10周年イヤーに心残りがあった
──ここからはりぶさんの2025年の活動について聞かせてください。5月14日には新曲「Twilight」も収録した5年半ぶりのアルバム「Ratimeria」がリリースされます。どういうきっかけで制作が始まったんでしょうか。
2025年は活動15周年のメモリアルイヤーなんです。10周年の2020年のときは1月に「Ribing Fossil」を発売して5月にパシフィコ横浜でライブをするはずだったんですが、それがコロナウイルスの影響で結局できなくなってしまった。メモリアルイヤーをリスナーの方々とお祝いしようと思っていたのが叶わなかった。その心残りがずっとあって。だから今回のアニメ主題歌をきっかけとして2025年の15周年のタイミングにアルバムを出して、ライブができたらと思い、スタッフと相談しながら制作が始まりました。
──アルバムを作るにあたっては、どういうテーマにしようか考えていましたか?
「Ratimeria」では(生きる化石を意味する)タイトルの通り、自分の中の深淵というか、奥深くにある表現したいものを、今をときめく作家さんたちの力を借りて形にできたらいいなと思っていました。ジャケットのイラストは「約束のネバーランド」の作画も担当していた出水ぽすかさんに描いていただきました。
──いくつかデモ段階のものを聴かせていただいた印象だと、歌の難度が高い曲が並んでいる印象がありました。時代の変化、シーンのトレンドの変化も相まって、歌に求められるものも変わってきていると思うんですけれども、その変化を敏感に察知して反映しているように感じました。
そうかもしれないですね。歌う難度は度外視して、「Ratimeria」を聴いたとき、なんらかの驚きを感じてもらいたいという気持ちがあって。それを潜在意識として持ちながら、作家さんとの打ち合わせをして、気付いたら「ぶっ飛んだ感じでお願いします」みたいなオーダーをいっぱいしていました。皆さんに楽しんでもらえる楽曲陣を作家さんたちに書き下ろしてもらったので、ぜひご期待ください!
壁に当たっているのはむしろいいこと
──待っていたリスナーの方だけでなく、この作品をきっかけに新しくりぶさんのことを知る人、若い世代の人にとっても、いい入り口になる作品ではないかと思います。
そうですね。「Ratimeria」は「こんな新しいことやってるんだ」と思ってもらえるような面白みのある取り組みもあります。例えば「ストレイシー」という曲では、かいりきベアさんと堀江晶太さんが共作をされていたりとか、Gigaさんが作曲してケンモチヒデフミさんが作詞されている「プレイ」という曲があったり。僕をよく知らない方にも驚きを届けられたらいいなと思います。
──歌ってみてどうでしたか?
今はレコーディングの真っ最中で(取材は12月上旬実施)、形になっているのは今言った2曲だけなんですけれど、どちらも歌うのが難しかったですね。作っていただいた曲をさらにいい形にして届けるのが自分の責務でもあるので。レコーディングで壁に当たっているのはむしろいいことなんだなと思います。ぜひ皆さん、カラオケでも歌っていただけるとうれしいですね。
──個人的に思うこととして、2020年代に入り、Adoさんが日本を代表するシンガーとなったあたりから、J-POPにおける歌の表現力の評価軸が変わってきたような印象があるんです。飛躍するメロディの上を飛び回るような歌い方とか、その中での声色の表現が、歌のうまさとして受け入れられるようになってきた。2000年代とは明らかに前提が変わってきているように思うんですね。そして、りぶさんやまふまふさん、そらるさんといった歌い手文化を築き上げてきた方々がその礎になっているとも思います。
確かにそうかもしれないですね。2000年代にいいとされる歌って、一貫性があるというか、ずっと安心して落ち着いて聴けるみたいな曲が強かったと思うんです。でも今は、Adoさんのように、曲の中で目まぐるしく声色が変わったり、1小節の中でも変わったりする。YOASOBIさんの「アイドル」も歌い手文化がJ-POPに影響を与えた象徴だと思います。そういう今の時代に自分が表現したいことが、まさにこの「Ratimeria」にある、驚きを与えるような楽曲なんですね。
──9月6日、7日には横浜BUNTAIで実に5年半ぶりのライブも決まっています。
楽しみですね。本当は2020年にパシフィコ横浜でファンの皆さんにお会いしたかったんですけど、それが叶わなかったので。BUNTAIでやるのも2DAYSでライブをやるのも初めてなので、どうなるんだろうというワクワクがあります。
りぶ 公演情報
Rib 15th Anniversary Live「Into the Abyss」
- 2025年9月6日(土)神奈川県 横浜BUNTAI
- 2025年9月7日(日)神奈川県 横浜BUNTAI
プロフィール
りぶ
YouTube、ニコニコ動画といった動画共有サイトやSNSを中心としたネットシーンで活動する男性ボーカリスト。2014年発売の2ndアルバム「Riboot」は当時、ネットシーンを中心に活動する“歌い手”として史上初となるオリコンウィークリーランキング第2位を獲得した。前作から約4年半ぶりとなった2019年リリースの4thアルバム「Ribing fossil」もオリコンウィークリーランキング第3位に輝き、顔出しをしないミステリアスな素性や高い歌唱力で注目されている。2021年にはベストアルバム「MYLIST」とアコースティックカバーアルバム「PLAYLIST」を同時リリース。2023年、盟友そらるとともに“そらるとりぶ”名義でテレビアニメ「ミギとダリ」のオープニング主題歌を担当。活動15周年イヤーとなる2025年の5月には、テレビアニメ「誰ソ彼ホテル」のエンディング主題歌「Twilight」も収録した5thアルバム「Ratimeria」をリリース。9月には5年半ぶりのワンマンライブ「Rib 15th Anniversary Live『Into the Abyss』」を行う。お菓子とアイスをこよなく愛している。
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Eve(イヴ)
ソロアーティスト。2枚の自主制作アルバムを経て、2016年10月に初の全国流通盤「OFFICIAL NUMBER」をリリース。2020年12月にテレビアニメ「呪術廻戦」第1クールのオープニングテーマ「廻廻奇譚」とアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」の主題歌「蒼のワルツ」を収録したEP「廻廻奇譚 / 蒼のワルツ」をリリース。2022年2月に自身初のボーカロイドアルバム「Eve Vocaloid 01」を配信した。3月にはオリジナルアルバム「廻人」を発表。同じく3月にはEveをフィーチャーした映画作品「Adam by Eve: A Live in Animation」が劇場およびNetflixにて公開された。2024年5月から8月にかけて初のアジアツアー「Eve Asia Tour 2024『Culture』」を開催し、11月にメジャー4thアルバム「Under Blue」をリリース。2025年1月に配信リリースされたりぶの新曲「Twilight」で作詞作曲を担当。7月から8月までキャリア最大規模のアリーナツアー「Eve Arena Tour 2025『Under Blue』」を行う。
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