ナタリー PowerPush - ROCK'A'TRENCH

珠玉のラブソング「日々のぬくもりだけで」

ROCK'A'TRENCHからニューシングル「日々のぬくもりだけで」が到着。3作連続シングルリリースの第2弾となるこの曲は、大らかで力強いグルーヴを生み出すリズムセクション、ゴスペルの雰囲気を感じさせる温かいメロディ、そして「愛してるただそれだけを君に伝えるよ」というまっすぐなリリックがひとつになったスケールの大きなラブソング。バンドのクリエイティビティもここに来て、さらに大きな広がりを見せている。

取材・文／森朋之

どでかい歌モノが好きなんです

──ニューシングル「日々のぬくもりだけで」は「Music is my Soul」に続き、またしても素晴らしい名曲になりましたね。

山森大輔（Vo, G）　ありがとうございます。うれしいです。

──3作連続シングルリリースの第2弾ということですが、このシリーズを総括するテーマもあるんですか？

山森　この3作だけに絞ったテーマっていうのはないんですけど、僕らは耽美的なことを歌ったり、破壊的な衝動の美しさを歌ってるバンドじゃなくて、ポジティブなこと、明るいことを歌ってるバンドなので。それをより濃縮した作品になってるとは思いますね。

──「日々のぬくもりだけで」の作曲はオータケさんですね。どんなイメージで書いた曲なんですか？

オータケハヤト（Dr）　どでかい歌モノが好きなんですよ、もともと。バラードじゃなくて、ちゃんとメロが立ってるのにクサくなくて、ちゃんとノレるっていう感じの。あと、音楽にあんまり詳しくない人でもすぐ口ずさめる、とか。「日々のぬくもりだけで」もまさにそういう曲だと思うんですけど、デモは2008年に作ったんですよね。この3年の間にバンドも成長したし、さらにブラッシュアップしたカタチで表現できるようになってきて。

──2008年と2011年では、バンドの状況はだいぶ違いますか？

オータケ　全然違いますね！たぶん当時の2008年にレコーディングしてたら、かなり中途半端になったと思います。まあ、それでもきっと「最高です」って言ったと思うけど（笑）、絶対に今のほうがいいですね。この年月の間にクオリティが高まったっていう。だいたい楽器の数が全然違いますから。特にベース（河原真）は……。

山森　所有してるベースの本数の話ですね（笑）。

オータケ　アレンジでもいろんなことを試したんですよ。「上モノがギターだけだと、ちょっとシブすぎる」というところから、僕らのルーツでもある管楽器を入れたり。ミックスを含め、ちょっとしたバランスで世界観が変わってくるし。

タイトルは常に思い返すべき言葉

──そして作詞は豊田さんですね。豊田さんが歌詞を手がけるのは今回が初めてだとか。

豊田ヒロユキ（G）　うん、このバンドでは初めてですね。オータケ君のデモを聴いたとき、ハマりのいい歌詞が書けそうだなって思って。実際にでき上がるまでにはかなり書き直したんですけど、ラブソングにしようっていうのは決まってました。

──オータケさんとも話し合いながら？

オータケ　いや、そこはもう「あとはよろしく」っていう感じです。個性をブチ込んでくれたらそれでいいって思ったし。もちろん細かい調整はしましたけどね。ヤスリで削るような感じで。

山森　歌詞の譜割りもレコーディングしながら決めていったんです。「こうじゃない？」「いや、それは違うよ」っていう話し合いをしながら歌って、最後にプレイバックしたときにやっと、画竜点睛の“点”が打てたっていう。

──「日々のぬくもりだけで」というタイトルについては？

豊田　それもみんなで話しながら決めました。もしかしたら今までで一番時間がかかったかもしれないですね。いろんなアイデアが出たんですけど、歌詞の中の「日々のぬくもりだけで」っていう1行だけはずっと残ってたんですよね、歌詞を書き換えていく過程でも。だからやっぱりこれをそのままタイトルにするのがいいんじゃないかって。

──思い入れのあるフレーズ？

豊田　そうですね。もともとはオータケ君がデモで歌ってた“宇宙語”の中から聴こえてきたんですけど（笑）。

山森　最初から「これは絶対書き換えないほうがいい」って思いましたね。この言葉ってどんな状況にでも当てはまるし、常に思い返すべき言葉だと思うんです。キラーフレーズですよね、ホントに。

CD収録曲

日々のぬくもりだけで
Baby's Extreme ＊Early track recorded in 2006.
in love

ROCK'A'TRENCH（ろっかとれんち）

山森大輔（Vo）、畠山拓也（Key, Trombone）を中心に2004年に結成。バンド名は彼らがリスペクトするボブ・マーリーの名曲「Trench Town Rock」に由来。2006年11月に豊田ヒロユキ（G）、河原真（B）、オータケハヤト（Dr）が加入し、バンドとしての基盤を固める。2007年7月にシングル「Higher」でメジャーデビューし、2009年に全国ドラマ「メイちゃんの執事」の主題歌「My SunShine」が着うた・配信等を中心に100万ダウンロード突破。

2009年7月に1stフルアルバム「ACTION!」を発表。2010年12月にはシングル3作連続リリースの第1弾となる「Music is my Soul」、そして2011年4月に第2弾「日々のぬくもりだけで」をリリース。

独自のエンタテインメント性を持つライブパフォーマンスと変幻自在なオルタナティブサウンドが特徴。