「言葉をきいて」はポップだけどスケールの大きいメッセージソング

──そういう強い気持ちはきっと、今回のシングル「言葉をきいて」にも反映されてますよね。

山森　そうですね。この曲、すごく時間かけてるんですよ。オータケ君（オータケハヤト/Dr）の曲なんですけど、完全にOASISのチャンネルから出てきた曲ですよね。

──OASISのチャンネル（笑）。

山森　OASISは俺も好きだし、この曲もすぐに「いいじゃない！」って思って。

──しかも、めちゃくちゃポップですよね。

豊田　そうですね。オータケ君はJポッパーでもあるので。スーパーJですよ、彼は（笑）。

山森　すごいね、スーパーJ（笑）。でもこういうメロディって僕には書けないんですよね。ただ、まったく牙のない曲にはしたくなかったから、荒々しさも残してるんです。音色だったり（リズムの）跳ね具合だったり、ストリングスの攻めのフレーズだったり。

豊田　ギターはほぼ地味ですけどね（笑）。イントロ、アウトロの印象的なフレーズ以外は“歌を支える”っていう感じなので。この曲の「言葉をきいて」っていうサビを聴いたとき「どういうこっちゃ？」って思ったんですよね（笑）。そういう引っ掛かりがあるという点ですでにキャッチーだなって。「言葉をきいて」って何？ って続きが気になるから。

──豊田さんもOASIS聴いてました？

豊田　大好きで聴いてた、っていう時期はないんですけど、オータケ君と出会ってから、そういうモノもかなり聴くようになりましたね。それはオータケ君だけじゃなくて、他の4人からの影響だったり、それぞれが持ってるものでバンドの音楽性が広がっていくというか。

「ブッ飛んでる曲も作れる」のが自分たちの強み

──さっきも言ってましたけど、ジャンルの枠を決めず、いろんな音楽を取り込んでいくことがバンドの特性につながってて。

山森　好きな音楽に対して「どうして気持ちいいんだろう」って探求するというか。それはミュージシャンだったら、当たり前に持っている興味だと思うし。

豊田　なぜプログレが日本では受け入れられないのか？ とか（笑）。

──（笑）。まあ、プログレがメインストリームだったことはないですね、確かに。

豊田　そうですよね。ポップなメロディの曲ばっかりじゃなくて、YESみたいなバンドがもっと受け入れられたらいいのにって思いますけどね。まあ、俺が生きているうちは無理でしょうねえ。

──日本のメジャーシーンって独特ですからね。

山森　うん、すごい独特だと思う。今年の1月、ビルボード・ジャパンのミュージックアワードに出させてもらったんですよ。あそこのチャートって洋楽もJ-POPも混ざってるんですけど、日本の曲ってすごく浮いてるんです。海外の曲って「びっくりするほど個性的で、でも耳に残る」っていう感じなんですけど、日本の曲は僕らも含めて、すべて同じジャンルに聴こえる。全部J-POPっていう枠のなかにあるんですよね。

──確かにMGMTにしてもLADY GAGAにしても、発想も存在もブッ飛んでますよね。

山森　それが当たり前なんですよね。ブッ飛んでいて、しかも新しい。そういうものしか喜ばれないというか。でも、僕らは日本でやってるわけだし、だからこそ「My SunShine」も必要だったんですよね。一方では「ブッ飛んでる曲も作れる」っていう強みもあって。

進んでる道は正しいし、このまま突き進むしかない

──「ビューティフル サン」はまさにそうですよね。このバンドのルーツミュージックに根ざしたリズムがしっかり強調されていて。

山森　しかもサビではバーンと突き抜けてるっていう。これは自分たちの王道だと思うし、カッコいいと思うんですよね。

──バンドにとっても大きなターニングポイントになるシングルだと思います。

山森　今、進んでる道は正しいと思うし、このまま突き進むしかないですよね。ライブに関しては、今の精神性のまま、高いテンションで高いクオリティのステージを見せていきたい。そうすれば絶対うまくいくだろうし。作品作りについては、スーパーJじゃないところも（笑）、しっかり出していきたいですね。ブッ飛んでいて、しかも突き抜けてるヤツを。

──力強いですね！

山森　はい。だってダメなわけがないですから。これでダメでも俺のせいじゃない（笑）。

豊田　ハハハハハ。

山森　そのためには、自分も最高に努力しなくちゃいけないんですけどね。これからですよ、ホントに。