ナタリー PowerPush - ROCK'A'TRENCH
自信のシングルで勝負を賭ける!「言葉をきいて/ビューティフル サン」
ROCK'A’TRENCH、ついに覚醒。
シングル「My SunShine」のヒットにより大きな注目を集めた彼らだが、このバンドの本質──ルーツミュージックとロックを共存させた独創的なスタイル──が世間に浸透しているとは言い難いところがある。しかし、ここに来て彼らは、自らの音楽性を改めて認識した上で「こんなにカッコいいのに、伝わらないはずがない」という力強い確信にまで至ったという。
この春に行なわれた全国ツアー、そしてニューシングル「言葉をきいて/ビューティフル サン」によって訪れたROCK'A'TRENCHの新しいモードについて、山森大輔(Vo,G)、豊田ヒロユキ(G)に訊いた。
取材・文/森朋之
僕たちはまだ何も成し遂げてない
──ニューシングル「言葉をきいて/ビューティフル サン」は、去年発表した1stアルバム「ACTION!」以来のリリースとなるわけですが。
山森大輔 はい。僕らも超ひさしぶりだなって思いました。リリースがないと「動きがない」っていうふうに見られるちゃうだろうなっていうのもあったし。ようやく出せたっていう感じですね。
豊田ヒロユキ そうですね。
──この間もフェスへの出演やライブは続いていたし、活動が途切れていたわけじゃないと思いますけども。「ACTION!」以降のバンドの方向性について、改めて考える時間もありました?
山森 改めて、そこをしっかり考えないといけないなって思ったんですよね。実は僕らの中では「3月くらいには次のリリースがあるんだろうな」って思ってたんですよ、なんとなく。でもそうじゃなかったんですよね。そこを人まかせにしてたのも良くなかったんですけど、今は体制も整ったし、がんばって曲も作ってるし、非常に調子がいいんだけど。
豊田 ……離岸流(りがんりゅう)ですよ。
山森 そうだね! 離岸流って知ってます? 海水浴してるとき、気がついたら沖に流されちゃうっていう。
──あるみたいですね、そういうポイントが。
豊田 離岸流に流されちゃったときは、(流れに対抗して)まっすぐ戻ってきちゃダメなんですよ。1回横にズレてから戻ったほうがいいんですけど、僕らもそういうことが必要だったんじゃないかって。
山森 いいこと言った。これからはそういうふうに説明しよう(笑)。
──1回立ち止まって、考える時間が必要だったってことですよね。
豊田 そうですね。今までは考えないで、ワーッて海で遊んでた(笑)。で、気がついたら沖に流されかけてて……。
──「My SunShine」というヒット曲も出たし、「このままで大丈夫」っていう感じがあったのかも。
山森 いや、調子がいいと思ったことは一度もないですけどね。まだ何も成し遂げてないっていう思いのほうが強かったので。にもかからわず、チャプチャプやってて。
ROCK'A'TRENCH(ろっかとれんち)
山森大輔(Vo)、畠山拓也(Key,Trombone)を中心に2004年に結成。バンド名は彼らがリスペクトするボブ・マーリーの名曲「Trench Town Rock」に由来。結成当初はサポートメンバーを迎えながらライブを行っていたが、2006年11月に豊田ヒロユキ(G)、河原真(B)、オータケハヤト(Dr)が加入し、バンドとしての基盤を固める。2007年、7月にシングル「Higher」でメジャーデビュー、そして2009年、全国ドラマ「メイちゃんの執事」の主題歌「My SunShine」が着うた・配信等を中心に100万ダウンロード突破。2009年7月に1stフルアルバム「ACTION!」を発表。ロック、レゲエをベースにした陽気なサウンドと、ポップかつオルタナティブな音楽性は、ライト層からコア層まで多数の音楽ファンの支持を得ている。