「約束」は自分の内面が出せた曲

──日本で活動し始めた頃は、曲作りに関しては初心者だったわけですよね？ 作らなくちゃと思ってから、曲は次々と生まれたんですか？

1週間に3曲くらい作り続けていましたね。当時は自分から出てくるメロディや言葉に制限をかけることなく、そのときに浮かんだ最高のものをどんどん曲に流し込んでいたんですよ。歌詞だったら、いい言葉が浮かんだ時点で「この言葉はとっておこう」って考えることもあると思うんですけど、そのもったいない精神を捨てて、「必ず自分からはもっといい言葉が出てくる」と信じて惜しみなく使って曲を作り続けていたんです。だからインプットも必要で。今まで聴いていなかったいろんな人の楽曲をたくさん聴いて勉強してました。

──そして努力の末にデビューのチャンスをつかんだわけですが、デビュー曲「CHANGE」では“元気なRihwa”さんが表現されていましたね。

ありがとうございます。自己紹介の作品としては、とてもいいものができたと思っています。

──それに続く2ndシングル「約束」が、「CHANGE」とは全く違うバラードで驚きました。

私自身、すごくバラードが好きで、オリジナル曲の中にもバラードが多いんですよ。「CHANGE」が表の元気な私だとしたら、この「約束」は自分の内面が出せた曲になったんじゃないかな。

──「約束」は映画「劇場版 TIGER & BUNNY -The Beginning-」の挿入歌となっていますが、どんな形で作ったんですか？

映画監督の米たにヨシトモさんに、楽曲が使われるシーンを詳しく教えてもらって。そのシーンからイメージを広げて、書き下ろしました。

──初めて曲を書き下ろしてみていかがでしたか？

すごく勉強になりました。この曲はRihwaの2ndシングルで、映画の挿入歌でもあるってことを意識してどちらに寄ってもダメだと思いながら作ってたら、全く良い曲が書けなくて。原型が出来上がるまで10曲くらい作ったんです。そのあとも何度もアレンジし直して、全てにおいて最高の形になるよう、余計なものを削ぎ落としたらこの曲になりました。あとプロデューサーやスタッフの人とぶつかりながら曲を作ったのは初めてだったので、すごく面白かったし、幸せな時間でしたね。

私と監督のタッグは大成功

──「TIGER & BUNNY」って、すごく個性的なお話ですよね。

そうなんですよね。ヒーローが主役なんですが、そのヒーローは誰もが想像する勧善懲悪なものではなくて、職業としてヒーローをしているんです。だからこそ失敗もあれば、悩むこともある。そんな人間臭い部分が描かれていて、すごく面白いんです。

──楽曲にはどんな思いを込めました？

この映画の主人公・虎徹は愛する奥さんを亡くしているんです。でも、彼は彼女との約束があるからこそ、どんなことがあっても前を向いていこうとするんです。もし私が同じように愛する人を失ったら、その人が側にいるときにちゃんと思いや感謝を告げることがどれほど大切なことなんだろう、と思ったんですよね。

──この曲はメロディが壮大で、とてもドラマチックですよね。

そうですね。今回は普段は言いづらい言葉を歌詞にして、壮大なメロディに乗せて歌ってるんです。作る上で“強さ”を一番大切にして、ただのバラードにするのではなく「芯の強いロッカバラード」にこだわって作り込みました。

──確かに歌声がしっかりと耳に残る強さがありますね。

ありがとうございます。最初はコーラスを入れることも考えたんですが、私の中でいろんな楽器の音の上で私が1人で歌い上げるというイメージがあったので。ただ盛り上げることに終始するのではなく、力強く、聴く人に思いを訴えるような気持ちで歌ったんです。

──訴える、というのがすごくフィットしますね。

AメロBメロは、聴き手の側でささやくように歌って、Bメロの後半から勢いよく駆け上がって、サビで壮大な大地が広がるようなイメージで歌ってるので、それを想像しながら聴いてもらえたらうれしいですね。

──完成した映画は観ましたか？

観ました！ 監督の思いを自分の中で噛み砕いて作り上げたものが、映画の中でしっかりと反映されていて、本当に感動したんです。もう、私と監督のタッグは大成功と言っていいですね！

──あはは（笑）、断言しましたね。

はい！ 自信作が出来上がりました！

いつか海外でライブがしたい

──シングルの2曲目に収録される「好きなのに」は、「約束」とはまた違うかわいらしい内容の曲ですね。

この曲は、女の子らしい気持ちを歌った曲をシングルに入れたいな、と思って作りました。「好きなのに」の主人公はわがままで強がりでヤキモチ焼きで……。本当にしょうがない女子なんですが、最後には素直な一面を見せるという女子力の高い曲なんです（笑）。

──Rihwaさんも同じタイプですか？

どうだろう……女子力に自信はないですね（笑）。でも「好きなのに」みたいな女の子っていっぱいいると思うし、聴いてくれた人が共感できる曲になったらうれしいですね。

──この曲はイントロのリフが気持ち良いですね。

私もそこがすごく気に入っているんです！ 大好きなカントリーミュージックの色が全面に出ていて、最近のお気に入りの曲なんですよね。

──そして3曲目には全英語詞の「whatever」が収録されています。

はい。カナダで音楽に目覚めたこともあって、いつかは海外でライブがしたいんです。そのときのために、英語詞の楽曲を作って、歌い続けていきたいと思ってるんです。

──他の2曲とは毛色が違うタイプのアグレッシブな曲ですよね。

実はこの曲を作ったときはむしゃくしゃして、イライラしていたんです（笑）。でもどこにも怒りをぶつけられなくて、そのときにギターを持ったらどんどんメロディが浮かんできたんです。あんなに高ぶる気持ちでギターを鳴らしたのは初めてですね。おかげで「whatever（=勝手にすれば）」という曲が出来上がりました（笑）。

──人生に無駄がないですね。

あははは！（笑） そうですね！

──最後にナタリーの読者にメッセージをお願いします。

「約束」を聴いて、もし誰かを思い浮かべてくれたのなら、その人があなたにとって大切な人なんだと思うんです。普段は近すぎて感謝を伝えるには恥ずかしいけど、でも、思っているなら伝えることも大切。そんなことを思ってもらえるきっかけになったらうれしいですね。あと、この曲の芯をもっともっと伝えるためにこれから全国でいろんな場所でライブをします！ そこで生で私の歌声を聴いてもらえたらと思います。