ナタリー PowerPush - THE WAYBARK

だいち69×志磨遼平 熱闘ロック対談!

ワンステージ制だからこそ魔法が続いていく

──「夏の魔物」のオフィシャルサイトを見ると、トップページにでかい字で「2010年代のロックンロールは夏の魔物が独占します!!」って書いてありますよね。あのメッセージの意図するところを教えてください。

だいち69 舞台が整ったと思ったんです。マリーズがメジャーに行き「魔物」が5回目で2日間になり、THE WAYBARKもCDを出す。仕掛けるなら今だと。ロックンロールが細分化されすぎてるから、もう「夏の魔物」が独占してしまおうと。だからあのメッセージなんです。来る人も他のフェスの感覚とは違うし、俺達もメッセージを発信してる。「魔物」には起承転結があると思うんですよね。そのストーリーをロックファンが一緒に味わう。そういうフェスの原点を見せたくて。

──起承転結というのは?

志磨 ああ、あのね、「夏の魔物」はワンステージっていうのがいいんですよ。バトンタッチ制なんですよね。今のフェスはなんでそういうふうにするのか、あれたぶんお客さんのことを考えてでは絶対ないと思うんですけど、ステージがやたらあるでしょ。だから僕はフェスに出ても他のバンド観ないんです。移動がたいへんだし、観たいバンドがないし。

──はい(笑)。

インタビュー写真

志磨 だから普通は僕は自分の出番のことしか考えないけど、「夏の魔物」は趣味が一緒だから全部観たいんですよね。毎年最初からずーっと観てる。だからすごい噛み砕いて言うと文化祭の高揚感ですよ。自分たちが作って参加して、その流れがあってステージではちゃんとマジックが起こって、そのマジックが途絶えず、自分の前のバンドがものすごいことをすると負けてらんないわけで。っていうわけで魔法が続いてって、最後までそれが終わんない。その奇跡的なバランスっちゅうのがあると思います「魔物」には。

──なるほど。ワンステージだからこそのストーリーが生まれると。

だいち69 ですね。それぞれのバンドが対バンを意識して、普段やらないような曲をやったりとか普段見れないような本気を見せてくれたり。伝説が常に生まれてる。それはあのステージであのメンツじゃないとダメなんです。

志磨 なんちゃらステージで僕らがやってるときに、なんちゃらステージではDragon Ashがやってるとか、そういうフェスで関連性なんて生まれるわけないやん。同じステージでっていうのが一番面白い。

──みんなそれぞれ音楽の好みは違うから好きなものを選んで観ればいいんだけど、「夏の魔物」はそうじゃなくて「これ絶対カッコいいから食え!」っていう(笑)。

志磨 フルコースですね。

だいち69 ロックファンだったらこれわかるでしょ! って気持ちでやってますから。

人間力がある人が真ん中にいればロックバンドとしてOK

──THE WAYBARKは「夏の魔物」に毎年出ていますよね。自分で主催して、自分がリスペクトするバンドを呼んでるステージに、自分自身が出るっていうのはどういう気分なんですか?

だいち69 いやあ、2年前まではすごい申し訳ないって思ってました(笑)。ああいう場に出ると耳の肥えた人たちに試されるわけだけど、そこで「これが俺のバンドです!」って胸を張れるところまでは行ってなくて。それが変わりはじめたのが一昨年ぐらいから。まあマリーズの出現がでかいんですけど、マリーズを観て自分にも火が点いたっていうか。で、俺がやりたいロック、俺が好きなロックってなんだろうなって自分でもう1回考えて、ベテランの人たちの本質的なところを受け継いで、それで自分が聴いてきた音楽、映画、マンガとかなんでも自分の要素の全部詰まってるバンドにやっとなれた。やっと追い付いた(笑)。「魔物」がなかったら一生フワフワしてたんじゃないかなって思うけど、今はもう絶対ブレない自信もあるし、ロックンロールっていう大きいものの中に自分がいるっていうのも感じてるんで。

──じゃあもう自分のイベントに自分のバンドで出るっていうことに対する引け目はない?

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だいち69 ないですね。今回1日目のトリやるんで。俺が若手バンドに本物のロックを教えてやろうじゃないかと(笑)。それぐらい言えるバンドにやっとなれたと思う。やっと本物のロックのスタートラインに立てたっていうくらいですけど。

──THE WAYBARKのライブには言い訳がないんですよね。まだアルバム1枚作ったばかりの新人なのにステージングがやたら堂々としていて。

志磨 成田大致っていう子の経歴としてさ、「夏の魔物」っていうのを立ち上げていまだに継続してるっていう行動力、バイタリティとかはやっぱりすごいと思うのよ。それだけの人間力がある人が真ん中にいるっていうのは、ロックバンドとしてもうOKじゃん。だからTHE WAYBARKはいいんだなって、そこに感動するんじゃないですかね。

──お互いに刺激を受けあってる感じがある?

志磨 あります、あります。「夏の魔物」に出る人みんな思ってるよ、たぶん。大致が一番動くから、主催者がこんだけやってたら、これはもう僕らもやるしかないなって。

だいち69 だってそれが対バンじゃないですか(笑)。

中高生が買いやすいようにアルバムは1000円にした

──では最後にTHE WAYBARKのアルバムの話も聞きたいんですけど。これ、今のシーンでは珍しいストレートなロックアルバムですよね。

だいち69 中高生が買いやすい価格で入りやすい音で、しかも普通に自分のお父さんお母さんでも聴けるバンドって今ありそうでないなあと思って。フラカン、エレカシ、斉藤和義、スピッツとか、そのへんですよね。

──みんな40代の人たちだ(笑)。

だいち69 はい。若いバンドでそういう人たちがいないな、って思ってて。いつの時代でもそういうバンドがいたと思うんですけど、今はいないからじゃあ俺が! っていう。

──そして価格は1000円。

だいち69 この値段でDVDも付いてきますからね(笑)。日本のCDは高いから、若い子はやっぱなかなか買えなくて。でも1000円だったらとにかくみんなの手元に渡る。そういうもんにしたかったっていうのはあります。

──志磨くんはこのアルバム聴いてどうでした?

志磨 いや、素晴らしいと思います。歌ってるときに歌詞が聞こえる時点でもう。ロックンロールのマナーをちゃんと知ってる。

だいち69 地方でやってると有名なバンドのフロントアクトとかもやる機会が多いんですけど。それで培った経験値というか、そういうのをずっとやってきたおかげで、今それをバンドの地力として音に出せてるとは思います。

志磨 THE WAYBARKは演奏もうまいしね。

──そう、演奏うまいんですよね。

志磨 週7ぐらいで練習してるっつうんですもん。

──ほんとに!?

だいち69 いや、でもマリーズとツアーしたからこそですよ。リハでジョニー・ラモーンみたいにビシバシバンドを仕切ってた志磨さんのことを見て「おー、これがロックンロールバンドや!」と思って、そこからだいぶ変わった。

──なるほど。それにしても今日の対談は、2人の意識がロックというキーワードでビシッとつながっているのをすごく感じました。この濃いロック談義が読んでる人にちゃんと伝わるといいんですけど。

だいち69 いや、でもそのまま出してもらえば大丈夫だと思いますよ。

志磨 うん、わかんない人に伝えるために説明入れて薄めたりするのもまたアレだしね。だったら濃いままボーンと出せば、アンテナいい人にはちゃんと伝わる。

──そう思います。どうもありがとうございました。

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1stアルバム「マイ・
ジェネレイション」 / 2010年7月21日発売 / 1000円(税込) / Ainever Music / XQIU-1503

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CD収録曲
  1. Let’s get honey ~夜の裏側に~
  2. WANNA
  3. 君がすべて
  4. Tell me Sunny
  5. ハイ・フィデリティ
  6. Good Bye My Girl
  7. アイデン&ティティ
  8. ROLL IN GIRL
  9. 失恋小説
  10. happy happy ~寂れた町の冬~
  11. さよならジニーハウス
  12. Boys & Girls
  13. ウェイバーのテーマ

メジャーデビューアルバム「毛皮のマリーズ」 / 2010年4月21日発売 / 2500円(税込) / コロムビアミュージックエンタテインメント / COCP-36083

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CD収録曲
  1. ボニーとクライドは今夜も夢中
  2. DIG IT
  3. COWGIRL
  4. 悲しい男
  5. BABYDOLL
  6. バンドワゴン
  7. サンデーモーニング
  8. それすらできない
  9. 金がなけりゃ
  10. すてきなモリー
  11. 晩年
THE WAYBARK(うぇいばー)

THE WAYBARK

2002年結成。だいち69(Vo)、Johnny(G)、おっくん(B)、ブラック斎藤(Dr)からなる4人組バンド。結成以来ライブや自主企画イベントを精力的に開催し、地元・青森のロックシーンを牽引する存在に。ボーカルだいち69は青森唯一のロックフェス「AOMORI ROCK FESTIVAL 夏の魔物」を主催。THE WAYBARKも毎年出演を果たしている。2010年7月、1stアルバム「マイ・ジェネレイション」をリリース。

毛皮のマリーズ(けがわのまりーず)

毛皮のマリーズ

志磨遼平(Vo)、越川和磨(G)、栗本ヒロコ(B)、富士山富士夫(Dr)による4人組ロックバンド。2003年に結成し、都内のライブハウスを中心に活動。2005年に発表した自主制作CD-R「毛皮のマリーズ」が話題を呼び、2006年9月にDECKRECから1stアルバム「戦争をしよう」をリリースする。その後も音源の発表を重ね、ライブの動員も激増。コロムビアミュージックエンタテインメントと契約し、2010年4月21日にアルバム「毛皮のマリーズ」をリリース。