞だけ読んでも短編小説のように楽しめる歌が好きなんです。読み物みたいに聴いてもらえる曲作りは、自分の中で大事にしてます。
──先行配信曲「ハートの7」はどんな思いで作られましたか?
ふと「ハートの7」のフレーズが思い浮かんで、これで1曲書けると思ったのがスタートでした。とあるカップルが2人でトランプをしていたら、気付かないうちにハートの7がベッドの裏に落ちる。そんな1枚のカードのように、問題をきれいに解決して進んでいれば2人は一緒にいられたのに、いつの間にか歯車が狂って別れてしまう。そして、1人になったとき、部屋でハートの7を見つけたように、離れ離れになったからこそ気付けたことが山ほどあった。そんなストーリーが思い浮かんで書いたラブソングです。これまでは失恋の歌は全体的に悲壮感があったり、ヒリヒリしたりする曲が多かったけど、今回はあえてポジティブで明るい気持ちになれる曲にしたのが一番のポイントです。
──「タイムマシン」は女性が主人公の失恋ソングですけど、どこか「ハートの7」の物語とつながっているように感じました。
僕もそう思ってるんです! 自分の中に作者が何人かいて「狂気じみた曲を書こう」と思う自分もいれば、「埃が被った箱を開けるような、懐かしさを感じる歌を書こう」と思う自分もいる。曲によって感情はバラバラなんですけど、不思議と「タイムマシン」と「ハートの7」は、自分の中で同じ作者が書いた感覚がありました。今、感想を言ってもらえて「ほかの人にも伝わるんだ」とうれしかったです。
大衆性と個性、両方を持つミュージシャン目指して
──リード曲「サンダー止まらない」は、今作の中でひと際明るいムードを放っていますね。
「who」の中では、この曲と「ラブ・アメーバ」がとりわけ派手で、少し異質な明るさがあります。どちらも新しく書いた曲なんですよ。無意識に楽曲を書いていると、つい悲壮感が漂いがちなんですけど、作品全体を引き締めるためにも、新曲を書くなら明るくしたいという思いがあって。その中で生まれたのが「サンダー止まらない」でした。タイトルからして、ちょっとダサいじゃないですか(笑)。
──聞いたことがない斬新なタイトルですね。
どうせなら、とことん明るくて「え? 何それ?」と引っかかるような感じにしたかったんです。一度聴いたら次の日も忘れられないようなキャッチーさと、「これは自分では歌いたくないかも」みたいなダサさって、実は表裏一体な気がして。「サンダー止まらない」って、いい意味で変なタイトルだから、それをテーマに1曲書こうと。誰かを好きになる“雷が落ちた”ような衝撃と、その人がいればエネルギーがみなぎって生きていられる、みたいな前向きな気持ちをサウンドとメロディで表した曲になってます。
──「who」が完成したことで、次作のイメージは浮かびましたか?
2025年は「自分がやりたいことやる」をテーマに、「傷だらけのドクター」「今夜はマリオネット」のような怖い曲とか、悲しくて虚しい曲も形にしてきました。逆に、2026年は「サンダー止まらない」「ラブ・アメーバ」のように、明るくてポップで、たくさんの人に聴きやすいと感じてもらえる曲を書きたい。1人でも多く自分の音楽を知ってもらうには、どういう曲を書いていくのかを模索する。それが今のテーマですね。
──これからどんなアーティストになっていきたいですか?
ユーミンさんや、あいみょんさんもそうですけど、aikoさん、椎名林檎さん、宇多田ヒカルさん、槇原敬之さん、平井堅さんなど、ソロで活動されている方に憧れがあって。皆さん自分で作詞作曲をされて、どの曲もちゃんと個性がある。何より今挙げた方々は、自分のやりたいことをやってるうえで、「大衆に受け入れられる要素」と「自分にしかできないこと」の両方を常に発信されているのが、すごくカッコいい。僕自身、昔からテレビから流れてきた音楽を夢中でカバーしていたのもあって、自分もその大衆性と、自分にしか書けない個性の両方を持ってるミュージシャンになりたいなと強く思います。
公演情報
ルイ One man Live“鏡みたいですね”
- 2026年4月4日(土)東京都 Spotify O-Crest
- 2026年4月12日(日)大阪府 LIVE HOUSE Pangea
プロフィール
ルイ
2001年3月15日生まれ、東京都出身。幼少からピアノを習う傍ら、絵を描くのが好きだったことから大学では芸術学部に進学。19歳で本格的にギターと歌を始め、20歳のときTikTokに弾き語り映像を投稿し音楽活動をスタートした。以降、カバー動画を中心に投稿を重ね、SNSで話題を集める。2026年2月にミニアルバム「who」を配信リリースした。
ルイ (@rui.___.official) | Instagram




